東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

中間報告(農:高橋悠太)

2022年11月24日 (木)

こんにちは。高橋悠太です。

連続の投稿となってしまい恐縮ですが、中間報告として記事を出させていただきます。

1)これまで植物を育ててきて最も驚いたのは、水と肥料に対する反応性である。例えば、特にちょい辛ミックスにおいて少し葉がしおれてしまったとき、水を与えれば次の日には回復している。また、途中で生長があまり進まなくなったとき、肥料を与えたところ急生長した。これら2枚の写真を見ていただきたい。

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これらは水が行き渡った状態と土が少し乾燥してしまったときの比較である。上の水が行き渡った状態では茎がピンと立っているが、下の土が乾燥した状態では弱々しく横に伸びている。(乾燥した状態の写真は、水を与えてから撮ったので土自体は濡れている)

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また、小松菜では、上の写真時点から肥料を与えてから約10日で、下の写真ほどまで生長した。葉の伸び率を測ると、約7cmである。以下のグラフも見ていただくと、特に10~15日目までが平坦になっているが、肥料をやった17日目あたりから再び伸び始めていることが分かる。

伸び始めたあたりの日照はおよそ変化していなかったため、おそらくこの生長は肥料を要因としている。(限定要因がなければ、生長は一定であると仮定している。)栄養を与えると生長するということは一見至極当たり前のことに思われるが、立ち止まって考えると大変不思議なことである。植物体が与えられた元素を取り込み、人工では再現できないような化学反応が無数に行われ、細胞分裂が起こり生長していく。道端に生えている雑草を見て深く考えることは少なかったが、今回実際に育てて生長の過程を観察したことで、単純に「育つ」ということに疑問を持ち、驚くべきことだと再認識することができた。

(2)この方の記事は細かなところまで観察が行き届いており、観察を継続することから変化に着目しているというところが参考になった。またそれだけでなく自分なりに仮説を立てていることから、実験に近いような形で学びを深めている。このように観察して詳細を記すことはもちろんなのだが、それがなぜ成功、失敗したのか、またなぜこのような形状なのか、背景は何かと芋づる式に学びを深めていくことが重要だと感じた。

⑤ 現状報告と葉のギザギザについて ー遠隔地よりー | 全学教育科目・展開ゼミ2021 | 植物分子育種分野:渡辺研究室【東北大学大学院|生命科学研究科】 (tohoku.ac.jp)

この方は日付や温度、湿度など細かく記されていてわかりやすい。生長の過程が見て取れるため、前回からの因果関係がはっきりしている。前回からの因果関係がはっきりしていれば、なぜこのように生長したのかがよく分かり、観察ブログとして最適である。自分の記事ではこれらの点があまり重視されていないので、これから参考にしながらより見やすく興味がわく記事を書けるよう心がけたい。

黒キャベツとコカブの生長(10日目~30日目) | 全学教育科目・展開ゼミ2021 | 植物分子育種分野:渡辺研究室【東北大学大学院|生命科学研究科】 (tohoku.ac.jp)

(3)この記事のコメントでは間引きの時期がアドバイスされている。インターネットで調べてみても、間引きの時期は結構まちまちで迷っていたが、このアドバイスのおかげで2回目の間引きも自信をもって行うことができた。適切な時期に間引きを行うのは、他の株の生長に直結するため、非常に重要な観点である。また、人が感じている光の強さと植物がエネルギーとして知覚する光の強さの違いを指摘していただいたことで、自分の感覚ではなく直射日光の当たる場所に置くことができたためここまで徒長せずに育てることができた。この日光の重要性は自分のレッドキャベツの栽培時に実際に感じている。自分では最初しっかり遮光できていると感じていたが、ある日レッドキャベツの生長具合を見たところ、一定の方向に曲がって生長していた。これは、わずかな光を求めて茎を伸ばしていたと推察される。このことから、コメントの通りいかに植物が光を求めているかが分かる。

小松菜の葉の形 | 全学教育科目・展開ゼミ2022 | 植物分子育種分野:渡辺研究室【東北大学大学院|生命科学研究科】 (tohoku.ac.jp)

ミックスされた種子を蒔く意義が一緒に食べることしか考えられていなかったため疑問に思っていたが、日照や気温も考慮されているということを知ることができた興味深いコメントである。さらに、記事を面白くするためのヒントも書かれていて参考になった。記事自体もミックス種子をあえて分けるという自分には思いつかなかったアイディアに興味を惹かれた。今自分が育てているちょい辛ミックスは生長具合がほぼ同期しているが、別々に育てることで何か生長に違いは生じるのだろうか、気になるところである。

2.播種とお引越し | 全学教育科目・展開ゼミ2022 | 植物分子育種分野:渡辺研究室【東北大学大学院|生命科学研究科】 (tohoku.ac.jp)

(4)双方向の講義であって良かった点の1つ目は、今の自分の状況が正しいのか否かを随時質問でき、悪いと気付かなかった点について指摘してもらえるところである。他の一方向性の講義では、もちろん質問できないということはないのだが、生徒多数対先生1人であるため個人に割いてもらう時間は少なくなる。しかし双方向性であれば、先生が1人1人に対してコメントを返す分個人に注目してもらう時間が増え、私たちの成長につながる。また、自分がこれで正しいと思って続けていることに対して悪いと気付くのは労力がかかり、一方向性の授業ではまず気付くことができないだろう。これも個人に割いてもらえる時間が多いことで得られる利点である。2つ目は、自分で考える時間が増えることである。先生から一方向で教えていただけるのはありがたいが、その分与えられた情報を理解するということに重きが置かれ、自分で思考するというプロセスは少なくなりがちである。しかし、今回の授業では、自ら疑問を生み出し、発想していかないと進展しない。そのため、自らの疑問を考察し、それに対する先生からのフィードバックから学びを発見するという点で双方向授業は優れている。1つ欠点があるとすれば、これはこちらの問題だが、ペースの維持が難しいことだ。だがこれは自己管理能力を養うという点で難しい分有意義であるといえる。

(5)これからの展開ゼミでの目標は、感じた不思議について化学的観点から調べて記事にすることである。植物の観察を詳細に行うとそこから見えてくる疑問がわいてくる。この疑問を解決するためには、植物の代謝や生育の背景を理解する必要があり、そこには必ず原子レベルで調査すべきことも含まれる。そういったミクロな見方を行うことで、あらゆる観点から記事を作成していきたいと思う。また、植物をできるだけ失敗させずに育てるため、ここまでよりもより先輩方の記事を読みこんでいきたい。例え失敗することがあったとしても、それはなぜ失敗したのか、今後どのようにすれば失敗を払拭、または繰り返さないようにできるのかを考察することにより、後悔することよりも次に生かすことに焦点を絞るようにしようと思う。

コメント

農学部 高橋さん

グラフ化しているのは、よいことですね。せっかく計測しているのであれば、適宜、グラフを作ってみると、何となく感覚の世界でしか分からなかったものが、視覚的に分かるようになるという利点があると思います。是非、後半戦での生長過程の解析にグラフ化することを試みて下さい。

植物の水に対する反応性はそうですね。萎凋点といわれる限界を超えない限り、水をやれば復活します。一方で肥料をやると、すぐに生長するか。通常の外で栽培している作物の場合だと、速効性の変化は見られないと思います。スプラウトのように徒長しており、その状態で肥料をやったことが原因と思います。ただし、厳密には「対照実験(コントロール)」として、徒長してないなどのさまざまな条件を変化させた上で検証する必要があることを覚えておいて下さい。というか、後半戦、そうした機会があればコントロールを取ることをわすれずに。

植物の栽培でうまくいかないことなどたくさんあると思います。ただ、失敗をしてもそこから学ぶことがあれば、必ず次につながります。なぜ、失敗したことを考えるとありますが、その通りです。同じ失敗をするのはよろしくないですが、そうでない限り、失敗から学ぶこと、それを忘れずに。また、他の講義、実験でも同じような姿勢を保つことで深い学びにつながると思います。双方向性についてその特徴を理解できているのはうれしいですね。言われるとおり、一方向で講義をしたら、情報量が多すぎて咀嚼できないということもあり得ます。その意味では何を理解したのか、そうでないかのやりとりは、卒論などの実験を始めると、指導教員、先輩方との議論が不可欠になります。そんな時、自分が何を考えているのか、相手の意見を踏まえて自分としては何を考えるのか、そうしたことにつながると思いますので、しっかり双方向性の取組を習得して下さい。

この講義を受講して自己管理をして必ずこのタイミングで記事を書くということをどうするのか、それも実はこの講義の隠されたというか、シラバスには書かれてない重要なポイントです。自分ではこちらの方が重要と思っているかも知れないけど、その重要度の順番付が正しいのか。そんなことも考える後半戦にして下さい。定期的な記事のupoloadを楽しみにしています。

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わたなべしるす