東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【出前講義】宮城県総合教育センター・平成28年度高等学校理科実験研修会・特別講義「植物の不思議と子供の頃の遊びから学ぶ」(10/7)

2016年10月 7日 (金)

 どうやら季節は平年並みにもどりそうで、三連休もまずまずの天気になりそうで。一雨ごとに秋が深まるとしたら、交配実験など、早めにやらないと、寒くなると、どうしても植物の反応が悪くなるので。その当たりが、逆に心配ですが、いつまでも25oCを超えるような気温というのも。。。ちょっと、どうしたものかと。秋冬作の作付け、肥培管理を考えると、平年並みになってくれるのは、ありがたいことのはずなのですが。。。何とも微妙なところで。。。

20161007190651-eabc3ce7806bef1c3ac631a471477aa4c960c46d.JPG 週末金曜の午前は、宮城県総合教育センターでの出前講義。はじめて伺う場所で、仙台駅から仙台空港アクセス線の終点の1つ手前の美田園駅のすぐ前。震災の頃だったか、正確にできた時期を忘れましたが、最近できた施設で、宮城県総合教育センター宮城県美田園高等学校(通信制)が、一緒にある形で、あの震災のことを考えないことはないのですが、海にも近く、ほっとできる場所にあるのだなと。そんなことを感じさせる立地条件で。その宮城県総合教育センターの佐々木主幹から春先に、理科の実験助手をされている先生方向けの講義を依頼され、どうしたものかと考え、少しスライド数を制限して、自家不和合性と言うサイエンスの話キャリア教育というか、現在の高校教育と大学、大学院との連携をどう考えればよいのか、渡辺なりのコメントという形で。40名という多くの先生方が参加され、参加頂いた先生方の中には、出前講義でお世話になった方であったり、5年、10年という期間での研修の方もいらしたり。もちろん、担当が、生物以外の方もいらっしゃることを考え、できるだけ、わかりやすくを心がけ。。。また、同じスライドを使って、高校生に出前講義をしているので、その時、どんなことが問題になっているか。そんなことも交えながら。。。

20161007190847-4c225173eba3ed2580fd1a12f14ee1e466d0b48f.JPG 大学生、大学院生の多くが植物よりも動物に興味を示すと。。。理由は、。。植物は動かないから??、賢くないから。。。いえ、そんなことはなく、植物も考えて対応していると。その実例が自家不和合性であったり、受精反応。そんなのを示すとき、動画のインパクトは大きいです。へーーと言う感覚を持って頂いたのでは。というか、植物もそんな姿があることを是非、高校でも伝えてほしいと。また、季節感を持つというか、自然の変化に気づくようにしてほしいと。。。ヒマワリが咲く頃、どんな花が咲いているのか。高校生に講義をすると、季節感のない「チューリップ」という回答が来ると。。。つまり、時空を飛び越えることができるワープ機能があるのかというわけですが、その当たりの話を入れて、お願いを。また、植物も生き物である限りは、遺伝的多様性を維持しようとするはずで、そのために、雌雄異熟、自家不和合性と言うような工夫をしていると。トウモロコシを栽培していると10個体くらいないと、結実しないと。。。その原因が雌雄異熟によると。生き物は、よくできているのを何となく、実感してもらえたのでは。自家不和合性と受精反応の分子モデルは似ている、つまり、そんなセンシングシステムを使って、植物は考えていると。動物のような中央に大きなCPUを持つ方がよいのか、植物のように局所的に分散型のCPUの方がよいのか、どちらにも一理あるのだろうと思いますが。。

20161007190908-4d6a1c23edd27adcd38605ee6396542845df3b27.JPG 後半と言うよりも70minくらい使ったと思いますが、渡辺の小学校からのキャリアとそれを元にしての今の高校生に思うこと。渡辺が科学にあこがれたのは、マジンガーZ、ガッチャマンというテレビのおかげ。光子力超合金Z、ジャパニウム元素など。子供心にかっこいいなと。また、学研の科学と学習小学館の小学◎年生の雑誌。そんなので、科学への興味を持ったような。あわせて、プラモデルを作ること。あとは、話を忘れたのですが、テレビなど捨てているものを壊すこと。ところが、多様な時代と言われていますが、今の子供たちからどこまでなのか、難しいですが、説明書を見て、何かをするのが苦手だと。。。これも、科学と学習小学◎年生の雑誌がなくなったことと、連動しているような。

 高校生の時に、これはという将来のイメージを持ってほしいと。なかなか、難しいわけですが。。。時代が時代なのもあるのだと思います。ただ、大学生、大学院生を見ていると、将来を見すえて何かをするという方の方が、これと言うことを達成しているような。。。そんなお願いも。また、昔の数学は定期試験の時にも、名前を書くくらいで、あとは、白紙。つまり、どの様に説明を書くかという自由度が100%。自由度が高いと、楽しい反面、どうすればよいのかと、悩む方ももちろんいたような。社会に出ると、100%と言わないまでも高い自由度の中で、どうするか、それが勝負になる訳なので、そんな力をつけさせてほしいと。また、高校と大学との境目。大学受験で渡辺も当時の共通一次試験でへこみました。できなくて、担任、親に。。。それでも救ってくれたのが、小学校の時の恩師。当時、担任以外で何か相談できる方が、高校にいたか。。。難しかったような。。。そう考えると、是非、実験担当の先生方に、そうした側面から、また、教員とは違った面をサポートして頂けるのではないかと。。。それは、渡辺がそんな高校時代を送ったからかも知れないですが。

20161007191011-c52c92859e88e959edbd9d58b95a0a180001aa49.JPG 大学に行くとき、色々な選択があり、さらに1年がんばる、それとも、現状でいけるところでがんばる。どちらもありかも知れないです。でも、たとえはよくないかも知れないですが、昨日のサッカーワールドカップアジア最終予選決勝点を挙げたのは、J2セレッソ大阪の山口選手。自分の活躍できるところでがんばっていることが大事なような。。。そんなことを、ちょうど、センターに伺うときに駅で見つけたスポーツ新聞から。。。ものは考えようというか、できるところで最大限のことをすること、色々な生き方はあると思いますが、キャリア形成という点では、大事なことのような。。。講義がその翌日で、よかったなと。。。。

20161007190728-2086fb975800ff337ab9fba2bc807bb1547ce4ed.JPG また、昨今の縦世代での物事の継承の難しさ、何が起因しているのか。渡辺が通っていた桜井小学校では、今でも朝は、集団登校で、どこに集合して、どこの家でお水をくれるかというのは、継承されているとか。。。40年以上、粛々と。そんな世界もあるわけで、、何とかならないものかとのお願い。というのも、どこかの学校で同期、先輩後輩、というのは、社会に出て何かをするときにとても鍵となる大事なこと。安心できること。そんなことを踏まえて、縦横のつながりの教育を。。。実験担当の先生方という立ち位置からそんなことの大事さを伝えて頂けるのではないかと。実験技術も先輩からのある種の継承ですから。。。

 最後の所は、いつもの座右の銘であったり、グレーゾーンへのチャレンジというか、いい「加減」をどの様に調節するのか、あと、先の進路と関係するかも知れないですが、大学でこれという思いを達成できなかった生徒さんに、大学で頑張り、大学院で目標の所へと言うも最近は多くなったと。そんなことも、サポーターのような先生方ならではの生徒さんたちへの支援のあり方かなのではと。。。最後はもちろん、いつもの組織論。年代が近いことなのか、いずれ、ご理解を頂けたのは、何よりでした。質問コーナーでは、講義の途中で、昨日から始まった「展開ゼミ2016」のこと。実際に、数多くの記事が上がると、もう少しわかると思いますので、是非、高校での教育活動にも参考にして頂ければと。うまく説明できなかったようなので、キャベツ(B. oleracea)とハクサイ(B. rapa)の雑種(B. napus; 複二倍体植物)というか、どうやって新しい植物が誕生するのか。そんなことの研究はこちらから。。。

20161007191050-0ff2b5a9b91882b0ed89bc148c621c13b650be64.JPG 講義のあと、小川次長、佐々木主幹を交えて、短い時間でしたが、高校現場と大学、大学院との連携についての貴重な議論ができました。ありがとうございました。小川次長には、仙台第三高等学校のSSH、佐々木主幹には、古川黎明高等学校SSHでお世話になっており、不思議なご縁でこうした機会を頂戴でき、また、違った角度から高等学校の現場を見ることができたように思います。ありがとうございました。最後になりましたが、宮城県総合教育センター・小川次長、佐々木主幹、鈴木指導主事をはじめとする関係の方々にこの場を借りて、お礼申し上げます。ありがとうございました。今後とも、よりよい連携ができれば、幸甚です。よろしくお願いいたします。


 わたなべしるす

 PS. いつもなら、よく撮影する電車の写真。。。あれこれと考えているうちに。。。ちょっと失敗でした。いつも見ることができると思っている隙があったのかも。。。なので、写真は違いますが、列車内には、10月14日が「鉄道の日」と言うのが。。。仙台でもイベントがあるような。。。久しぶりに、鉄道を見ることでも。。。

20161007192955-e88ac3d96feb824832c8bc14005487fb9eca077d.JPG PS.のPS. 講義の中でも、研究者というか、それを取り巻く環境が厳しいと。そうしたことを切に言われていたのが、先日のノーベル生理学・医学賞を受賞された大隅良典・東京工業大栄誉教授。以前何かのプロジェクトのプレゼンでお目にかかったような。その時は、所属がどこだったのか、明確に覚えてないのですが。。。基礎生物学研究所だったような。そこのHPに、大隅先生の昔から現在までを語った寄稿があると。。。お世話になっている長谷部先生から、お知らせを。今日の講義の話題を補完する意味で、引用を入れておきます。読んで頂ければ、高校の先にある、大学、大学院の現状をご理解頂けるかと。。。長谷部先生、ありがとうございました。

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