研究組織
公募研究班(R7-8)
単相世代での「両性花」進化の鍵となった季節認識メカニズム
固着生活を営む植物は、置かれた環境に適した繁殖戦略を獲得してきた。本公募研究班では、コケ植物苔(タイ)類の雌雄同株アカゼニゴケが、進化の過程で雌雄異株から同株へ転換したプロセスに焦点を当てる。これまでに、アカゼニゴケのゲノム解読を行ない、雌雄異株の祖先が持っていた雄の性染色体であるV染色体由来の染色体を保持する一方で、雌のU染色体は消失し、限られた必須遺伝子のみが常染色体へ移行したことを示してきた。タイ類のU染色体上の性決定遺伝子BPCUも常染色体に移行しており、新たな発現制御機構が獲得されたことで同一個体に雌雄両方を分化させることができていることを示唆している。アカゼニゴケは、高山に生育し、雌雄の生殖器托を異なる季節に発生させる。アカゼニゴケが環境に合わせて獲得した性分化制御機構を野外からの情報も交え解き明かし、アカゼニゴケが辿った有性生殖システムの進化の全貌解明を目指す。陸上植物進化の基部で分岐したコケ植物の知見から、挑戦的な「両性花」原理の理解に貢献する。
メンバーリスト
- 安居 佑季子
- 京都大学 生命科学研究科