研究組織

公募研究(R5-6)

受精時配偶子融合メカニズムから覧る植物の繁殖戦略とその進化

被子植物は重複受精によって種子を作り繁殖する。重複受精では精細胞と卵細胞および精細胞と中央細胞の2種類の雌雄配偶子ペア間の細胞融合が起こる。この重複受精システムは進化の過程で被子植物が獲得した有性生殖様式で,陸上植物として最も繁栄するに至った要因の一つとして考えられている。我々はこれまでに,被子植物(シロイヌナズナ)の精細胞膜タンパク質DMP9(DUF679 domain Membrane Protein 9)を受精因子として同定している。精細胞DMP9は卵細胞受精においてのみ要求され,卵細胞と中央細胞の受精制御が独立した分子メカニズムによって制御されることを明らかにした。DMP9に類似するオーソログタンパク質は緑色藻類から存在しているが,種内でのパラログ数は被子植物と比較して少ない。また,推定立体構造が被子植物とは異なる領域もあり,卵細胞受精制御において機能がどのように保存されてきたか,についての生物学的な知見はまだない。本研究では植物におけるDMP9の機能保存性を解析し,重複受精の確立に至る分子メカニズムを進化的な側面からも解明することを目的とする。

メンバーリスト

井川 智子
千葉大学 園芸学研究院

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