研究組織

公募研究(R5-6)

雌雄異花同株性が生まれる遺伝的背景の理論的解明

植物の雄蕊と雌蕊(もしくは雄花と雌花)、同様に、動物のオスとメスは形態的に大きな違いがあり、その発生、発達には多くの遺伝子が関与している。一方で、単一遺伝子が雌雄のスイッチングを行うケースの報告が目立つ。分子生物学的には、カスケード上位遺伝子のスイッチが、下位の遺伝子群を支配し雌雄に分化させるシステムであると理解できるかもしれない。しかし、そもそもこのような複雑なシステムがどのように出来上がったのか?本公募研究班は、この問いに関して理論物理学のネットワーク理論を使うことによって答える。我々は「ネットワークには複数の機能を同時に実装する能力がある」という理論に、その答えがあるのではないかと目論んでいる。それを証明するために、遺伝子制御ネットワークの進化を集団遺伝学のフレームワークで考え、そのプロセスを理論的に記述する。第一ステップとして、両性花の背景には、雄蕊、雌蕊という二つの機能を実装するネットワークが存在することを実証する。そして、これを前提に、両性花から雌雄異花同株性の成立プロセスを理論的に検証する。この結果は、さらには雌雄異花同株性から雌雄異株性への進化につながる。この一連のプロセスは、すべて単一因子が支配する遺伝子制御ネットワークの進化で理論的に記述できるものとなる。

メンバーリスト

印南 秀樹
総合研究大学院大学 統合進化科学研究センター

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