研究組織

公募研究(R5-6)

生殖様式に対応した花成制御システムのゲノム動態解析

他殖を促進する遺伝的機構のひとつに開花時期決定機構がある。開花時期に訪花昆虫が来なければ種子はできないし、風媒花の場合でも、雌雄株が同時に開花しないと種子形成はおこらない。そのため、他殖を促進するための、開花時期決定機構には、強い自然選択が働いていると考えられる。
本研究では、自殖と他殖を同時に達成した両性花システムの花成時期決定機構のなかでも、まず最初に、日長環境や土壌環境等の異なる環境シグナルを根の花成情報統御センターに集積し、統合した花成制御シグナルを、CLEペプチド遺伝子のcis配列に集約し、ペプチドという形で根から地上部にシステミックに移し、開花時期の可塑性を発動する原理解明を目指す。このように、根を中心とした環境情報統合による他段階式の花成制御機構について、分子遺伝学的な解析を展開する。
また、本研究で明らかにする花成制御転写モジュールについて、自殖と他殖の両方が可能な和合種であるシロイヌナズナ、他殖のみを行うシロイヌナズナ近縁種、生育環境に応じて他殖を促進する開放花と自殖のみを行う閉鎖花を使い分ける近縁種での、それらの分子機構の比較解析を行う。特に、各植物種の花成制御因子のcis配列、及び、trans因子に注目し、比較ゲノム解析を行い、転写制御モジュールと近縁種におけるゲノム動態を理解する。このことにより、生殖様式に連動した開花時期決定機構の可塑性を支えるゲノム動態と駆動メカニズムの理解を目指す。

メンバーリスト

澤 進一郎
熊本大学 生物環境農学国際研究センター

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