東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

最終報告。(文:本間可奈)

2017年1月19日 (木)

こんにちは、文学部の本間です。画像は現在のロマネスコのようすです。

前回の記事で最終報告の前にもう一つ記事を、といったのですが、締め切りに間に合わないかも、ということで先に最終報告をさせていただきます。

以下が最終報告です。


(1) 植物、作物の栽培を行って、最初に想像していたよりも、たいへんだったこと、逆に、以外とうまくいったなと言うこと、という栽培について、感じたことをこれまでの発表のHPを引用(link挿入)するなどして、説明して下さい。これまでのプレゼンに使ってないような写真があれば、それを掲載してもOKです。

 Honma-0119-1.JPG  画像は未掲載だった初期のロマネスコの写真です。最初の画像と比べると今では随分成長しました。

 まず大変だったことは「毎日が展開ゼミ」という講義形式です。普通は週に1回の授業のために数時間かけて予習をしたり、授業の後に復習したりとその授業について考えるのは週に数回で済みます。しかしこの展開ゼミでは、疲れていようが忙しかろうが毎日植物のことを気にかけなければなりません。雑務に追われ何もしたくないという日もたくさんありました。そもそもこの展開ゼミを受講しようと思ったきっかけは「部屋に緑を置いて癒やされたい」というものだったのですが、正直「水は足りてるかな?」「枯れてないかな?」と毎日気にかけていることで植物が癒やしとは反対の存在になりつつありました(もちろん、成長を見るのは楽しみだったので、本当にいやだと思っていたわけではありませんが...)。また実際に教室で受ける講義は初回のみという形式は、怠惰な私にとって辛いものでした。自主性というのは強い意志と自分を律する精神がないと成り立たないのだと、強く実感しました。
 うまくいったなと思ったのは、ロマネスコの成長に関してです。初回授業で栽培する植物を選ぶ際、ロマネスコの不思議な形に一目惚れして栽培しようと決めたのですが、配布された種子リストには難易度★3つと書かれていました。果たして野菜の栽培に関して初心者の私が難易度中級のものを育てることができるのか、とっても不安でした。しかし思ったよりも発芽から植え替え、そして現在に至るまで順調に育ってくれました。この記事この記事で根を切ってしまったと書いたのですが、見違えて萎れていくこともなく育っていくのには驚きました。しかし上に述べたようなロマネスコの力強い成長はすべて植物の強い生命力によるものです。中間発表でのコメントで渡辺先生に指摘されたにもかかわらず、私は植物の生命力の強さに頼りすぎてしまいました。帰省する際、さすがに鉢を2つ持って帰るのは難しかったので、水やりに関しては多めに水をあげることで対応したのですが、暖房をつけたままにするわけにもいかず、仙台の寒い気候の中におよそ1週間放置してしまいました。帰ってくるときには室温は1桁代まで下がっていましたが、植物は変わらぬ姿を見せてくれました。栽培適温を下回る寒さの中堪えてくれたロマネスコに感謝です。

   

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(2) シラバスにも書いたように、植物の観察眼を養うことを目的としていましたが、それ以外の科目などへの波及効果もあったのではないかと思っています。どの様なところに波及効果があったかを実例を入れて説明して下さい。

 私は文学部ということもあってか、この展開ゼミ以外に何かを観察するという講義を受けていませんでした。よって観察眼を他の講義で生かす機会には恵まれなかったのですが、スーパーなどに売っている野菜に対する目線は変わりました。何度も失敗してしまった豆苗が売り物として並べられているのを見ると、どうやったらこんなにうまく育つのだろうと考えてみたり、同じ値段で売られているキャベツにもできのいいものと悪いものがあるのだからちゃんと選ばなきゃと思ったり、育てる苦労を知ったことで野菜全般に関する思い入れが強くなりました。
 また、パソコンの扱いにも慣れてきたと思います。私は自分のパソコンを手に入れたのが大学生になってからで、実家にパソコンを置くようになったのも最近だったため、パソコンを使った経験は高校などの授業のみでした。したがって、パソコンを使って長い文章を書いたこともないのでタイピングは苦手でした。しかしこの講義を通して少量ながら定期的に文章を書くようになり、だんだんとタイピング速度が上がってきました。今では4000字という少し多めの文章量を打ち込むこともあまり苦ではありません。まだブラインドタッチができるという段階までは至っていませんが、いずれできるようになりたいと思っています。

   

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(3) 他の展開ゼミとは異なり、実質、「毎日が展開ゼミ」ということでたいへんだったこともあると思いますが、逆に、毎日の観察をすると言うことで、どの様なことが身についたのか、感じたことなどを、まとめて下さい。これまでの発表のHPを参照してもOKです。

 毎日の観察によって得たことといえば、私に初めて日課というものができたことだと思います。昔から、日記をつけようと思えば三日坊主になり、毎日柔軟体操をして体を柔らかくしようと決めても次の日には忘れていたりと、何事も長続きしない性格でした。しかしこの展開ゼミを受けるに当たり植物を育て始めると、「友達」である植物を気にかけないわけにはいかず、気がつくと毎日植物の様子を見てから大学に行くのが日課になっていました。たとえどんなに遅刻しそうでも、土が乾いているのを見るとなんとかしてあげなくては!という気持ちになり、水をあげてから家を出ていました。この日課は講義のためというほぼ強制的な形で身についたものですが、夏休みの課題の日記すら満足につけていなかった私にしては随分の進歩です。これにならい、今度は自主的な動機による継続力を身につけていきたいな、と思います。

   

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(4) 大学の講義の中でも、かなり、異端の講義形式になっていますが、このゼミ形式で文章を書いたり、それをいかにプレゼンするかと言うことも学んだのではないかと思います。それらを踏まえて、文章を書くという点で、ゼミ開始前とあとでどのような変化があったか、考察して下さい。

 変化したことと言えば、文章の読みやすさを意識するようになったことだと思います。この講義を受ける以前にも他の授業で何度かレポートを作成する機会があったのですが、そのときには「読む相手がいること」をあまり想定していませんでした。だから、伝えたいことを指定された文字数に詰め込む、もしくは簡単なことを長々と書いて文字数を稼ぐといった誠意のないレポートの書き方ばかりしていました。しかし、この展開ゼミはブログの更新によって行われます。中間発表と最終報告は違いますが、普段の更新には字数の指定がありません。そしてブログというツールはインターネットを介して人に読んでもらうことを目的としています。この講義形式を理解して初めて、ブログであろうとレポートであろうと、書いた文章の先にはそれを読む人がいるのだということを認識しました。そしてそれからは文章を書いたら推敲を重ねるようになりました。レポートに関しては読みやすさや伝わりやすさが大事ですが、ブログは読み手に面白いと思わせるような文章力が大事です。自分の文章にはまだまだ自信が持てませんが、記事の1つ1つがただの報告になってしまわないよう、文章の書き方も気を配るようになったつもりです。もともと文章を書くのは嫌いではありませんでしたが、「読み手」を意識するようになったことで、ゼミ開始前よりもさらに文章を書くのが好きになったようです。

   

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(5) 以上の(1)~(4)を踏まえて、この展開ゼミで学んだことを、大学での活動を含めた日々の生活に対して、どの様に活かすことができるか。さらには、まだ、収穫していない作物を今後、どの様に管理したいかを記して下さい。

 ⑴~⑷のまとめになってしまいそうですが、まずは学んだこと、今後に活かしていきたいことについて述べます。第一に、文章を書くことへの意識が変わったことです。⑷でも述べましたが、この展開ゼミを通じ読み手を意識することを学びました。これまでも「読み手」がいるのだと認識しながら文章を書くべきだったのですが、レポートなどを書くとなると「どうせあまり多くの人には読まれない文章だから...」と思いその作業を怠っていました。しかしこの展開ゼミはブログを使った講義形式ということで、多くの人の目に触れる文章を書く機会が与えられました。不特定多数の人の目に触れると思うと、誤字は恥ずかしいからしたくないし、くどい言い回しは避けたいなど文章を書くことへのこだわりが芽生えてきました。また句読点はどううったら読みやすいのか、他の受講者の方々による読みやすい記事と自分の記事はどう違うのかなど、研究をするようにもなりました。上でも述べましたが私は文学部に所属しています。実際に文学部の人々が皆文章力に長けているわけでは無いと思うのですが、周囲には文学部を名乗ると文章力が高いのだという期待をされます。この期待に恥じぬよう、この展開ゼミで得た文章への探究心を今後も伸ばしていきたいです。
 また、第二にこの展開ゼミへの受講態度の反省です。恥ずかしながら、私は中間発表で述べた展開ゼミ後半に向けての目標を何一つ達成していないことに気がつきました。私の怠け癖は相当で、育て易いと言われるサボテンすら枯らしたことがあるので...。自分の有言不実行さに呆れ、最終報告もしていいものかと迷いましたが、一応けじめということでさせていただきました。この反省を、今後の様々な授業の受講態度に活かしていきたいと思います。しかし、小さいですが進歩もありました。何事も三日坊主で続けることができなかった私に、植物の世話をするという日課ができたことで、少し自信がつきました。実際は週に一回を目指すといったブログの更新も途中で途切れているので、完全に継続力が身についたわけではありません。ですが何事も小さな一歩から始めることが大切ということで、少しずつ前進していきたいと思います。
 続いて、今後の植物についてです。私が育てているのはロマネスコと豆苗ですが、まだどちらも収穫に至っていません。こちらの記事でマスコさんにいただいたコメントでロマネスコは春までかかるかもしれない、とあったのでロマネスコはあせらず継続して育てていこうと思います。去年のブログを見ていたら、こちらの渡辺先生の記事におそらくロマネスコであろうという写真が載っていました。私のロマネスコはまだこんなに立派に育つような気配がありません。しかしこの展開ゼミにおいてロマネスコは育てた前例がないそうなので、育てきってみたいという意地があります。いつになるかはわかりませんが、収穫し、食べるところまでこちらで報告できるよう、大事に育てたいです。そして豆苗に関しては、前回のブログに書いたように再々挑戦をします。2度も失敗したので3度目の正直ということで、1回目2回目とはまた違った方法に挑みます。忘れてしまわないうちに、善は急げとさっそく今日から始めようかと思います。こちらもうまくいったら報告したいと思います。この2つの植物を育てると決めたときに、自分で育て上げるまでは買って食べたりしないと決めたので、収穫した暁には買って食べ比べをしてみたいです。
 最後になりましたが、私が思うこの展開ゼミの面白いところは、植物を育てるという理系の分野を軸にしつつ、講義は文章を作成しブログに載せるという文系寄りの形式を取っていることで、理系の側面も文系の側面も同時に味わえるところだと思います。広く様々なスキルを身につけられる授業は大学生ならではだな、と学びの自由さを実感しました。そしてここまで自由にのびのび参加できる授業は他にないだろうから、自分の欠点を認識できたという意味でもこの授業を受けることができたのはとてもいい経験でした。コメント等を通じてご指導くださった渡辺先生をはじめラボスタッフの方々、本当にありがとうございました。Honma-0119-3.JPG


以上で私の最終報告を終わります。授業の一環としての更新は最後かもしれませんが、まだ報告していないロマネスコの現状もきちんと報告して終えたいと思います。それではまた次の記事で...。

コメント

文学部・本間さん

 遺伝の渡辺でございます。ロマネスコの栽培、いろいろあったと思いますが、下の方の葉っぱが枯れているのを、ちゃんと取り除いて、写真を撮れば、それなりの格好になっていると思います。上の方の葉っぱが少しずつ内側に向いているように感じますね。たぶんですが。もう少ししたら、花蕾がつき始めて、ロマネスコの可食部が見えてくると思います。そのためには、ぼちぼちでもよいですし、あと2 weeksくらいあとでもよいですが、外に出して、十分な光合成をさせて、1週間に1回くらいは、追肥をすることですね。そうすれば、市販のものと言うことは難しいかも知れないですが、それなりの形のロマネスコになると思いますよ。ベランダでの栽培にチャレンジ、と言うかシフトしてみてはどうでしょうか。前置きが長くなりました。「植物に癒やされたい」と始めたのが、実は、なかなかそうはならなかった。。。これも大事な学びだと思います。生きているものを扱う限り、お世話をすることは大事になってきます。どこかにも書いてあった、サボテン、きっと、それは、水をやりすぎて、根が腐ったのではと思います。どうでしょうか。渡辺は2年ほど前にもらって、小さなプラスチックカプセルに入っているサボテンがありますが、水も何もしていません。その代わり、大きくなりません。サボテンは、360日晴天で、5日間、すごい雨が降って、日々の湿度は10%くらいの砂漠にいます。もともと。なので、空気中の水分で十分なのかも知れないと。。。もちろん、ロマネスコは、そうはいかないですが。。。ただ、お正月に帰省している間でも問題なかったのは、普通です。今の時期なら、外でも十分です。今食べている、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなどは、仙台よりも少し暖地だと思いますが、露地栽培です。なので、その強さを理解して、チャレンジしてみて下さい。

20170119140600-c02188c1ee8ff19064680ddca9da9158e673ab6f.JPG スーパーで野菜を見る眼が変わったというのは、よいことかと。これから毎日の生活でよりおいしい野菜を求めて、食べるようにしてみては、どうでしょうか。あと、パソコンになれてないことが、この講義で慣れたというのは、よかったですね。ぜひ、継続して、パソコンで文章を書くようにしてみて下さい。できれば、ブラインドタッチで。。4,000字をこのようにまとめることができるのは、さすが、文系です。その力をさらに磨くこと。大事にして下さい。あと、投稿記事を見ると、1ヶ月に1回は、書いている。少しずつですが、継続力が身についているのだと思います。その継続力を継続することを大事にして下さい。誰かのコメントに書いたとおり、レポートも今回のようなブログもある意味では、読み手の種類が違うだけで、なるほど、これはおもしろいと思ってもらうことは、結果的に評価につながるはずです。大学の1年生が終わる頃なので、まだ、就活をイメージできないかも知れないですが、就職を目指す会社に対応して、学生さんたちは、色々な文章を書いているようです。研究室で見ていると。。。そう考えると、見てもらうという観点を大事に文章を書くこと、大切にしてください。

 これからの大学生活、普段の生活に、この展開ゼミで学んだ色々なことが行かされてくるのだろうと言うことが、最後の所から読み取れました。目標を置いて、達成するのは、大変だと思います。それでもやってみて、何とかできたことを礎として、これからをがんばって下さい。観察する目というのは、きっと、文系でも活きてくると思いますので。ロマネスコを食べることができるようになったら、ぜひ、ブログを書いてみて下さい。お待ちしております。ということで、また、どこかでお目にかかれることを楽しみにしておりますので。。。


 わたなべしるす