東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

8*作った(8時間かかった)(農:岡田和花)

2017年11月26日 (日)

  最近寒くなってきたので、そろそろ家の中で暖房付けることを考え始めました。なので、外に出しても荒らされたり、凍えたりしないように簡易的なケースを作ることにしました。そのアイデアの図がこの上の画像です。あくまでアイデアなので最終的に出来上がったものはちょっと違うのですが...。


20171126okadawaka1.jpg

 それで、11月25日に作りました。

 構造は昨年の鈴木さんの記事を参考に...。
 材料は家にあった段ボールと針金、ラップ、アルミホイル、透明なビニール(クリーニングに出した後に服にかけてあったもの)と、接着用のガムテープ、両面テープ。また、用途は後程説明しますが、水の入ったパックを使いました。作成に当たって何一つ買い出しに行かなくて済んだのでうれしいです。

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 工夫した点として3つ紹介します。


 一つ目は、軽い防水加工をしたところです。雨が降るたびに家の中に引き込むのは面倒だなと思ったので、土台にした段ボール箱にビニールやガムテープを巻いておきました。また、段ボールの上のビニール(ラップ)をドーム状に着けて、雨が上にたまってその重みで壊れないようにしました。


 二つ目は、植物と地面の間に空間を作って、地面の冷たさが直接鉢に伝わらないようにしたことです。写真だとわかりにくいのですが、実は底が二重底になっています。また、比熱の大きい水を利用してケースの中の温度変化を和らげるために、水をビニールパックに密閉してこの二重底の下に入れました。


 三つ目は、植物により光を当てるために、ケースの背面と上部にアルミホイルを貼ったことです。ビニールで囲ってしまったので多少なり光が減るのをこれでカバーできたらなと...。上部に張ったアルミホイルは角度をつけました。ケース内の鉢にうまく光が当たるといいのですが。

20171126okadawaka2.jpeg

 また、ケースの通気口を写真の赤丸で囲んだところに作りました。最初は通気口は鈴木さんのように下に作ろうと思っていたのですが、アルミの付け根のところなら下部の空気よりも温まった空気が入るのではないかということと、ここなら通気口を作ってもアルミの貼ってある板に角度がついているので雨除けができるということからこの部分に通気口を作りました。
 これらのアイデアは鈴木さんの記事とそのコメントからです。

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 それからこういうのをワーディアンケースというそうで、そのワーディアンケースについて調べてみると、ケース自体は特に保温効果がなく、温室として使用するならケースに加湿器や保温器を設置するそうなのですが、育てているのはもとからこの時期に育つ植物なので特に必要ないかなと思います。ケースも手作りでがばがばですしね...。

 無事を祈りながらこれからはこのケース内で育てていきます。


 それから、茎ブロッコリー、ミニニンジンの報告です。

 11月20日 朝 晴れ 気温2℃

20171126okadawaka3.jpg

 この日、二回目の追肥をしました。量は前回と同じくらいですが、肥料を入れる場所は前回の肥料を置いた位置の間にしました。こっちのが全体にいきわたるかなと。

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20171126okadawaka4.jpg
 
 茎ブロッコリーは赤丸の部分に5枚目の本葉が見えています。順調です。やっぱり日の当たる場所側から出てるような気がします。(参考:第7回更新
 大きくなるまではなんとも言えないですが...。

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20171126okadawaka5.jpeg

 それから、三本のミニニンジンはついにすべての株で茎の根元(赤丸で囲んだ部分)が赤みがかってきました。第3回更新のコメントでオガタさんがおっしゃっていた「しっかり土寄せして光にあててやれば、全然問題ないかと思います。」がまさにその通りでした。

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 平澤さんが11月23日の記事で根が鉢の底から出ているのを観察されていました。その記事を読んで私も鉢の下を見てみると...

 24日 夕方 曇り 気温6℃

20171126okadawaka6.jpeg
 なんと私の鉢でも根が出ていました。茎ブロッコリーについては、株の大きさからしておそらく根が飛び出てるだろうなぁと思っていたので予想通りだったのですが、驚いたのはミニニンジンです。

20171126okadawaka7.jpg

 地上に出ている部分があんなに小さいのに、しかも底の深い5号鉢なのに下から根が飛び出していました。写真の赤丸の部分に小さく白い根が見えています。こんなに伸びているとは驚きでした。しかし、ミニニンジン、これからも成長することを考えるとかなり窮屈な思いをさせてしまうような気がします。大丈夫でしょうか...。

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 25日 夕方 曇り (気温をメモしておくのを忘れていました...。)

20171126okadawaka8.jpeg

 ミニニンジンの葉の大きさを測ってみると、一番大きい本葉は2cmを突破していました。

20171126okadawaka9.jpg

 また、病気?っぽいものの本葉は、相変わらず1枚目の本葉(まだら模様)の大きさは変わりませんが、2枚目の本葉が1cmを超えました。これは1枚目の本葉とほとんど同じ大きさです。

 偶然かわからないのですが、1枚目の本葉が最も大きい株は、2枚目の本葉の成長が悪く、1枚目の本葉が病気っぽくて小さいままの株の2枚目の本葉が一番大きいです。1枚目の本葉の大きさが中くらいのものは2枚目の本葉の成長もそこそこで、「1枚目の本葉が成長していればいるほど、2枚目の本葉の成長が遅くなっている」ような気がします。



 最後に、レッドキャベツスプラウト第二弾の報告です。

 水を初めて入れたのが19日でその後の発芽した種の数を記録しました。

20日 朝 発芽数:密度大 0 発芽率(0%)
          密度小 0 (0%)

21日 朝 発芽数:密度大 0 (0%)
          密度小 0 (0%)

22日 朝 発芽数:密度大 2 (10%)
          密度小 0 (0%)

23日 朝 発芽数:密度大 17 (85%)
          密度小 8 (40%)

24日 朝 発芽数:密度大 20 (100%)
          密度小 15 (75%)

25日 朝 発芽数:密度大 20 (100%) 
          密度小 17 (85%)

26日 朝 発芽数:密度大 20 (100%) 
          密度小 18 (90%)

(12/3 発芽率を追記しました)

 やはり今回も第一回と同様に密度大のが早く発芽しました。
 エチレンのせいなんですかね。だとしたら、「リンゴや熟れたバナナの近くにまいた種」と「普通にまいた種」とかで比較実験したら面白そうです。第三回やる余裕はあるか微妙ですが...。

 それから、発芽した芽を観察してみると、第一回スプラウトよりも紫みが無いように見えます。まだ発芽して間もないからなのか、遮光の徹底の賜物なのか。色の変化が楽しみです。

 密度間の違いについて、可食部である茎の長さを比較しようと思っています。が、この大きさだとまだ測れないなぁ...。


 (中間発表を入れると9回目ですが)第8回更新はこのくらいで...。

コメント

岡田さんこんにちは。

 いやあ、今回の報告は大したものです。先ず回数的に9回というのもいいですね。タイミングも中間報告が終わったばかり、皆がほっとしているところでアップを継続して行うという精神も褒めて上げたいです。

 その内容、驚きのものです。渡辺教授とも話していて、およそここまで学生さんがやってのけることは予想外なほど凄いと。8時間かけたこと、そして何より「思いついた工夫を全て取り込む貪欲さ、完全主義」に感動しました。

 スケッチして設計をしていること、過去受講生のアップを参考にしていますね。そして使った材料は経費無しで工夫してそろえたものですか。思いついた工夫についても的確なものです。

 防水加工、これはいいですね。えてして形を作ることばかり考えがちですが、その後のメンテナンスはそれ以上に大事なことです。保たせることまで考えて設計するのは大したものです。防水加工、そして雨がたまらないような形状の工夫がいいですね。

 冷気を和らげる工夫も2つしていますか。鉢に冷気が伝わらないこと、そして水によって一日の寒暖の差を和らげる工夫、いずれも非常に有効だと思います。ちなみにですが、住居学では室内暖房は1㎡当たり150kcalほどの計算をします。これは結構な熱量です。まして室外の小さなケースは温度変化が激しいので、水でそれを緩和する必要がありますね。

 光の工夫もこれ以上ないくらいのものです。反射板も、その角度的な考慮も、です。いや、この温室の最大の意義がそこにあります。

 さて、繰り返しですが褒めてあげたいです。つけ加えると、どれだけの効果があるか、個人的な興味として具体的に知りたいと思いました。先ずは外に対して温室内の温度はどれほど上がるのでしょう。日中、そして夜間は・・

 光について、アルミはくしゃくしゃにして乱反射をさせたりしていないようなので、植物にうまい角度で当たっていますでしょうか。

 もう一つ、換気口がサイドにあるのもいいと思いますが、画像では結構大きめな気がします。換気口はサイドの1/10でいいと思います。水やりで開閉が難しくなりますか。夜間は閉められるものでしたらベストですが、それを毎日やるのは面倒なのでそこまで要求はいたしません。

 ちなみにワーディアンケースは室内に置いて湿度や温度変化から植物を保護するためのものです。ここまで本格的だと正に温室、ですね。

 植物の報告もしっかりしています。

 追肥もいいですね。根の報告、ニンジンも外まで伸びていましたか。私も予想外なので、研究室のニンジンも後で見ておきます。根は水や肥料を競合しない限り、重なると光を受けられない葉と違い、多少密度が濃くなっても大丈夫です。間引きはまだまだ後でも構いません。

 葉の出る様子もそうなのですね。よく観察して気が付きました。何ともコメント付けられませんが、葉に何かの障害があるとその代償として次の葉を急いで出そうとするのでしょうか。ちょっとわかりません。

 スプラウトの発芽数の調査、種子に対する比率が分からないのですが、少なくとも発芽に要する日数が異なることははっきりしています。結構な差が見られましたね。何を介する相互作用なんでしょうね。

 この後の報告も期待してお待ちしています。

 猫はお馬鹿な動物で、うちの猫もパソコンのマウスが大好きで齧ります。

 ラボスタッフ・オガタ



追伸、農学部・岡田さん

 こんばんは、遺伝の渡辺でございます。ラボスタッフのオガタくんが基本、コメントを書いてくれたのですが、こちらが気になったことだけ、記しておきます。観察、肥培管理、uploadのポイントなど、まさに、かゆいところに手が届く、そんな記事でした。感動!!!すごすぎ!!でした。で、気になったのは、床からの冷気の上がりを少なくするために、白い発泡スチロールを敷いているのだと思います。nice ideaです。植木ばち2つ分の重さを支えることが必要になるので、なかなか難しいのですが、発泡スチロールを2枚、3枚と敷いてみる。あるいは、3枚くらいになれば、上下を逆にできるのでは。そうしたら、空気の層ができるので、その分、空気の層によって低温の影響も小さくなるのでは。もちろん、同じ発泡スチロールが必要ですし、重さに耐えることができないといけないので。。。かなり、難しいですが。

 植物ホルモンは作用が多すぎて、基本を理解できないのですが、調べた限りは、エチレンは発芽を抑制すると。この場合、活性酸素が関係しているので、単純でないですが。。。そんなこともあって、遺伝学・育種学をやっているわけです。渡辺は。エチレンかも知れないし、そうでないかも知れない。。。リンゴが今の時期、旬ですね。追加の実験をやるときは、種子を取りに来て下さい。リンゴを入れてみると、おもしろいですね。少なくとも、次世代、つまり、来年の展開ゼミをやる方の1つのテーマになりそうな。。さらなる生長の報告を楽しみにしておりますので。


 わたなべしるす