第5回 大ちゃん(かいわれ大根)の生長記録と葉の観察(文:坂谷日向)
2018年11月 9日 (金)
みなさん、こんにちは。文学部の坂谷です。
朝晩がぐっと冷え込むようになってきましたね。みなさん、体調は崩されていませんか? 私は仙台よりも寒い(と思われる)秋田県出身ですが、こちらでもすでにニットを着込んでいます。思うに北国出身の人は寒さに強いのではなく、寒さに対する備えをしっかりしているのでは。暖かい格好と十分な食事・睡眠、適度な運動を心がけて体をケアしていきましょう。
自分たちで体温調節が出来ない植物たちはいくら寒さに強いといえど、私たちがこまめにケアをしてやらなければなりません。毎日しっかり観察して小さな変化を見逃さず、適切な対応をしたいと思います。さて、今回は大ちゃん(かいわれ大根)の生長記録と葉の観察の様子を報告します。収穫・調理・実食の報告も予定していましたが、長くなってしまうので次回から1品ずつ紹介していくことにします。(前回頂いたコメントは春くん(キャベツ)のものだったので、ぞれに対するアクションは来週報告します)
★本日の内容★
1.大ちゃん(かいわれ大根)の生長記録
2.大ちゃん(かいわれ大根)の葉の観察
1.大ちゃん(かいわれ大根)の生長記録
前々回の記事では10月9日までの様子を報告しました。翌日10日、スポンジで育てていたものに変化が。
朝、被せていた箱をとったら、カップが横に倒れており、肝心のかいわれ大根はこのようにほぼ90度に曲がっていました。今年度の高校生クイズ(日本テレビ2018年9月14日放送)で、かいわれ大根を逆さまにした場合どのように伸びるかというクイズが有り、Uターンをして上に伸びるという結果だったのですが、今回曲がってしまった私のかいわれ大根にも同じことが起こったと考えられます。テレビを見ていたときはそんなにうまくいくのか、正直半信半疑だったのですが、実際目の当たりにすると見事に曲がっていて、とても興味深く感じました。しかしながら、なぜかいわれ大根は上へ上へと伸びるのでしょうか。過去の先輩の記事をざっと探したのですが、見つからず。上に伸びる(途中で向きを変える)理由を教えて頂ければ幸いです。
倒れないよう慎重に箱を被せた翌日(11日)、きちんと上に伸びていました。面白いのは完全な真っ直ぐにはならず、矢印のように最初に曲がったところはそのままになっていることが多かった点です。
また、下敷きに関係なく、どの葉でも見られたのが次のような黒い斑点です。
根が安定してきた8日から霧吹きではなく容器に直接水を入れていたのですが、その際についた水やら何やらが原因のカビかと思い、慌ててネットで調べてみたところ、かいわれ大根の種子に傷がついていたために葉に黒い斑点ができてしまうそう。少々ソースが不安だったので、父のご友人の方〔第4回の春くん(キャベツ)のお引っ越しでもアドバイスを頂いた方です〕にもお訊きしたところ、「芽が出るときに種子の殻でこすれてつけられた傷か、あるいは種子の時点でついている傷が原因ではないか。カサブタのようなもの。カイワレに限らず、やわらかめの双葉を持つ植物は、結構痛みが出ることもある」とのこと。とりあえず、病気やカビではないようで安心しました。
下の写真は最も形良く大きく伸びているキッチンペーパー(写真上)と最も生長の遅いぬいぐるみ(写真中)、ザルで育てたもの(写真下)です。
12日時点で透明コップで育てている5種類の茎の長さは13cm~15cmでした。キッチンペーパーとぬいぐるみのものを比べたときに、茎の長さだけではなく、葉も一回り程度小さいように感じました。また、金さんも言及しているように、下敷きによっては真っ直ぐ伸びるもの(コットン、キッチンペーパー、スポンジ)や曲がってしまうもの(ぬいぐるみ、綿)もありました。ザルの方が透明コップよりも横に広がってしまうのは、透明コップより幅が広いだけでなく、根がしっかり張れていないせいでもあったのかもしれません。
ザルで育てたものは茎の長さは13cm、根の長さは10cmでした(12日時点)。根は15日には20cm程度まで伸びたのですが、それ以上は伸びませんでした。さらに濡れていたせいかもしれませんが、1本ずつ伸びるのではなく、数本ずつ絡み合い、束になって伸びていました。
全体的に日光に当てていないにも関わらず、少しずつ緑化してきました。おそらくですが、水替えや観察のために毎日短時間ですが明るい場所に出してしまったのが原因だと思われます。完全に真っ暗な中で水替え等もしていたらどうなっていたのでしょう...。春くん(キャベツ)の方も一通り終わったら、またいろいろチャレンジしてみたいです。また、例によってこちらのサイトで葉の色を調べたところ、薄柳(うすやなぎ)が最も近い色でした。
透明カップで育てているものの根っこは底の方に潜り込んでいるのが分かります。第3回の記事でオガタさんから「根は光から逃げる」というコメントを頂きましたが、まさにそれが起こっているのかもしれません。
そして12日から特によく育っているキッチンペーパーとコットンのもの(写真上)を、17日からは残りのスポンジ、綿、ぬいぐるみ、ザルのもの(写真下)を日に当て始めました。
写真下からも分かるように数日早く日光に当てただけで、ずいぶんと色が違います。完全に緑化した方の色はこちらのサイトで調べたところ、鮮緑(せんりょく)が最も近い色でした。
さて、忘れてはいけないのが、パフで育てているものです。残念ながら2つほど5mm程度芽が出ただけで、それ以降は全く生長していません。まずは12日の様子をご覧ください。
どこか種が黒ずんでいるように見えます。やはりパフではうまくいかないのでしょうか。せっかくなので、いろいろ試してみることにしました。
15日にはパフを入れたまま、水浸しにしてみました。ザルのものが下敷き無しでうまくいったのでいけるかと思ったのですが、やはり発芽しません。
17日からはパフを取り除き、ティッシュペーパー(パルプ100%)を下敷きに変えてみました。
以上のことから考えられるのは、①パフからなにか発芽(生長)を阻害する物質が出ていたこと、②たまたま発芽出来ない種子が集まっていたの2点です。根が張れないため、というのも考えましたが、それだったら完全に発芽してからだめになるはずだと思いました。また、②の可能性は極めて低いため、①の説が濃厚だと考えられます。ちなみに素材は合成ゴム・天然ゴムでした。
2.大ちゃん(かいわれ大根)の葉の観察
水の入れ替えをした際に誤って1本折ってしまったので、それを用いて葉の観察を行いました。
観察しているうちに剥がれてしまったのですが、2枚の葉はきちんと向かい合うように生えていました。
これを元に自分でイラストを描いてみました。第2回の記事で1枚1枚剥がしてみたところ、4層の層構造になっていることはご報告しました(イラスト左参照)。この時は1枚目と2枚目、3枚目と4枚目がそれぞれ繋がって1枚の葉になると思っていたのですが、2枚目と3枚目、1枚目と4枚目がそれぞれ繋がって1枚の葉になることが分かりました。
まず、2枚目と3枚目の間が割れます。つまり、この時は2枚の葉が重なっているような状態になります。ここから1枚目と2枚目、3枚目と4枚目の間が割れ、双子葉になります。春くん(キャベツ)の方も同じ構造をしていたので、似たような生長課程をたどったのではないかと思います。また、茎の延長にあるのが1枚目と4枚目が繋がった葉で、茎と葉の分かれ目のところにくっついているのが2枚目と3枚目が繋がった葉でした。ですので剥がれてしまった葉は2枚目と3枚目が繋がった葉だと考えられます。同じく第2回でみつけた3枚目についていた棒状のものは、後に葉になった後、茎と繋がる部分だったのかもしれません。
●今日の画像●
さて、今回の記事の最初に使った画像は何かおわかりでしょうか。鰹の刺身にわかめ、たら...。イラストには鱒と船と波と、そしてサザエ。そうです、毎週日曜日のお茶の間を彩るあの家族とは「サザエさん」のことです。手抜きではありません。発想の勝利です。これらの食材を使ってかいわれ大根の料理を作りました。次回から1品ずつ(場合によっては2品ずつ)アップしていきます。実は最初の画像もそろそろネタ切れです。謎のポリシーで同じ手法は使わないと決めているので、何で作れば良いのか毎回悩んでいます。とにもかくにも、次回は頭脳と見た目が一致しない事件体質少年を何かしらで作ろうと思います。お楽しみに!
★次回予告★
・春くん(キャベツ)の生長記録
・大ちゃん(かいわれ大根)の収穫と調理と実食
月曜日に渡辺先生から中間報告についてのお知らせがありましたね。もうそんなに経つのかと驚いていますが、そろそろ栽培を初めて1ヶ月経つのですね。追肥や間引き、温度管理。まだまだやることは多くあります。先達に学び、そこに自分らしさも加えていけたらと思います。なにはともあれ、何があったとしても投稿ペースを守ること。これが当分の課題です。
最後までご覧くださり、ありがとうございました。
【先生方へのご質問】
2017年度の田村さんの記事にて、「葉がせめぎ合いをするようになってきたので間引きをした」という記述がありました。まだせめぎ合うというほどではないのですが、生長している鉢(画像左端)ですと、どちらを間引いても良いように中心に寄せたせいもあり、葉同士が当たってしまっています。これは間引いた方が良いのでしょうか。
コメント
坂谷さんこんにちは
写真は、書かれた絵もきれいですし、魚介類もなんだか面白いです。
寒さについて、仙台市は気温的にはそんなに低くないのですが乾燥が激しく、体感温度は低いものです。天気がいいので外で活動もしやすいのですがその分油断して風邪ひきます。外に出る際には何よりのどを充分保温して下さい。来月から定禅寺通りで電球が飾られます。一度見れば充分と言えば充分なのですが、華やかでいいものですよ。おすすめは電球直接ではなくビルのガラスに反射で見えるところです。
さて、相変わらず報告は見やすくしっかりしたものです。
内容、最初に曲がったスプラウトですね。なかなかそうやろうと思ってもできないことになりました。こんなにきれいに曲がるものなのですね。まあ、この場合は現象として当たり前といえば当たり前なのですが、これから学生・社会人をするにあたって偶然から素晴らしい所見を得る、いわゆるセレンディプティーを大事にしましょう。日本語で同じような言葉はなく、あえて言えば、転んでもただでは起きない、でも意味合いはちょっと違いますか。
高校生クイズでそんな問題が出ていたのでしょうか。昔は面白い番組でしたが、最近はさっぱり面白くないので見てません。理由は書くまでもないことです。
さて、曲がるメカニズムは高校生物で習う単純なことです。植物ホルモンオーキシンは重力の方向に移動します。ついでに光の当たらない方向にも移動します。移動した先で、植物細胞がそれをキャッチして大きくなります。細胞は主に縦方向に大きくなる、つまり縦に伸びます。そのため、茎の下側が伸びるので見かけ曲がるということですね。理屈はそんなものです。
まあ、学問的にはそのオーキシンがどうして植物細胞の細胞壁を作り変えさせるのか、その流れは実はまだ分かっていません。
そして坂谷さんは面白いことに気付いていますね。コップを元に戻しても、曲がったところは元に戻っていません。これは興味深いですね。理屈としては植物細胞が伸びやすいタイミングというものが存在し、そこが一番感受するんでしょうね。ある程度時期がすぎたらオーキシンに感受性が鈍くなり、充分にキャッチアップしないのでしょうか。あるいはオーキシンの量そのものが変動するのかもしれませんね。
本題に入り、実験結果です。コップに直接目盛りを書くのは面白い試みですね。そして写真で見ると違いが分かります。根の張り具合や葉の大きさにも言及されていますね。
大きさは充分、収穫時期ということで緑化を始めた様子があります。見ていても気持ちがいいものです。
そしてパフを使うと発芽しなかったのですね。どうしてこうなったか、その考察は正に考えた通りだと思います。この実験だけでは断言できず、仮定に合わせた実験系にしなくてはなりません。阻害物質が本当にあるのか、ですね。種子のバラツキで言えばこの個数であれば偶然は考えらえません。統計的に10以上あれば充分差が出ます。
双子葉の出方について細かい観察、スケッチ、そして考察、素晴らしいものです。私も正直言って種子の中にどう最初に畳まれているのか知りませんでした。なるほど、そういうふうに展開されるわけですね。とても合理的です。
読みながらコメントを書いていて、最初の絵の由来が分かりました。しかしまあ、本格的な食材たちです。何の料理になるか楽しみです。この食材でできるものとは......
全然関係ないですが食材のパックに値引きシールがないですね。いや、それが普通なのですが、私は帰りに生協に寄って半額品など買ってフードコートで夕食をとるのが多いので、値引きシールがある方が普通の感覚になっちゃってました。
次回はあの死亡フラグ少年ですか。楽しみにしています。浪速の名探偵のほうでもいいです。
最後の質問、そうですね、間引いた方がいいでしょう。そのタイミングを考える上で見るべきポイントは葉の重なり(つまりお互いに邪魔しあっているか、日光を取り合っているか)、間引いて株数が少なくなっても枯れてなくならない元気さがあるか、鉢と植物の大きさのバランスはどうか、です。
どちらを間引くか迷った時には逆にいえばどちらでも大差が無いということですから本当にどちらでもいいです。
ではまた
ラボスタッフ オガタ