東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業))

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平成27年度 活動ブログ

平成27年度 活動ブログ養成講座の活動を記録しています

2016.02.02

ニュートリノって知ってる?

こんばんは。仙台第三高等学校 鈴木 智寛です。少し遅くなってしまいましたが、先日参加させていただいた、NHK仙台放送局の「宮城イグ☆ナル学園 熱血授業!!君はニュートリノを見たか!?」の収録についてブログを書こうと思います。

 今回、僕たちに講義してくださったのは、東北大学ニュートリノ科学研究センター長の井上 邦雄 教授です。教授はニュートリノ研究でノーベル賞を受賞した梶田 隆章さんのライバルで、我が国の素粒子研究者の第一人者であります。実際に今、研究している教授から、話を聞けるという機会だったので、気になったことはとにかく質問して、有意義な授業にしよう、という心意気で臨みました。

ニュートリノ20160202231849-jpg

(許可をもらって一緒に撮ってもらいました。左が自分で、右が井上 邦雄教授です。)

 

まず、自分が驚いたことは、1956年にはReinesさんとCowanさんによって、ニュートリノという素粒子が発見されていたということです。そのころにすでにニュートリノの原子炉と液体シンチレーターを使った観測方法は確立され、今も一部ではその方法が使われているらしいです。今回の梶田さんのノーベル賞の受賞で話題となったニュートリノですが、梶田さんの研究結果がでるまでには、とても多くの研究者がニュートリノの研究にかかわってきて、その積み重ねが、大きな研究結果につながった、と考えると、研究を継続していくことが大事なのだと感じました。

そして、自分が気になっていたのは、ニュートリノが話題になっている理由についてです。素粒子は他にもあるのに、なぜニュートリノに注目するのか。講義を受けて、その理由が分かりました。

ニュートリノという素粒子は宇宙のビッグバンで発生して、宇宙全体に広がっていて、宇宙全体に300/cm³の割合で存在します。これは、素粒子(アップクウォーク、ダウンクウォーク、電子、ニュートリノなどなど...)の中で1番割合が多いのです!つまり、ニュートリノの性質がもっと分かれば、宇宙の謎(宇宙物質優勢、暗黒物質など...)の解明への大きな手がかりとなる可能性が高いということです。

講義では、梶田さんの功績についても触れました。

今までニュートリノは質量もなくて、光と同じように考えられていましたが、梶田さんの研究によって次のことがわかりました。

・最近になってニュートリノに微量ながら質量があることがわかった

・ニュートリノが光よりも少し遅い速さで進むことにより、状態変化を起こす(これをニュートリノが振動するという)ことが発見された

これが梶田隆章さんが発見した功績で、彼がノーベル賞を受賞した理由だそうです。

今まで考えられていた事実を覆すような発見をしたことはすごいことだと思うし、その結果は、これからのニュートリノ研究に大きく影響して、更に研究は発展していくのだろうと思いました。周りの意見と違う研究結果が出てしまったら、自分だったら、自分の結果に不信感を抱いてしまいそうですが、自分の研究結果に自信を持って、世界に発表できる自信や勇気を、自分も見習いたいです。

 自分が面白いと思ったのは、東北大学が所有する「KamLAND(カムランド)」という、ニュートリノを観測する機械についての話です。話を聞く前、自分は、東北大学が一から作ったのだと思っていたら、違いました。実はカミオカンデというのが元の名で、最初は東京大学がカミオカンデでニュートリノの研究を行っていました。しかし、東京大学は、カミオカンデより更に大きいスーパーカミオカンデを作り、それで、ニュートリノの研究を行うようになりました。以前から、共同研究なども行っていた東北大学は、東京大学とも仲が良かったため、東京大学からカミオカンデを譲渡されました。自分はここに驚きました。大学同士、研究者同士はライバルで、相手に自分たちの研究の情報をもらさないように気をつけている。という話も前に聞いたことがあったので、そんなライバルに、莫大な金額がかかっているニュートリノの観測機を譲渡することもあるんですね。東北大は、譲渡されたものを、そのまま使うのでは、東京大学に研究で勝てないと考え、工夫に工夫を重ねます。それが東北大学のカムランドという機械です。

・酸化防止のために、機械に少し窒素を入れる

・中の油や装置自体を、大学の研究者みんなで、定期的に掃除をする

これによって、東京大学のスーパーカミオカンデの100倍はきれいな状態を保つことができます。スーパーカミオカンデには大きさで負けても、東北大学のカムランドでは、まだ東京大学も観測できていない、地球内部からのニュートリノの観測に成功しています!

自分のものは、あそこより劣っている、と嘆くのではなく、自分たちなりに工夫して、相手より、更にいいものに作り上げて、研究していく。研究者の意地、熱意というものを感じました。

ここには書ききれないほど多くのことを勉強させてもらいました。講義してくださった井上教授、この場を用意してくださったNHKの方々、会場の設営や準備にかかわってくださった方々、ありがとうございました。

投稿者:宮城県仙台第三高等学校

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