東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業))

東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業)

平成28年度 活動ブログ

平成28年度 活動ブログ養成講座の活動を記録しています

2018.03.19

重点コースおよび科学者の卵養成講座を終えて

こんばんは。群馬県立前橋高等学校3年の山田桂一です。

先日の発表会を以て、一年間の重点コースが終了いたしましたので、その旨を記事にします。

私は二年生からこの講座に参加しました。基礎コースに選ばれたとき、発展コースに選ばれたとき、海外研修に選らばれたとき。どのときも、「まさか、自分が」、といった感覚を覚えると同時に、非常に嬉しく思い、舞い上がったのを覚えています。今の私があるのはこの講座に参加していたからです。この講座には、それほど大きなものを与えていただきました。

私は受験を控えていました。しかし、もう一年、科学者の卵として活動させていただくチャンスがあるならば、やらないという選択肢は、当時の私にはありませんでした。私は重点コースへの参加を決意しました。なんとかなるだろう、と、受験生の忙しさを舐めていた側面もありました。

私の学校はSSHではありません。私は科学部などに所属していませんでした。そのため、私は、自分の課題を深く追求するような本格的な研究をしたことがありませんでした。したことがないにも関わらず、ただ漠然と、研究職にあこがれていました。私はその頃から、植物分野に強く惹かれていました。基礎コースで講義していただいた伊藤先生のもとで研究させていただくことになりました。配属先が決まったとき、憧れに一歩近づいたようで、とても嬉しく思いました。

六月ごろから研究を始めました。数年間、卵の課題として研究をしているものの、難航しているというテーマでした。私がこの研究に終止符を打つのだ、と自信に似た意欲に満ちていました。実際に研究を始めると、単調で地道な作業の繰り返しでした。一向に望む結果が出ず、時間だけが過ぎていきました。研究をしていれば、なかなか結果が出ないことなど日常茶飯事だ、と頭ではわかっていたつもりでした。しかし、その状況に直面すると、多少なりつらく感じました。今年度中に、何一つ成果を残せないのではないかと不安に駆られました。焦りました。それでも、焦燥感に支配されるあまり、初歩的なミスから実験に失敗してしまっては時間が無駄になってしまいます。そう自分に言い聞かせて、冷静であるよう努めました。あとひとつでようやく一通りの実験が終わるという段階に入り、もう無理だ、と完全にあきらめていました。その最後の一つで望む結果が出た瞬間は非常に嬉しいものでした。後日、さらに範囲を絞って調べたところ、無情ながら、どうやら新発見ではなさそうだ、と判断せざるを得ない結果が出たときは残念に思いました。現時点ではまだ最終的な結論を下せる状況にありません。来年度、裏付けをとる調査をするそうです。どのような結果が出るか興味があります。私の研究の結末に立ち会えないことは少し寂しく思います。

一年間取り組んできた研究への思い入れは非常に強くあります。実験の一つひとつの作業をこなしていく中で、考えること・学ぶことが多くありました。高校生の段階で、このような専門的で貴重な経験をできたことに感謝しています。

研究室で実験をすることだけが研究のすべてではありませんでした。TAの方と相談しながら実験を進めていくこと、昼休憩に四方山話をすること。研究はコミュニケーションの場でもありました。消毒臭い実験室で独り黙々と作業を進める、という偏見のイメージが覆りました。

今日のポスター発表では、耳を傾けてくださった方に、少しでも自分の研究を知ってもらおうと、少しでも自分の研究に興味を持ってもらおうと、真摯に話したつもりです。実験の原理など、口頭では理解しにくい部分もありましたが、雰囲気だけでも掬ってもらえていたのならば幸いです。

この一年、多忙に過ぎていきました。できるならば、もっと時間をかけて研究したいと思います。もっと深く探求してみたいと思います。しかし、昨年度とはまた一味異なった多くのものを得ることができました。昨年度が受動的な学びだったのに対し、今年度は、多少は能動的になった学びを得ました。春から、私は大学に進学します。冬休みに伺った際、渡辺先生にかけていただいた、「掌で踊るのは簡単だ。次は、躍らせる側に回らなければいけないんだぞ」といった言葉が今でも強く心に残っています。たしかに、この二年間、私は躍らせていただいていました。社会に出ると、どのような職種であれ、後者に回らなければならないのでしょう。そのため、大学ではさらに自発的・能動的に学ぼうと思います。より多くの人と交流しようと思います。より多彩な経験を積もうと思います。どんな好機も逃さないくらいの貪欲さを身につけようと思います。科学者の卵養成講座で身につけた力を磨いていきます。そして、立派な「躍らせる側」の人間になれるよう努力しようと思います。

最後に、重点コースでお世話になった伊藤先生、TAの菊池さん、環境適応工学研究室の皆様、このような未熟者を受け入れてくださり、ありがとうございました。科学者の卵養成講座事務局の方々、ありがとうございました。厚く支援していただいたため、二年間、非常に充実した経験を積ませていただくことができました。昨年度ご講義いただいた東北大学の先生方、ありがとうございました。広範な科学分野に興味が湧き、多角的な視点を身につけることができたと思います。広く豊かな人脈を築けた同期の皆様にも感謝します。私の二年間の学びは、非常に多くの方のお力添えがあってこそのものです。誠にありがとうございました。

投稿者:群馬県立前橋高等学校

PAGE TOP