今回は講義ではなく,日英高校生サイエンスワークショップが開催されました。日英の高校生が数人ずつ集まり,およそ3日間にわたって研究した結果を発表していただきました。英語による発表は全くと言っていいほど聞き取ることはできず,背景に分かりやすいプレゼン資料が投影された時のみ理解できました。英会話だけでなく,発表に関係する用語,それに科学に関わる元素など多くの単語を覚える必要性を感じました。
したがって発表の内容は資料を訳しながら確認しました。発表内容に対しての感想は以下の通りです。
最初の発表は細胞を培養するための基盤についての研究でした。基盤にはコラーゲンとポリジメチルシロキサンが使用されていました。ポリジメチルシロキサンという物質は初めて知りました。調べてみると油の飛び跳ね防止のための消泡剤としてチキンナゲットなどの揚げ物にも添加されている物質でした。
2組目の発表は災害に対する科学者,政府および市民の考えの違い,また日英の災害に対する背景の違いについて調査されたものでした。特に問題解決の考え方が日英で異なることを知りました。
3組目の発表は水の汚染と消毒及びろ過技術についての研究でした。発表中にあったDALYという言葉を日本語に訳すと障害調整生命年となり,疾病負荷を総合的に示す指標であることを知りました。
4組目の発表は土壌中の放射性物質の定量的測定についての研究でした。土壌中のカリウムやセシウムといった放射性同位元素の発生する放射線の測定および解析について発表があり,Googleスプレッドシートを使用して解析していたことに興味を持ちました。
5組目の発表は津波災害の対策についての研究でした。岩手県釜石市と宮城県仙台市において災害リスクを軽減するための対策を調査するとともに津波の力を弱めるための検討内容を知りました。
6組目の発表は暗条件下での米のタンパク質生産についての研究でした。日照の有無および与える水の種類によって稲の苗が生成するたんぱく質の量,および苗の質量とたんぱく質の量との関係を調べたもので,日照が無い中で稲がどこまで成長できるのか興味を持ちました。
7組目の発表は音声の速度と音程から感情を分析するという興味深いテーマでした。日英での比較が行われていましたが,はっきりとした差はみられませんでした。人工知能の音声認識に活用されるのではと思いました。
8組目の発表はブラディリゾビウムという最近の窒素循環に関する研究でした。基準種のダイズ根粒菌はダイズの根粒を作り出す細菌として重視されていることを知り,酸素呼吸と硝酸塩呼吸との比較,Bradyrhizobium japonicumとBradyrhizobium diazoefficiensとの比較など研究の必要性が理解できました。
9組目の発表は私達の毎日の生活に隠されたナノテクノロジーの視覚化と分析というテーマでした。ヨーグルトの写真を見て内容は想像できました。容器へのヨーグルトの付着が素材の疎水性および親水性によるものであることが理解できました。
最後の発表は最先端素材のナノスケール電気化学画像処理でした。高価なプラチナの代替の触媒として二硫化タングステンを高度な画像処理により調査するという内容でした。調査を実施するにあたり様々な機材の準備と工程があることが理解できました。
投稿者:栃木県立栃木高等学校