東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業))

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平成30年度 活動ブログ

平成30年度 活動ブログ養成講座の活動を記録しています

2018.10.13

知のある科学

「幸せ」という言葉から何を考えるだろう?毎日平和に過ごすことや自分の好きなことができるなど人それぞれの「幸せ」がある。国語辞典には①幸運に恵まれて、心が満ち足りていること。幸福。②めぐり合わせ。運。また、幸運。〈明鏡国語辞典より〉と記されているがこれが「幸せ」の絶対ではない。人によって異なる考え方や価値観は尊重されるべきだ。

 

そして、「幸せ」を考えたうえで前回のパネルディスカッションでテーマになった「科学は社会・世界を幸せにするか?」を深めていきたい。そして私は、大勢の人の意見を聞いていく中で現代における問題点を二つ考えた。。

 

一つ目の問題点は、時代によって幸せの基準に違いが生じていることをほとんど意識していないことだ。パネルディスカッションでは現在のことを考えたが、時代を遡って改めて考えると昔は幸せの基準がとても低かった。逆を言えば現在の人々の求める幸せの基準が高いことを示している。そこで、人との関係が深い食を例にとって考えてみたい。食という文化はとても古く、人々に幸福をたらしてきた。しかし昔の人々は現在のように毎日食事をし、好きな時に好きな分だけ美味しいものを食べていたとは思えない。なぜなら、昔は安定的に作物を栽培する技術が整っていない上に、生鮮食品などを保存する技術がなかったからだ。また、戦争中は食べたくても食べることが出来なかった人たちがたくさんいる。そんな時代を生きていた人たちが、今の私達の食事や生活をしたら文句を言うことなく幸せな生活を送れるだろう。しかし現代人は、好き嫌いや無駄な食べ残しを平気でする。今のこの現状に満足していないのだ。昔の人だったら、食べ残しなんてしなかっただろう。つまり私が言いたいことは、近年の飛躍的な科学技術の発展によって安定的に美味しいものを食べることや食品を長期保存が可能な今、人々が食の「幸せ」に異常とも言えるほど大きなものを求めているのだ。それは、今の技術ではできない味や食感、成分などだ。これはスマートフォンの容量が小さいことや、処理スピ-ドが遅いことなど食に限らず日常の生活で不便に思うことすべてに言えるだろう。これでは、科学の発展が「幸せ」の基準を上げる役割を果たしていることになる。そうすると現代人は、昔の人と異なりこの恵まれた環境が普通であると勘違いし、科学の発展を待ち続け自分で工夫することや努力することを忘れてしまうだろう。現代人には戦争中などの生きるのが大変だった時代の生活について考え、今の生活がどれだけ恵まれているかを知ることが必要だ。

 

二つ目の問題点は、人々がメディアに支配されすぎていることだ。テレビや新聞などで科学が批評されることがある。その時、メディアの内容をどのように受け取っているだろう。私は、大抵の人が深く考えることもなくメディアの内容を鵜呑みにしているように思える。メディアがよいと言ったものをよい、間違っていると言ったものを間違っている、と受け取る行為が本当に正しいとは思えない。そして、科学の恩恵を受けているにもかかわらずメディアが発信した情報に支配され科学を否定する人が大勢いる。特にメディアの標的になりやすいのが、遺伝子組み換え技術だろう。遺伝子組み換えを施している食品を、できるだけ食べないようにとメディアは促す。確かに、人体に影響がないとは言い切れないが遺伝子組み換え食品のデメリット一点にしか注目せずメリットを取り上げない。「科学者の卵」で学んだアグロバクテリウムによる遺伝子組み換えや自家不和合成などはメリットであり、私たちの食を豊かにするために必要不可欠な技術だ。批判をする人は遺伝子組み換え技術の全てを知らず、ほんのひと部分にしか注目していないと思う。

 

この二つの問題は中身のない科学を利用しているから生じてしまうと思う。ここでいう中身のない科学というのは、科学の仕組みを理解せずに結果だけを日常生活で利用したり、メディアから情報を得たりしていることを指す。人々が科学を中身のない科学として使っていたら、日々進化している科学は腐敗してしまうだろう。そうしないためにも、これから知のある科学を実践していく必要があると考える。科学の知識をしっかり身に付けたうえで科学を日常生活に応用し、さらに批評するととても価値のあるものになるだろう。

 

私は、パネルディスカッションのテーマであった「科学は社会・世界を幸せにするか?」に対してこのような考えを持つ。「科学を利用する人はニ種類存在する。一つ目が中身のない科学を利用する人だ。その人は科学の本当の性質を知らない。科学の本当の良さが分からないのだ。そのため、科学によって幸せになっているとは言い難い。もし仮に、幸せだとしてもそれは偽りのものだろう。二つ目は知のある科学を実践している人だ。科学のしっかりとした知識を蓄えており、その知識を正しく使うことが出来る。また、メディアなどに支配されず自分の中にしかない科学の答えを見つけることが出来る。そういう人は偽りのない本当の幸せを見つけることが出来る。科学を生かすも殺すも本人次第であり、科学の使い方によって幸せになれるか・なれないかが決まる。知のある科学を手に入れるのは大変だろう。しかしその先に、本当の幸せが待っている。」

 

                             秋田南高校 前川 恵吾

投稿者:秋田県立秋田南高等学校

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