2018.10.14
第5回科学者の卵養成講座を終えて
こんにちは。東北学院高等学校の朝野徳(あさのなる)です。
本日は午前中にサイエンスチャレンジを、午後には、「進化する航空機」〜ライト兄弟から火星飛行機まで〜と分子・遺伝子で診断し、治療への道を拓く『分子病理学』の2つの講義を聴講しました。
サイエンスチャレンジでは、3〜4人のグループに分かれて、30本のモールと一本の割り箸を使って、4つのピンポン玉を立て、その中で最も低い位置にあるピンポン玉の高さを競うものでした。私たちのチームでは、割り箸を柱にして、下にモールで三角錐を作り、モールで作った三角柱を載せて、その上にモールで作ったピンポン玉を載せるものを固定しようと計画を進めました。
しかし、作り始めるとどうもうまくいかないものです。うまく立たなかったり、色々苦戦しましたが、残念ながら、計測まで辿り着くことが出来ませんでした。表彰されているチームの作品を見ると、どれも理にかなっていると感じる作品ばかりで、大変勉強になりました。表彰されたチームの皆さん、本当におめでとうございます。
午後の最初の飛行機に関する講義では、最初にライト兄弟などの、飛行機の歴史についての大変興味深いお話がありました。また、揚力の話のときには、流速が増すと圧力が下がるというベルヌーイの定理について、紙を吹いたことによってより深く理解することができました。この講義で大変印象的だったのは、ケンタッキーのボックスを使った飛行機の動画と、翼が渦を発生させる動画でした。ケンタッキーの飛行機の動画では店頭でもらったボックスを材料にして、何回も諦めず、改良し続けて飛行機を作っていました。翼が渦を発生させる動画はラジコン飛行機が煙の前を通過することによって渦が発生するものでした。同じように、飛行機がハート形の渦を使っている写真も心惹かれるものがありました。この2つの動画はどちらも大変面白い動画でした。そして、この講義で楽しかったことは、なんといっても紙飛行機を飛ばす実験をしたことです。折り方を変えてみたり、クリップを重心にして付けてみたり、改良を重ねていくごとにどんどん飛距離が伸びていって、大変楽しい経験になりました。その後の火星に関する話も興味をそそられるものでした。火星という惑星自体についての話が興味深かったということもありますが、なんといっても火星飛行機の格好良さに惹かれてしまいました。デザインがなんとも魅力的だと思いました。
2つ目の分子病理学に関する講義では、がんに関する統計、がんの治療や遺伝子レベルの問題について学びました。今は生涯でがんに1回は罹患する人が約2人に1人という時代にあります。特に、交通事故による遺児よりもがん死による遺児の方が多いという話は印象に残りました。部位別にみると、膵臓癌が最も厄介であるとのことでした。この講義をして下さった堀井先生は、外科医時代に、膵臓癌の患者を救うことができなかったというほど膵臓癌の治療は難しいものであるとの話を聞いて、大変驚きました。
面白かった話は、原発巣と転移巣の関係性についての話です。例として、肺癌の脳転移、前立腺癌の骨転移、消化器癌の肝転移などがあげられましたが、これらはがん細胞が血管に入って起こる血行性転移によって起こります。他にも、このような関係性についてもっと知りたいと思いました。また、その関係性が起こる理由についてもさらに詳しく知りたいと思いました。
分子標的治療薬のお話では、最近の治療法が変化していることが分かりました。がんの種類(部位)によって薬を決める治療から原因(変異遺伝子)に応じた治療へと変化しているということです。このことによって、より多くの患者が救えるのではないかと私は思います。最近は、免疫チェックポイント抗体による治療もあります。抗体が分子の働きを促進したり、抑制したりすることによって、がんを治療することができるとのことでした。私は、将来、がんを治せる医師になりたいと思っていたのですが、この講義を聴講して、その思いが一層強くなりました。
今回は2つの講義とサイエンスチャレンジのどちらとも大変充実した楽しいものとなりました。
投稿者:東北学院高等学校