自分も書けません。すみません、本題に入ります。
「微生物なんて所詮微生物でしょ」と思っていた自分が情けなくなるくらい、充実した第7回科学者の卵養成講座でした。群馬県立前橋高等学校の東桔也と申します。今日は「Visionary農芸化学100シンポジウム」ということで、世界に誇る日本の応用微生物学の研究者6人の講義を受けることが出来ました。中でも、特に印象に残った2つを紹介していこうと思います。
1つ目は、「お酒や醤油作りに必要なこうじ菌の酵素はどのように生産されるのか?」です。難解な内容の研究が続いたせいか、(それとも長旅の影響が出たのか、)疲れ切っていた私の脳はこの研究を聞いてやっと活動を取り戻しました。ずっと疑問に思っていたことが解消されたときの興奮は計り知れません。その疑問とは、「甘酒がなぜ甘く、小さい子でも飲めるのか」ということです。答えは、こうじ菌が原料中のデンプンを分解してぶどう糖(グルコース)にするからであり、ここで止めれば甘酒の完成です。このぶどう糖を酵母が分解し、アルコール発酵が起こると、よく知っている日本酒が生まれます。これらは研究の導入部分であり、(講義開始5分で今年最大の感動を迎えた私はさておき、)その後には分解酵素などの発展的な内容が続きました。日本には、日本酒、醤油、味噌、甘酒といった素晴らしい食文化があります。それらを守るためにも、こうじ菌の活躍をもっと詳しく調べていきたいと思いました。
2つ目は、「ミドリムシで広がるものづくり」です。ご存じの通り、生物的特徴(光合成)と動物的特徴(鞭毛)を併せ持つミドリムシですが、その可能性について視野が広がったような気がしました(5/3πくらいですかね)。印象的だったのは、ジェット燃料として精製しやすい油脂をミドリムシの体内に生成させる話題です。これらの燃料はカーボンニュートラルなので、二酸化炭素排出量削減が期待できるそうです。また、機能性食品がコストダウンすれば、発展途上国への食料支援によって栄養失調の子どもたちを救える可能性があります。講師の方が目指していたような、直接社会のために役立てる研究を自分もしてみたいと思いました。
その後は、学会の方とテーブルを囲んで交流会を行いました。第一線に立って研究されている方々と、微生物のことや日本の将来のことについて意見交換できる、とても貴重な時間でした。学会の方々のお話にどんどん引き込まれてしまい、お茶菓子が手につかなかったのが唯一の悔いです。
今日一日を通して感じたものは、なんと言っても研究者たちの「熱意」です。科学者の卵養成講座も残り2回となり寂しい思いでいっぱいですが、「熱意」を持って悔いの無いようにしたいです。では、また来年。
投稿者:群馬県立前橋高等学校