こんにちは、仙台第三高等学校の馬渕多恵です。今まではブログの内容に迷って結局あげられずじまいでしたがひとつ殻を破ります。
私は自然環境や生態系に興味があるので、永田先生の「環境浄化で活躍する微生物」というテーマについて考えさせていただきます。
果たして微生物が今の環境問題改善の得策になり得るのか。先生の研究されているγ-HCHという化学物質の分解ができる微生物はまだ進化の浅い段階だそうですが、もし効率良く分解できる微生物に進化した場合、実用化するときの問題点は何でしょうか。それは講義のスライドでバイオレメディエーションのデメリットとして書かれていたものの、そのうちの「効率の悪さ」は単位体積あたりの微生物の密度を大きくする、もしくは従来よりもっと分解効率の良い微生物を進化の過程や遺伝子組み換えで作ることなどで解決でき、「生態系への影響」も現在確認されていないと思われ、物理化学的手法より影響は少ないというお話でした。
ならば一番の課題は「期待通りにいかない場合がある」ことになります。微生物は無機的道具ではないので、導入後も進化を続けていきます。当然ながらγ-HCH分解細菌は炭素源がγ-HCHのみ、周りにいる菌もγ-HCH分解菌のみという特殊な環境で作られ、その特殊な環境に対応しているので、いきなり自然界という環境が大きく変化した場所で同じように分解し続けてくれるとは限りません。その進化が、γ-HCHの分解ではない方向に進む可能性もあるでしょう。例えばγ-HCH以外の炭素源も自然界には多くあるので、そちらの分解に特化する可能性、または他の菌とγ-HCHとは関係ないところでうまく共存してしまう可能性も考えらえるのではと思います。細菌の進化のスピードは多細胞生物に比べたらかなり早いので、自然界に導入してからあまり結果が出ていない段階で終わってしまうこともあり得ます。
私はγ-HCH分解細菌に関してのこうした課題の解決策は「効果が出なくなったらまたγ-HCH分解菌を投入する」「できるだけγ-HCH分解に特化した(制限酵素も備わっている)分解菌を扱うことで別の方向への進化をさせにくくする」という消極的方法の他に考えられなかったのですが、同じ化学物質分解細菌であるプラスチック分解細菌に関してはもう少し頭を巡らせました。
私は「プラスチック自体に細菌がつきやすい加工をする」ということを考えました。全てのプラスチックを生分解性にできるのが一番のような気もしますが、生分解性プラスチックはコストが高い、耐久性が弱いなどの弱点もあり、すぐに採用できないのが現状です。そこで、プラスチックを分解する場合、物理的に細菌がプラスチックに付きにくいという問題点があるそうなので、プラスチックの表面を用途に支障が出ない程度に凹凸を付け、細菌にとって分解しやすい環境にすればいいのではと思いました。
とても興味深い分野だったため、長々と書いてしまいました。ご講演してくださった方々、関係者の皆様に深く感謝致します。次回も楽しみにしております。
投稿者:宮城県仙台第三高等学校