「寒い...」仙台に着いた瞬間、私はあわてて制服のセーターを着込みました。
群馬から仙台までおよそ4時間、その道中私は科学者の卵養成講座が始まるのに胸をふくらませていました。東北大学に着いてから講座が始まるまでの間に、キャンパス内で学食をいただき、大学生気分を味わうことができました。
今日は開講式、そして渡辺先生のご講義がありました。先生のご講義は本当に分かりやすく、時々笑いもあり、とても楽しく受けさせていただきました。
講義のタイトルは、「進化論を唱えたダーウィンも注目した高等植物の自家不和合性〜花粉と雌しべの細胞間コミュニケーションとその分子機構〜」でした。タイトルにあるように、講義はダーウィンから始まりました。「ダーウィンはどこの島に行った人ですか?」先生の問いかけから講義はどんどん展開していきました。
さて、ダーウィンは、ただの「ガラパゴス諸島に行った人」ではありません。私も今日まで知らなかったのですが、彼はたくさんの実験を行った生物学者だったのです。ダーウィンは、マルバアサガオをはじめとする様々な科の植物で受粉の実験をしました。彼はなぜこの実験を行ったかというと、植物の生殖システムが変化できることを検証したかったからなのです。
植物には、自分の花粉で受精する「自殖性(自家受粉)」と、同種の別の個体の花粉で受精する「他殖性(他家受粉)」とがあります。マルバアサガオは他殖性ですが、ダーウィンはそれを自殖させました。交配を進めると、他家受粉では通常に生育する一方で、自家受粉では小さくなっていきました。しかし、自殖を続けたところ、6代目で多殖個体より大きくなり、変化しなくなった株が現れました。ダーウィンはこれを「ヒーロー」と名づけました。なぜこのようなことが起こるのかはまだ解明されていませんが、いつかそのメカニズムが証明されたらいいなと思います。
他家受粉を行う植物で、自分の花粉では受精ができない現象を「自家不和合性」と言います。今日の講義のメインテーマです。この自家不和合性を利用して品種改良が効率的に行われたりしています。
はじめて自家不和合性のことを聞いたとき、これって意味のあることなのかな?と正直思いました。しかし、今日の講義を振り返ってみて、自家不和合性が価値のあることなのだと気付きました。私が考える自家不和合性の最大のメリットは、遺伝子の組み合わせのバリエーションが広がることです。先生が、自家不和合性を利用した品種改良の例としてダイコンを挙げられていましたが、この仕組みを利用することで、両親それぞれの良い形質を受け継いだ立派なダイコンができるそうです。このことを雑種強勢というのですが、これが犬や人間などでも同じことがいえるというのには納得しました。「自家不和合性」名前は難しいですが、とても奥が深くて、もっと詳しいことを知りたいと興味が湧きました。
申し遅れましたが、私は群馬県立中央中等教育学校4年の栁澤日和梨です。私の名前は、ひよりと読みます。友達からはひよこと呼ばれています。でもこの講座では、私は卵です。卵からのスタートです。今日は、他の受講生の皆さんの積極的な姿に刺激を受けました。講義終了後の30分間、私はレポートを書くのに必死でしたが、その間に何人もの方が先生に質問されていて、レベルの高さを痛感しました。と同時に、私も次から頑張らないと、という強い意欲も湧いてきました。
実りある1年になるように、しっかり講義を聞いて、たくさんのことを学んでいきたいです。卵の殻を破れるように頑張ります。
投稿者:群馬県立中央中等教育学校