群馬県立中央中等教育学校4年の栁澤日和梨です。
今日は講座4回目ということでだいぶ慣れてきて、迷わずに東北大学にたどり着くことができました。
今日もサイエンスな1日でした。
午前中は長神風二先生によるサイエンスカフェで、4人グループで1時間「科学・社会・生命倫理」についてたくさん考えました。
「今(2019年)から、10〜20年後に初めて実用化されそうな技術を想像してみて下さい。」この質問から、グループディスカッションは始まりました。私は、空飛ぶ車やドラえもんのひみつ道具などありきたりなものばかりしか思いつきませんでしたが、同じグループの方は、月へのエレベーターや家畜のクローンなど、夢のようでたしかに現実化されそうなものをたくさん挙げられていました。自分なら考えつかないようなことばかりで、これがグループディスカションの醍醐味だなと思いました。
この後の展開が驚きでした。「グループで挙がった意見で、もしこれらの技術が悪用されたらどうなるかを徹底的に考える」というのです。ということで私たちは、もしこの技術が悪用されたら...と考えました。結構盛り上がり、自分たちで挙げた技術のデメリットが案外たくさん挙がりました。あとになって長神先生が「悪用されたときのことを考えているみなさんの顔がとても生き生きしていた気がする」と笑いながらおっしゃっていましたが、実際楽しかったです。
今日のサイエンスカフェからいえるのは、科学は、科学者たちが研究成果をどう世に問うか、また私たちがそれをどう受け取るかで、良いものになるか悪いものになるかが180度変わるということです。科学の在り方について、これからきちんと考えていかなければならないと思いました。
午後は、滝澤博胤先生によるご講義「化学反応の場を探る〜マテリアル・デザインと新物質探索〜」がありました。滝澤先生は、極限環境下、日常とは違うところを反応場として、新しい材料を創製する研究をなさっています。
まず一つ目は、超高圧力場です。超高圧とは、地球の内側で起こっている現象で、その名の通り気圧がとても高い環境のことをいいます。地球の内部の超高圧によって、地球にある石などは形成されているそうです。
元素の数は決まっているため、その組み合わせにも限度があります。そこで、超高圧環境場にかけることで、新物質探索・材料合成の幅が広がります。また、超高圧下では、原子が近接することにより、全ての元素が金属化するそうです。
二つ目は、マイクロ波環境場です。マイクロ波は、電子レンジなどで使われている電磁波です。電子レンジで例えば紅茶を温めたとき、紅茶のカップはさほど熱くなりませんが、中の紅茶は熱くなります。これは、マイクロ波と固体物質の相互作用にあります。マイクロ波を反射するのが金属、マイクロ波を透過するのがガス、それ以外は程度の違いはあってもマイクロ波を吸収し発熱するそうです。つまり、紅茶は温められたのではなく、マイクロ波によって発熱した、ということです。
私は以前まちかどサイエンスで電磁波について少し調べたため、今回電磁波、特にマイクロ波についての知識をより深められたので良かったです。
最後は、東北大学と京都大学のコラボ企画 パネルディスカッション「これからの科学、社会を考えよう!」がありました。東北大学、京都大学、そしてアメリカのプリンストン大学出身の5名の方にきていただき、5つのトピックについてたくさん話していただきました。
何よりおもしろかったのが、渡辺先生の司会進行です。テンポよく、ときに安藤先生や滝澤先生との絡みもありながら、約2時間とても有意義な時間を過ごすことができました。
一番印象に残ったのが、「科学は社会・世界を幸せにするか?」というトピックでのパネルディスカッションです。午前中、サイエンスカフェで考えたことと似ていて、これは答えるのが難しそうだと思っていました。するとパネラーの5人は私の予想のずっと上をいく回答を挙げられていました。
「幸せにしなくてはならない」「できないならやめるべき」「幸せの形を変える」「局所最適解で満足するしか」「わからない。必ずしも人類を幸せにはできない」
ただ「する」「しない」のどちらかだと考えていた私にとってこれは衝撃でした。そして、科学の在り方は本当に難しく、これからどんどん進化していく科学を享受する私たちが、真剣に考えなければいけないことだと改めて感じました。
科学者の卵養成講座4回目にして、難しい問題に突き当たりました。
科学って、なんだろう?
科学者の卵としてこの講座に参加させていただいている身なので、これからは今まで以上に、科学ときちんと向き合いたいと思います。
投稿者:群馬県立中央中等教育学校