東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

最終報告(経:菅原みゆき)

2019年1月25日 (金)

こんにちは、ついに最終発表の投稿となりました。ギリギリとなってしまいましたが、最後までどうぞよろしくお願いします。それでは以後、項目ごとにレポートを記述して行きたいと思います。

(1) 植物、作物の栽培を行って、最初に想像していたよりも、たいへんだったこと、逆に、以外とうまくいったなどの栽培面で感じたこと

最初に想像していたよりも大変だったことは、最初は順調に成長したものの後半に伸び悩んでしまい目に見える成長をしなくなってしまったことです。単調増加とは言わないまでも、水と肥料をそこそこに上げていればどんどん成長してくれるのかと少し期待していましたが、冬の寒さが厳しくなってきた頃からはそうはいかなくなっていました。むしろ序盤で順調に成長していただけあって後半の成長ストップは少し寂しいものがありました。同じように大きな変化のないまま進んでいる受講生(ただ彼の野菜はしっかり成長が続いていたようです)もいましたが、坂谷くんのようにどんどん改良や比較調査を重ねて成長を促進させている受講生もいたので、自分も見習うべきだったなと思いました。さらに、私はかなり序盤で1度大きな失敗をしたのですが、先生方のサポートにより、早期に軌道修正することができました。当初はこんなに早く壁にぶち当たるとは思っていなかったので多少動揺しましたが、早いうちに失敗を経験したことでその後の栽培に慎重になれたのはよかったと思います。この早速の失敗というのは半年の講義の中でも特に大変だったことの1つでした。一方で、以外とうまくいったなと感じるのは、初回講義の時から渡辺教授が注意喚起をしていました、帰省時の対応です。坂谷くんが帰省前に実験を行ったり、梨本くんが腰水の処理を施したりと、私よりはるかに優れた対応をした受講生も数多くいましたが、私は直前の対応だったにも関わらず以外とうまくいってくれて、大きなダメージを受けることなく、むしろなぜか出発前より生き生きした状態にすることができたのでとてもよかったと感じています。帰省時の対策については事後報告という形になってしまったのでマイナスな面を後から指摘していただき、時すでに遅し、となってしまった問題もありましたが、概して成功したのが意外とうまくいった点としてあげられます。

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⑵植物の観察眼を養うことを目的としていたが、どのような波及効果があったか

植物の観察眼を養う、とのことですが、正直他の科目への波及効果というのはあまり得られた実感がありません。というのも今セメスターで撮っている授業のほとんどが社会学で、そのほかが純粋な数学(微分積分学)、国際共修ゼミだったので。かろうじて1つあげるとすると、農学部の藤井教授による化学概論の授業では食品に関する化学を取り扱ったりしたので少しだけ関連が見られたと思います。大学の講義とは関係がありませんが、植物の観察眼という点では、野菜そのものへの関心が非常に強くなりました。スーパーで並ぶ野菜に今まで以上に興味を持つようになり、例えば同じ野菜でも違う大きさのものが店頭に並んでいたりすると、陽の当たり具合が違っていたのかな、とか、違う農家から送られてきた野菜なんだろうか、とか、この野菜はまだ時期尚早な気がするが、収穫を遅らせたら保存期間や成熟度、味などは変わってしまうのだろうか、などと具体的に考えるようになりました。これはこの講義を通しての私にとって1番大きな日常の変化だったと思います。

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⑶他の展開ゼミとは異なり、実質「毎日が展開ゼミ」ということだったが、毎日の観察を通じて大変だったこと、あるいは身についたことは何か

「毎日が展開ゼミ」ということで、実際野菜の栽培は私の日常の一部となりました。朝起きて窓を開けるタイミングで野菜の様子を見て、土の乾き具合と野菜の様子次第で水を撒く、定期的に追肥をする、というのは日課となっていました。しかし野菜を育て続けること自体は苦ではなかったのですが、週に1回レポートを投稿する、というのがどうしてもできず、不定期的な投稿になってしまったことを反省しつつ悔しく思っています。ただ、毎日野菜のことが頭の片隅にありながら生活するというのはなかなか普通の大学生ではないことだと思うので、ある意味貴重な経験だったと思います。毎日様子を見て水やりをするという習慣は実際にセメスターと通して自分に身についたし、野菜のために天気予報を見る習慣も身につきました。実際天気予報を見る習慣が身についたのは日常生活においても非常に役立ちました。野菜だけでなく自分の体調管理にも繋がったので非常によかったと思います。また、野菜を育てることで身についたもう1つの大きなものは「責任感」です。渡辺教授が良くおっしゃっていた「野菜は喋らない」「野菜にとっては毎日が平日」などの言葉は私にとってとても印象的でした。意思を持たない「植物」といえども、ひとつの命を育てているという感覚には責任感が不可欠でした。この講義を通して私はそのようなものが得られました。少しスケールが大きくて仰々しいですが、今後自分が子育てをするようになった時、「赤ん坊は喋らない」し、「毎日が子育て」になるわけなので、今まで自分がしてきたような言い訳は通用しないし、どれだけ自分が忙しくても時間を割いて様子を見ながら育ててあげなければいけなくなります。そんな時がやってきたら、この講義で学んだことが多かれ少なかれ生かされるのではないかな、と思います。言い換えれば、今回自分が育ててきた野菜たちは私の子供のような存在だったんだと思います。まとめると、この講義を通じて私は自分の生活の一部に野菜の観察を組み込むことで、野菜のために情報を集める習慣と、命を育てる責任感とを得ることができました。

⑷文章を書くという点で展開ゼミ前と受講後でどのような変化があったか

文章を書く、という点では、以前に比べて大きく成長したと思います。私はいつも記事を書く際に1500字の中で書き始めの挨拶、(何かあるときは)前回のフィードバック、2種類の野菜の近況報告、次回について、という構成で書くようにしていました。そして、その中でも近況報告をする際はできるだけ気づいた点をポジティヴな点とネガティヴな点に分けて両方について言及できるようにしていました。このように文章の構成を考える習慣がついたので、他の教科でレポートを書く際も以前よりスムーズに構成を考えられるようになりました。また、定期的に1500字以上もの文章を書くようになったことで1000〜3000字程度のレポートなどの文章を書くのが楽になりました。これはこの講義を通じてよかったなと思える点です。また、一方でどうしても文章だけで伝えるのには限界を感じることもありました。そういうときに画像にアプリで矢印を書き込んだり2枚の画像を1枚にまとめて比較できるようにしたり、と文章以外のツールを使って工夫するという力も少しついたと思います。時にはこのようなツールに頼ることもありましたが、できるだけ言葉で伝えるためにはどうすればいいのかよく考えるようになったので文章力・語彙力を高めるという目的もこの講義を通じて果たせたと思います。

⑸自然科学的なものの見方を学ぶという点で、自分自身が習得できた点、あるいは研鑽が必要だと感じた点

まず、植物の小さな変化に気づけるようになったというのは科学的視野の成長として捉えられると思います。今まで実家で植物を栽培していた時は、毎日家族で交代しながら機械的に水やりをしたり肥料をあげたりして、「気づいた時にはこんなに大きくなっていた!」という感覚が多かったのですが、今回は1つ1つの成長過程を観察しながら成長を見てきたので、そう言った点では客観的に物事を捉えて観察をする、という目標は成し遂げられたかと思います。また、私はこの半年を通して行き当たりばったりな面も多かったと思うのですが、これは自然科学的なものの見方としてはふさわしくなかったように思えます。例えば梨本くんの投稿のように、多めに株数を残しておいて色々条件を変えて対照比較する、というのは自然科学的な観察においては重要な方法だと思います。何人もの受講生がそのような実験等を行っていたので、そう言った行動は自分も見習うべきだったかなと思います。しかし自分は自分なりにその時々に起こる事態に対して適宜対応してきたので、臨機応変な対応と言い換えればそれはそれで良かったかとおもいます。もう一つ反省として研鑽を積むべきだなと思ったのは、毎回の投稿に基本的な条件の情報が抜け落ちていたということです。多くの受講生が投稿の中にその日の気温・室温や湿度などの情報を添付していたのですが、私はそれを行っていませんでした。天気予報を確認することはしていましたが、天気予報で見られるのは仙台市という広範囲での最高気温・最低気温・降水/降雪量程度なので、植物が位置する自宅周辺での天気として個別に調べると、もっと効果的な観察ができたのかもしれません。植物の栽培という実験をするものとしては気象状況についてはもう少し気を配るべきだったなと思います。

⑹ラボの先生方のコメントに対する反応について

ラボの先生方のコメントは非常にわかりやすく、参考になるものばかりで、私の栽培計画の大きな指針となってくれました。例えばかなり序盤で種子の発芽に失敗し徒長させてしまった時も、先生のコメントをもとに判断を行ってリカバリー(というか潔いやり直し)に踏み切ることができました。帰省の際の対応に関しては事後報告になってしまいましたが、画像を見て判断できる気になることや良くない点をコメントしてくださったので次回の投稿で反省することもできました。他にも写真の撮り方、採寸のアイデア、間引きの方法など先生方から教わったおかげで改善できたことがたくさんありました。私は比較的素直にアドバイスを受け入れたのでより良い方向へと進めることができたし、先生方も私の質問にすぐ返答してくださったり、質問に伴って1歩進んだアドバイスをしてくださったりしたことが本当にありがたかったです。毎回投稿するたびに先生方からコメント(面白いエピソードや余談も含めて!)が返ってくるのがこの講義を受ける上での私の大きな楽しみでした。

⑺中間報告で掲げた目標について

私が中間発表で掲げた目標は

② 定期的な投稿をする

②先輩方のした失敗はできるだけ起こさない

の2つでした。①に関しては、正直完全に達成するということはできませんでした。しかし中間発表前に比べると投稿しなくては、という義務感も大きくなったし、投稿頻度も少しだけあげることができました。とはいえ、約束されている週1回の投稿ペースは守れませんでしたので、とても後悔しています。原因としては、純粋にレポートの投稿に弛緩を確保できなかったこと、もう1つは前回からの大きな変化がなく、何を書けばいいのかはっきりとわからなかったことです。しかしこれは言い訳に過ぎず、ほかの受講生にはできていることなので反省したいと思います。1つ目の原因は、週の決まった時間を開けておくようにすること、2つ目の原因に関しては、大きな変化がなくとも数値化したりグラフ化したりして小さな変化を読み取ろうとしたり、前述した比較実験や装置の工夫などをして投稿のアイデアを増やしたりすることによって改善できたと思います。また、もう1つ立てていた目標②に関しては実質達成できたかと思います。というのも、帰省の間はさておき、後半では失敗という失敗がありませんでした。そのため先輩と同じ失敗を犯すということもなかったのですが、強いていうならもっと先輩方の工夫を参考にしたり真似して見たりして今よりもっといい生育環境を作りだせればなお良かったかなと思っています。

⑻この展開ゼミを通して学んだことを今後どのように生かすか、また、まだ収穫していない作物をどうしていくか

この展開ゼミを通して非常に多くのことを学びました。それも学んだことが全て成功から学んだことなのではなく、失敗から学んだことが多かったように思います。受講申し込みをしたときは毎日観察して週1回以上投稿してやる!と意気込んでいたものの、いざ実際初めて見ると出席のない授業・毎日が展開ゼミ、というのは想像の数十倍は負担のかかるものでした。この授業で学んだたくさんのことのうち1番学ぶことができたのは「継続することの大変さ」だと思います。継続するということ自体は普通の学生にとって難しくないのかもしれませんが、私にとってはなかなか困難なことで、自分の器の小ささに気付かされたようにも思います。ただ、この講義でめげることなく、これからも何かを継続するということからは逃げずに、むしろリベンジのつもりでチャレンジしてみようと思います。この先の大学生活でも、ゼミでの研究があったり就職活動があったり、積み重ねが求められることとぶつかると思うので、その時はこの展開ゼミでの悔しさを思い出したいです。うまくいかないこともありましたが、この講義のおかげで活かせるようになったこともたくさんあります。先に述べたように、自分で野菜を育てるという経験によって野菜への関心が高まったり、植物の尊さにも改めて気づかされました。自然科学的な面でも、天候の農作物に与える影響であったり野菜の収穫期であったり、今まで考えたことのなかったことを考えるようになりました。それだけでもこの講義を受けて良かったなと思います。自分は投稿回数も守れなかったし、創意工夫に富んだ投稿もあまりできませんでしたが、最終報告をするところまでこれたのは、自分の育てている野菜たちに愛着を持てたこと、野菜を育てるうちに責任感が身についてきたこと、場所は各々違うけれど一緒に野菜を育てて投稿の度に刺激を与えてくれる他の受講生がいたこと、そしてこのブログを見てコメントを残してくださる先生方がいたおかげだと思います。最終報告なのでいかにも終わりっぽくなってしまいますが、私の野菜栽培はまだ継続するつもりです。ハクサイに関しては結球していなくてハクサイらしさはないけれど、食べようと思えば食べられそうなサイズまではきてきます。間引きの時点で食べたときも十分ハクサイの美味しさは感じられました。しかしここまで育てたからにはもう少し成長の余地を残してあげたいので、花芽が出て美味しくなくなる直前までは栽培を続けたいと思います。できれば食レポもしたいです。また、大変なことばかりではありましたが、野菜を育てる「楽しさ」も再認識できたので、講義前半で育てていたスプラウト種をはじめとして、簡単な家庭栽培も長期的に続行できればいいなと思います。今後の大学生活では、もう2度とこのような授業は受けられないと思いますが、この講義を通じて得られた観察眼や文章力などは必ず活かしていけると思います。

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以上が私の最終報告です。半年間ありがとうございました。(6102字)

コメント

経済学部・菅原さん

 遺伝の渡辺でございます。今日の15:00くらいだったと思います。最初の投稿を見つけたのが。その時、最終発表と思っていたら、「近況報告」となっていたことに、驚きました。なので、最終発表が間に合うのか、心配していました、ラボスタッフのオガタくんと。というか、時間を17:00までにupload完了と書いておいたので、その時間が来たとき、誰が投稿できているのか、間に合わなかったのか、気にしていたわけです。また、その時間が過ぎた頃に、投稿時間に間に合いませんというmailをくれた受講生もいました。誰なのかは、後ほど、分かると思います。この後に投稿されるでしょうから。そんな風に、社会に出ると、時間に対してとても厳しいです。それを学んでもらうために、中間発表も最終発表も時間をきっちり決めました。それが大事だからです。そのことをしっかり考えて見て下さい。

 植物に限らず、生物の成長は、一般的に温度依存です。温度が高ければ、成長早くなります。展開ゼミが始まってから、時々、渡辺がコメントした中に、例年よりも11月くらいまでの気温は暖かめと書いてあったと思います。今年はいわゆる、当たり年で10月からの栽培には、適していたと思います。波及効果に思い当たらないとありますが、スーパーで野菜を見て、興味を持っている時点で、潜在意識の中で、考えている部分はあると思います。その感覚は忘れないで下さい。植物を見ていたのに、それを文章化できなかったのは、とても残念ですね。今は、理系文系関係なく、文章力は求められます。今回のことで文章力が養成されたと思います。その点を維持するように文章を書くようにして下さい。

 この投稿内容について、ラボスタッフのオガタくんと話をしたとき、最後の写真が、空調の熱交換器の上にあるのを気にしていました。写真を撮るためだけであればよいのですが、そこの場所は、よくないというのをこれまでの記事で、他の受講生に何度も書いていると思います。そんな風に、写真の時だけであれば、そうしたことを明記しておくことは大事なことです。そうしたら、双方向で理解ができますので。

 継続することの大変さは、多くの受講生が書いていました。できた人もいれば、反省の人も。できなければ、次の機会に、それをきちんと達成するようにしてみて下さい。そうしたら、この講義を開いた意味があったと言うことになりますので。開講した側としては。最後に、もう少し栽培するとありますが、経済学部・阿部さんの記事にもコメントしておいたように、現状のハクサイの味、あるいはもう少し大きくなったハクサイの味を味わって下さい。もちろん、対象区の市販のハクサイと比べて。それでその時点で全体を食するのがよいのか、あるいは、経済学部・阿部さんが書いているように、蕾を食べる方がよいのかというのもわかると思いますので。そんな食レポをお待ちしております。


 わたなべしるす