東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

中間発表~植物の力強さと科学的視点での観察の必要性への気づき~(農:川口菜月)

2020年11月22日 (日)

(1) ここまでの栽培において、一番驚いたこと、野菜に対する気持ちや感覚の変化

ここまでの栽培で、一番驚いたことは植物の成長の早さです。まず、この記事に書いたとおり、栽培開始からの1週間で、カブは全て双葉を出していますし、ベビーリーフに至っては成長があまりに早く、間引きのタイミングを逃してしまうという失敗をしました。また、かいわれ1では毎日大体の長さを測り、より具体的な数値からその成長の早さを観察しました。特に3~7日目にかけて毎日1cm程のペースで伸びており、日光にも当てず水だけでこんなにも成長するのかと実際育てて初めて知る衝撃的だったと思います。また、私はかいわれ大根に苦戦しています。成長が早いといっても他の受講生の皆さんに比べるととても短く、また最後に腐ってしまうという問題があります。2回目の栽培や佐々木さんの実験から種やコップに菌をつけないことや水の量は私のかいわれ栽培失敗の原因ではないと考えられるので、現在置き場所を変えて再々挑戦中です。かいわれ大根に対する気持ちは大分変化したように思います。かいわれ大根がスーパーで売られていても買うこともなく、気にもとめなかったのですが、今ではみずみずしいのに腐ったりカビが発生したりせずにかいわれ大根が梱包されていることが不思議で、特に下に敷かれているスポンジの様な素材がとても気になり、スーパーでもかいわれ大根を観察することがあります。ベビーリーフやカブについても同じようにスーパーなどで目指すべき完成形を見て、どうすればこんなに上手く育つのかといったことを考えるようになったことが私の変化です。

(2)参考になった記事となるほどと気づいたこと

佐々木ひなたさん佐々木美園さんの記事です。お二人のこれらの記事には、ゼミの一つのテーマである感じました。ひなたさんの記事ではかいわれ大根が腐ってしまったことに対してしっかりとした考察がされていて、科学的な視点から植物を観察するという点で学ぶべきことが多くあると同じようにかいわれを腐らせてしまった私は、こんな風に考えて観察をすれば良かったのかという気づきがありました。また、美園さんの記事にはかいわれ大根の成分表が、2種の野菜と比較されつつ記されていて、ただ育てるだけでなく、見えない部分にも注目し、調べることも科学的視点での観察であるのだなととても参考になりました。

2018年度の八巻さんの記事もこの記事を書くにあたって、参考にさせていただきました。文字の色が工夫されていてとても見やすく、ポイントもわかりやすいと感じたからです。自分で行ってみて、文字に色をつけることで書く方も伝えたいポイントを意識して文章を書けることに気づきました。

(3)参考になったコメントとどのような気づきがあったか

一週間前に比べて...の記事へのコメントです。私は、いただいた資料を見て、カブの生育適温が15~20℃と書かれているのを鵜呑みして早く寒さ対策をしないといけないとかなり焦っていました。しかし、このコメントから過度な寒さ対策は必要ないとわかり、植物の適切な栽培方法を行うことができただけでなく、温度が植物の光合成や呼吸に与える影響や効果について新しく知ることができました。特に保温をすべきなのは昼間の方だということに驚きました。また、ベビーリーフを収穫しましたの記事へのコメントでは徒長という現象に加えて、横からの写真が記事をわかりやすくしたことがわかりました。私は、毎日実物を見ているので何げなく写真を撮っていたのですが、記事を読んで、より正確に栽培状況を知ってもらうためには、写真にも工夫が必要だと実感することができました。

(4)双方講義で良かったこととそうでなかったこと

双方講義で良かったと思うことは、他の講義よりも、やりがいを感じることができる点です。まず、自分が書いた記事へ毎回コメントが返ってくることがとてもうれしいです。他の授業で提出物に返ってくるのは、点数や評価のみであることが多く、また、自分ももらった評価を見るだけで終わってしまいます。しかし、この講義では行った栽培方法について良かったことや訂正すべきことなどの評価を受け取れば、すぐに次につなげることができます。また、オガタさんの雑談であったり、渡辺先生の記事や他の受講生の方の栽培状況であったりを見ることはとても面白く、励みにもなります。また、自分が頑張って記事(気温、長さ、日数、気づいたことなど)を細かく丁寧に書けば、より的確なアドバイスをいただけるというのは、私の中でかなりやりがいを感じる部分であります。そうでなかったことは進度がわかりにくいことです。今、自分はどのくらい栽培を進めることができているのか、何をすべき段階なのかは、自分が記事を出すまでわからないため、記事を先延ばしにしていると必要な工程のタイミングを誤ったり、逃したりしがちだからです。計画的に記事の作成を進めることやあらかじめ自分で栽培状況に応じてすべきことについて調べておく必要があったと感じています。

(5)残りのゼミを続けるに当たり注意すべきことや目標、学びたいこと

注意すべきことは栽培の進度を適切に保つことだと思います。現在育てているカブは少し小さめで遅れをとっているようなので、このゼミの最終報告までに収穫を報告することを目標に栽培を続けたいと思います。そのためにも、科学的視点での観察はとても重要だと考えています。気温や植物の長さなど測定から、現在の状況や成長速度などを理解することで、正しい世話をすることが可能になるからです。また、学びたいことは、疑問を持ったことにたいして、答えを出そうとする姿勢です。この姿勢は今後学年が上がるにつれどんどん必要になると思うのでこのゼミを通して身につけたいと思っています。他の受講生の方には、すでに自分で気になったことについて追加で実験として栽培を行った方がいます。過去のゼミ受講生の先輩方の行った実験も多くありますがより独創的な実験ができればと考えています。

最後に、これからゼミを続けるに当たっての具体的な目標についてですが

・科学的視点からの観察をより意識して記事を書く

・カブを最終報告までに収穫する

・気になったことについて調べるための実験的な栽培を少なくとも一回は行う

の三つにしたいと思います。

これらの目標を実現できるように頑張っていきたいと思います!(2617字)

コメント

農学部・川口さん

 育種の渡辺です。今年の受講生は水管理がしっかりしていたようで、「徒長」を気にかけることがなかった分、しっかりした生長があったのだと思っています。例年よりも気温が高めに推移したとはいえ、生長が早いとありましたが、川口さんがしっかり、植物の初期生育に対応できたからといえるのだと思います。一方で、カイワレダイコンに苦戦されたのは、こちらも不思議なことでした。カイワレダイコンは、まだまだ、チャレンジすることができますので、色々な角度から条件を検討してみてはどうでしょうか。自分で栽培できるのに購入するのは、どうかと思うかも知れないですが、カイワレダイコンをお店で購入して、自分のものと何が違うのか、必要に応じて、webで会社を検索するなどしてみてはどうでしょうか。見えないものが見えてくると思います。

 科学的観点。これは理系の学部の方にはもちろん大事なこと。ラボスタッフのオガタくんからのコメントにあったかもしれないですが、比較をするときに、対象区、つまり、何もしてない条件のものを作ること。それがあって、はじめて、成立します。後半は是非、葉っぱのどこかを計測するなど、生長の様子を数値化することにチャレンジしてはどうでしょうか。

 普通の講義であれば、教科書のここまでやれば終わり、というのが決まっています。でも、学部の4年生、さらには大学院生、その先の社会人になった時、やるべきことは、ここまでということは少ないと思います。その意味で、今回の展開ゼミはいわゆる「青天井」の世界です。どこまでやってもよい。ここまでで終わりはないということです。それが大学のまなびの本質です。その意味では、自分で目標を作り、それを突破する。それができたら、さらにその上を目指すこと。そんなことを後半戦は心がけるのはどうでしょうか。この展開ゼミがまなびのあり方を変える転換点になれば、幸いです。後半戦、最終報告を楽しみにしています。


 わたなべしるす

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