東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【アウトリーチ活動】宮城県宮城第一高等学校・進路講演会、栃木県立栃木高等学校・SSHオープニング講座(4/24, 4/26)

2018年4月24日 (火)

 週末までは、ずいぶんと晴天続きで。一転、週明けの月曜日は1日中、12oC程度。3月の気温なのでは。。。火、水曜日は雨の予報。20oCを下回るような気温の方が植物にも、人間にもよいのですが、週末の旗日というか、最初の連休のところは気温が上昇とか。。沖縄の西表島では、今年初の熱帯夜とか。。。昨年よりは遅いようですが。。。南北に長い日本列島を象徴するような気温の変化かなと。。。世の中的には、愛媛県今治市関連の問題は解決の糸口が見えず。。。一方、プロ野球界の「鉄人」が亡くなられたと。。。先週の野球解説で声を聞いたような。。。生き方も同じように「鉄人」だったのだろうと。というか、そうありたいと。。。


 4/24(水):宮城県宮城第一高等学校・特別講義「進路、人生をこれと思う方向に進めるために!!」

 そんな雨降る火曜の午後。かれこれ、10年くらいになると思います。宮城県宮城第一高等学校への出前講義。最初の頃は、理数科対象でしたが、途中から、1年生全体への講義に。以前は研究室に同校の卒業生がずいぶんいた時期もあったのですが、今は、増子さんだけに。。。時代によって、メンバー構成も波がありますので。

 講義の中身は、先週の福島県立福島高等学校での「キャリア教育」と同じ内容。ただ、同じスライドを使っても、その場の雰囲気で、話す内容が変わってしまうのが、よいことなのか、そうでないのか。。。講義の最初に、小学校時代に渡辺の出前講義を聴いたことがある方。という調査をするのは、この学校での通例に。仙台市内なので、いくつかの小学校で出前講義をやっていることもあって。。。今年は3名だったでしょうか。お目にかかった方々が。ありがたいことです。講義はいつものように、こちらから問いかけながらの、いわゆる、双方向での形式。なれてないのか、最初は少し反応がと思いましたが、。。イントロは、渡辺の出身地、愛媛県今治市。最近、ずいぶんと世の中で話題になっていますので。そんなことを話したのも、色々なことに興味を持ってほしいと。そんな多様な刺激がこれからの人生で活きてきますので。そんな渡辺が遺伝学をやるきっかけは、テレビのドキュメンタリー番組。人生の曲がり角というか、そんなことは意外な場所にありますので。

20180425133950-6538629d2231ddc838522b601f4a0f16ce797af0.jpg 小学校時代の渡辺は基本、今の子供たちと同じ。違うのは、パソコン、スマホ、ゲームなどがなくて、遊ぶの外で。そこで以下に色々なことを考えているか。工夫しているか。あと、科学に興味を持つようになったのも、当時のアニメの科学力。今のアニメですごい博士が出てきたら。。。きっと、違ってくるのではと。科学力を子供時代に身につけたものに、学研の科学と学習があったのですが、今の世代にその話をしても。。。実際に実地検証しないといけないので。あること、ないことの有意差を。難しいのだと。。。現実には。。。

 高校生になってくると、それまでは比較的全ての教科で学習をこなしていても、少しずつ不得意というものが出てくるわけです。渡辺は、国語、英語がmainだったでしょうか。今となっては、なぜできないのか、分からないところはありますが、文章をこうして書くことはできているし、科学論文ですが、英語で書いています。その意味では、高校時代のことはそれなりに基礎になっているかと。。。あと、大事なことは、数学で考えるということ。どの当たりで世代が変わったのか。数学の問題集に解法がつくようになったこと。解法があると、それを見て、覚えようとする方向に走るので。そうでないように、考えることを習慣にしてほしいと。この講義が進路講演会ということで、進路、つまり、3年弱で、センター試験なのか、新テストなのか。いずれ、そうしたものを受験するように。何を大学でやりたくて、進学するのか、しっかりと考えてほしいと。。渡辺の所で院生をしていた先輩の話なども出しながら。。

20180425134007-9d206cb3680189f33667a2e17f63e902c27a8e27.jpg 大学で何を学ぶのか。。。何を学んだのか。渡辺の場合は、それでめしを食うということ、飯の種。もちろん、その過程で、よき師匠にも出会い。。。そう考えると、他の大学に進学していたら。。。もちろん、時代を逆算しないと分からないことなので。。。なかなか難しい選択肢ですが。また、世界を目指しての研究であれば、生物系というか、農学系というか、そんなところは、基本、Nature, Scienceへの論文掲載。fieldによっても違うと思いますが。。。ただ、世の中の博士、教授に比べて、遙かに厳しい世界も。渡辺がたまに書く、将棋の世界もその1つかと。最近の高校生は本を読まないとか。これも、スマホなどの影響なのか。渡辺も本を読むのは、苦手でしたが、それでも、それなりには。なので、気に入った本を読んでみること。また、歴史を学ぶのは、人間の成功失敗を過去の例として学ぶこと。そう言うようにちょっと角度を変えれば。。。ということではないかと。講義がほぼ終わるところで、写真撮影をお願いしてないことに気がつき。。。後の祭り。。講義のあとに、担当の佐藤先生にお願いして、頂いた写真がここに使わせて頂いております。

20180425134025-a55fe80ed2f30b959554eea0e239f16b31ffc6a9.jpg 講義のあと、質疑の時間、10を超えるような質問があったのでは、。。こちらとしては、かなりこたえにくいような内容もありましたが、まあ、可能な限り。。。色々な質問がありましたが、感動的だったのは、親の背中をみて、その職でがんばりたいと。とても素敵な親御さんなのだろうと。。。そんなことを感じた時間でもありました。一方で、50年の人生しか歩んでないですが、何か、これというものを達成するとき、それに伴い、ある種の犠牲が生じることは、人生では多いことではないのかと。二兎を追う者は一兎をも得ずということにならないように、ということかなと。最後になりましたが、講義を設定頂きました佐藤先生をはじめとする関係の先生方にこの場を借りて、お礼申し上げます。生徒さんたちからのレポートを楽しみにしております。

20180425134041-c62203a0f0461236910399f8a90f1b8d824144f9.jpg PS. 講義が終わったあと、昨年度・科学者の卵養成講座の重点コースだった生徒さんと議論の時間を。。。3月の発表会以来でしたが、何よりも、最後まで歯を食いしばってやってみること。そうすれば、先は見えてくると思います。頑張れ、受験生。

 PSのPS. 講義でも話をしたとおり、歴史から学ぶことは大事なこと。昨日のテレビで、「先人たちの底力」というのを見ていて。。率先垂範と言えばよいのでしょうか。まずは、隗より始めよと言えばよいのか。。。最初から見ていなかったですが。。。改めて、人としてのあり方を学んだ時間でした。再放送されればよいのですが。。。



 4/26(金):栃木県立栃木高等学校・SSHオープニング講座「高校での課題研究が、大学・大学院での研究につながる」

 1ヶ月ちょっと前には、当時の1, 2年生向けに「農学・生命科学入門」ということで、30名程度の生徒さん向けに、渡辺が普段、研究を行っている「自家不和合性」の話と、その渡辺自身の歴史というか、キャリアというか、そんな講義を。この1ヶ月で、年度が替わっているので、講義をした生徒さんたちは、2, 3年生に。今回は、新1年生向けに、SSHオープニング講座ということで、昨今のSSHでは、一部の生徒だけでなく、学年全体の生徒さんたちで「課題研究」を行うということが、常態化。そうしたこともあり、講義では、「課題研究」をどの様に展開するのか、また、残りの時間で、少し短いversionでのキャリア教育を。

20180427121219-7517d74f3db0e4b2c801abbd1caab1225d2e23ce.JPG 小学校、中学校の時に、自由研究を行い、入賞したような方も。ただ、一方で、自由な発想で研究を行うということは共通点はあるかも知れないけど、厳密に条件を設定し、どの因子を変えると、何が表現型として変わるのか、ということを行ってほしいと。一度にたくさんの因子を振ってしまうと、何が原因なのか分からなくなってしまう訳なので。それから、意外とできそうでできないのは、繰り返し実験をして、統計的な処理をすること。1回、結果が出ると、それに満足しがちなところを、そうでなくて、しっかり、そのdataの傾向を理解すること。実験によっては振れ幅が大きいこともありますし、その振れ幅の大きさが、別の要因を理解する上で、重要であったり。。。それから、大事なこととして、実験結果は、どの様なことも記録を取ること。失敗と思っても、それを残すことで、継続して実験をしてくれる後輩たちが同じ失敗をしないようにするための「大切な伝言」であると。。失敗すると、かっこよくないとか、そんなことを思いがちかも知れないですが、そんなことはないわけで。。

20180427121303-38ce8c5f1c802dec9d091c5dd7f82d55a755b06b.JPG 実験をしたら、それで満足という方も。それではよくないので、きちんとした発表、論文にまとめて報告して、1つの研究が完了だと。また、科学論文の書き方には、ある種のルールがあるので、それを守って、また、どの様なイントロ、タイトルをつけるかによって、それを見てみたいというようなわくわくするようなものにしてほしいと。これらは、大学、その先の社会人になっても重要なこと。難しいかも知れないですが、少しずつ学ぶこと、身につけること、何より、考えながら行動することを、この課題研究で行ってほしいと。

20180427121327-bd54b8c8ddef65e5a50dcb748dc94660f7f01b8b.JPG 後半というか、1/3くらいの時間を使って、渡辺のこれまでの歩みを。科学者を目指したきっかけは、子供時代のアニメの影響。植物の遺伝学をやろうと思ったのも、高校時代のテレビ番組を見て。。。なので、何をやるにも、きっかけはどの様なことでもよいわけです。将来について、これということがないという方もいましたが、できることをやってみることではないかと。また、人生の転機もたくさんあるもので。渡辺自身、東北大に来たので、今の研究人生があると。そうでないところに言っていたら、別の職でということになったのでは。。。それはいつも思うことなので。ただ、今できることを、しっかりやること。できるだけ、積み残しであったり、後回しにしないで。。すぐにできることはすぐにしっかりやる。できそうでできないことかも知れないですが。。。最後のところは、いつもの組織論。盛り上がりがもう少しあるかと思いましたが、世代の違いか、男子校だからなのか。。。いずれ、失敗にへこたれないでやってみることですから。

20180427121348-9780c6b2f08eef0092ebf2d099f7886288ff98e2.JPG20180427121403-12853a5b6a5814bb9c41cba0b3aad84c055c9071.JPG 最後の質疑の時間には、10を超える多様な質問が。文理選択、課題研究の方向性、将来について等、今回の講義を踏まえて、それぞれが色々と考えたのだなと、実感できるdeepな議論の時間でした。講義の前後には、大橋校長先生、SSH担当の須藤先生を交えて、SSHというプログラムの本質、今後の展開の方向性に始まり、多岐にわたった教育問題について、意見交換をできたのは、これからのアウトリーチ活動だけでなく、大学の教育をどう展開するかということのヒントを頂いたような、貴重な時間でした。ありがとうございました。最後になりましたが、今回の講義を設定頂きました、SSH担当の須藤先生をはじめとする関係の先生方にこの場を借りて、お礼申し上げます。今後ともよりよい形でのコラボができればと思いますので。ありがとうございました。

20180427105753-e540e944e20c9d043b41c9700cf92470aa777302.JPG20180427105831-0d81d6c74b90fe52b6cda212fecf6d4fec39930e.JPG PS. 前回の3月の出前講義の時も、歴史的建造物を拝見できたのですが、今回は大橋校長先生、須藤先生に、講義前の時間使い、「記念図書館(養正寮)」を案内頂きました。大正3年の建造物。その後の歴史にも耐えて、現在に。1Fは放課後の自習室になっていると。この建物のスペースを含めて、自分のスペースが確立されているというのは、感動でした。かなり遅い時間まで自学自習ができる。大学の研究室の居室のようなスペースで。こうしたことで、自ら学ぶことの大切さを実感できているのだろうと。2Fは、囲碁将棋部が毎日の鍛錬の場に。県内でもトップクラスの成績収めているというのもうなずけるような雰囲気がある空間でした。そんな空間にも、少し季節外れの来訪者も。。。昔取ったなんとかで、排除はしたのですが。。。ちょっと危うさがあったのは、反省でした。

20180427105933-76996654ba14510bfd291befe6cd854d3aaceee2.JPG20180427110007-9eadddffcf2e478171ff7f9b7201ce5c24ad1b94.JPG
 わたなべしるす





 







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