東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

2015年度海外調査① 韓国(その1)

2015年4月27日 (月)

 大谷大学のたけだです。
 
 4月25日より、等々力博士とともに韓国に来ております。一昨日は、ソウル市内
東大門地区にて、韓医薬博物館と京東市場の見学・視察を行いました。
 韓医薬博物館では、金先生のご案内で博物館の概要の説明を頂きました。この
博物館は民間資本が設立した博物館とのことで、金先生はもともと別のご職業を
定年になられた後、ボランティア説明員として応募され、そこから韓医薬の知識の
勉強を開始されたのだとか。とてもそのようには感じられないほど豊富な知識を
お持ちで、高麗人参をはじめとする多種多様な薬草・薬物の効能や用法について
解説をして下さいました。
 
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 見学の後は、ガイドの朱さんにお手伝いを頂いて、隣接する京東市場にて野菜の
市場調査と聞き取りを行いました。今でも、韓国ではスーパーマーケットではなく、
昔ながらの市場で食材を調達する家庭が多いということです。市場の中を歩くと、
魚や肉、野菜、味噌などの調味料の香りに満ちていて、嗅覚をはじめとする五感が
とても鍛えられるような気がします(笑)。日本の都市部に住む私たちにとっては、
普段は体感できない経験ですね。
 私たちの目当ては、当然にしてアブラナ科野菜でしたが、結構いろいろな種類が
売っていました。大根や白菜、キャベツ、ブロッコリー等が主なものでしたが、その
中には日本ではあまり見かけないような形状のものがありました。
 
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 上の写真のタイプの大根は、細かく切ってキムチ漬けに使ったりするんだそう
です。日本だと、辛味大根で似たような形状のものがあるとのことでした。
 あと、もうひとつのタイプはこの大根。済州島産なのだとか。日本でみるもの
とはいささか異なり、結構ずんぐりとした形状ですね。それにしても、こういった
形状の差異とはどういうところから生まれてくるのでしょう。植物学・育種学は
専門外である私にとっては、とても興味深いことなのですが。
 
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 さて、昨日は国立中央博物館と国立民俗博物館の視察・見学を行いました。
国立中央博物館を訪れたことがある方は数多くおられると思いますが、2005年
に現在の龍山区に移転して新たに開館しました。現在の建物は、世界でも有数
の規模を誇る規模であるとのこと。

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 館内の展示物の大半は歴史・考古・美術系の文化財ですが、いろいろ見ている
と実に興味深いものもありました。

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 19世紀の画人で官僚でもあった申命衍の手になる草花図です。精緻な観察に
基づいてきわめて写実的に書かれています。こうした絵画資料で近代以前の野菜
を描いたものがまとまってあれば、アーカイブ資料としてひとつの手かがりに
なると思われます。
 日本では、江戸時代後期の農書の中に精緻な図像で農作物を描いた事例が
あって、既に研究されています。その図像は、今日の農学関係者が見ても特徴
を観察するのに充分堪えるレベルにあるとのことでした。
 続いて、景福宮の側にある国立民俗博物館をお訪ねしました。ここでは、主に
民俗学的な見地からの展示がなされていて、キムチ漬に関する展示コーナーも
ありました。

 以上、日程の都合もあり、あわただしい二日間でしたが、この日の夕方には仙台
から渡航してこられた渡辺先生と、ご同行を頂く順天大学の朴先生とも合流できて、
次の訪問地である大田へと向かいました。


以上、たけだ識す。

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