研究経過
【プレスリリース】ヒメツリガネゴケをモデルとしてメスの生殖器官発生を運命づける転写因子PpRKDの同定に成功(榊原班)
December 4, 2024 5:30 PM
Category:プレスリリース, 論文発表
main:榊原班
計画研究・榊原班の立教大学 養老瑛美子助教・鈴木誠也氏(修士課程学生)・秋吉信宏助教・榊原恵子教授、金沢大学 小藤累美子助教らの研究グループは、同じ個体の同一頂端にオスとメス両方の生殖器官を発生するヒメツリガネゴケにおいて、メスの発生運命を決定する転写因子PpRKDを同定しました。
植物には、同一個体にオスとメスの両方の生殖器官をつくる種が大多数存在します。それらの種は、生殖器官をつくる際に、オスとメスのどちらの生殖器官をつくるのかを制御しています。陸上植物が最初に進化させたオスとメスの生殖器官は、造精器と造卵器です。しかし、これらの発生運命がどのような因子によって制御され、オスとメスがつくり分けられているのかはいまだよく分かっていませんでした。コケ植物のヒメツリガネゴケは、茎葉体と呼ばれる茎葉構造の頂端に、先にオスの生殖器官(造精器)が発生し、後からメスの生殖器官(造卵器)が発生します。本研究グループは、ゲノム編集と相同組換えによる機能欠失変異株および誘導的発現株を作製し、発生初期の生殖器官の頂端細胞を共焦点顕微鏡で観察することで、メスの発生を運命づける転写因子PpRKDの同定に成功しました。PpRKD遺伝子が働かないと、メスの生殖器官がつくられず、オスの生殖器官でPpRKD遺伝子を働かせるとオスの生殖器官がメスへと性転換することが分かりました。
◆詳細はこちらをご覧ください>立教大学のHP
<発表論文>
雑誌 New Phytologist
題名 The transcription factor PpRKD evokes female developmental fate in the sexual reproductive organs of Physcomitrium patens
著者 Emiko Yoro*, Seiya Suzuki, Nobuhiro Akiyoshi, Rumiko Kofuji, Keiko Sakakibara*
*責任著者
DOI 10.1111/nph.20262
URL https://nph.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/nph.20262