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研究成果がPlant Cellに掲載されました

アブラナ科植物の有性生殖において、花粉と雌ずいの接触に始まる初期受粉過程は、最初の雌雄ゲノム遺伝子相互作用の場として重要です。昆虫等により無作為に運ばれてくる花粉の内、異種の花粉(種間不和合性)や、同種であっても自己の花粉(自家不和合性)は、この段階で発芽・伸長できず排除されます。本研究では、同種の花粉表層物質中に、雌ずい乳頭細胞から花粉に向けてCa2+を含む水の供給を誘導する未知の物質が含まれていること、自己の花粉の場合にはその誘導が阻害されることを明らかにしました。また、和合受粉時の乳頭細胞から花粉へのCa2+供給に自己阻害型Ca2+ポンプの一種ACA13(autoinhibited Ca2+-ATPase 13)が関与することを明らかにしました。初期受粉過程における和合・不和合反応に関わる分子の一端を明らかにすることができました。
A pollen coat-inducible autoinhibited Ca2+-ATPase expressed in stigmatic papilla cells is required for compatible pollination in the Brassicaceae
Iwano, M., Igarashi, M., Tarutani, Y., Kaothien-Nakayama, P., Nakayama, H., Moriyama, H., Yakabe, R., Entani, T., Shimosato-Asano, H., Ueki, M., Tamiya, G., Takayama, S.
Plant Cell (2014) 26, 636-646.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24569769
高山班201402.jpg

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ビジネスと恋愛を遺伝子から語る

アウトリーチ活動

山元は、月刊男性誌『GOETHE (ゲーテ)』(幻冬舎)4月号の特集、"モテる経営者、モテない経営者"のインタビューに答えて、ビジネスと恋愛の成功を行動遺伝学の立場から語っています。

出典:山元大輔(2014)モテ要素はどこから来る? GEOTHE 9(4), 094.

GOETHE9(4)2014.jpg

図:山元のインタビュー記事

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生殖幹細胞の増殖停止機構に関する研究成果を日本語で解説

研究成果

山元班の濱田らによるScience掲載論文の内容を紹介する邦文総説、『チロシンキナーゼBtk29Aはショウジョウバエの卵巣のニッチにおいてWntシグナル伝達系を増強することにより生殖幹細胞の増殖を停止させる』をライフサイエンス新着レビューに発表しました。

出典

http://first.lifesciencedb.jp/archives/8332


ライフサイエンス新着レビュー.jpg

 

本研究の主役、Btk29A変異体ショウジョウバエの卵巣に見られる腫瘍

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アウトリーチ/広報

山元班の濱田(川口)典子らは、ショウジョウバエ卵巣の生殖幹細胞に対して増殖停止を働きかけるニッチの役割を解明し、2014年117日発行のScienceに発表しましたが、その成果はさまざまなメディアの取り上げるところとなりました。新聞では、朝日新聞(123日朝刊21面)、毎日新聞(123日朝刊17面)、河北新報(11725面)に、Webでは、

QLifePro:

http://www.qlifepro.com/news/20140127/genetic-mechanisms-prevent-the-brake-ovarian-tumor-cell-proliferation.html

日経プレスリリース

http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=353156&lindID=5

Yahoo news:

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140117-00000154-mycomj-sci

などに掲載されました。

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山元班の濱田(川口)らの論文がSCIENCEに掲載されました

研究成果

山元班の濱田(川口)典子らは、ショウジョウバエの卵巣で二次生殖幹細胞の増殖をオン‐オフするニッチで働くスイッチ機構を解明し、2014117日付のScienceに発表しました。

 ショウジョウバエの卵巣小管の基部には体細胞で構成されるニッチに囲まれて生殖幹細胞が存在し、分裂のたびに自身と同じ生殖幹細胞と、のちに分化経路に入るべく運命づけされた二次生殖幹細胞=シストブラストの二つの細胞を生み出してゆきます。シストブラストはその後4回の分裂によって16個の生殖細胞を作り、うち1個だけが卵細胞へと分化して、残りは哺育細胞となります。濱田らは、Btk29AというTECファミリーの非受容体型チロシンキナーゼの機能喪失型変異体では、シストブラストが分化に向かわず増殖し続ける結果、卵巣に腫瘍が生じることを見出しました。詳細な解析の結果、正常型Btk29Aはシストブラストそのものの中で働くのではなく、ニッチを構成する体細胞で機能し、b-cateninのチロシンリン酸化を介してpiwiの転写をup-regulateする結果、シストブラストの増殖をニッチ側で抑制していることが判明したのです。チロシンリン酸化されたb-cateninpiwiの転写を直接活性化するのか否か、ニッチから出されるシストブラスト増殖停止シグナルの実体は何か、などは今後の課題として残されています。

 本研究は、幹細胞に"外"から働きかけて増殖を止めさせる仕組みの実像に迫る大きな一歩であり、幹細胞制御に新たな突破口を提供する画期的成果です。

 

出典:Hamada-Kawaguchi, N., Nore, B., Kuwada, Y., Smith, C. I. E. and Yamamoto, D. (2014) Btk29A promotes Wnt4 signaling in the niche to terminate germ cell proliferation in Drosophila. Science 343, 294-297.

http://www.sciencemag.org/content/343/6168/294.long#corresp-1


Cover_Hamada-Kawaguchi6.jpg

 


Wnt4機能低下型突然変異体の卵巣小管基部のニッチ[濱田(川口)原図]

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