【研究室訪問】山形県立鶴岡南高等学校理数科・SSH理数セミナーI・研究室訪問、実験実習「バナナからDNAを」、特別講義「自家不和合性、植物の生殖」(3/18, 10/5追記)
2016年3月19日 (土)
今年のソメイヨシノの開花は例年よりも早いとか。仙台は現在、ちょうど、ウメが満開の時期のような。いずれ、あっという間に、春のバラ科の開花シーズンが終わるのだろうな。。。そんな中、ここ数年、年度末最後のアウトリーチ活動は「山形県立鶴岡南高等学校理数科の研究室訪問、実験実習、講義」。今年で5年目となりました。リクエストを頂いた時点では、年度最後のアウトリーチ活動の予定でしたが、3/20(日)に、研究室見学に岡山県立倉敷天城中学校・高等学校の生徒さんが来るということで、いつもの年とは少し実施日程がということはありますが、いずれ、定例の山形県立鶴岡南高等学校の生徒さんたちにきていただけるのは、ありがたいことです。というのも、渡辺が大学、大学院、助手時代、それ以降もずっといろいろな面でお世話になった、師匠である日向先生の母校が、山形県立鶴岡南高等学校。そんなこともあり、渡辺の定年まで、というと、ずいぶん大げさかも知れないですが、何をおいても、このアウトリーチ活動は賜りますので。。。何よりも、現在の渡辺がこうした活動ができているのも、師匠の日向先生のおかげですので。そんな風に思うのも一昨年にこの世を去られて、いらっしゃらなくなって余計にそう思うのかも知れないです。
9:00からのスタートだったのですが、30min近く早い到着。高校の頃、5min前行動とかいって、早めにということを言われていましたが、この行動力に感動させられました。で、今年も研究室見学だけでなく、例年通り、実験、研究室見学、講義という一連の流れで。今年度の研究室訪問の1年生は20名。去年より少し多いですが、実習などをする上では、ちょうどよい人数で。最初は「バナナからDNAをとて見よう」という実験。2名ずつの10グループでがんばってもらいました。高校での実習で、ブロッコリーからDNAをというのをやったことがあるそうですが、それよりは操作が簡単で。あとは、お渡しした簡便に記した実験のプロトコールの行間を読むというか、どこを工夫するかということは、次年度からやることになるであろう、課題研究だけでなく、普段の高校での授業でも考えるということの大事さを理解するきっかけになってくれればと思います。今年度は、最後の講義の時間を少し長めにと思い、少し時間を短くしての実験でしたが、ちゃんと皆さん、うまくいって、ほっとでした。
2つ目のテーマは、研究室見学。TAの辺本さんに外のガラス室を。岡本君にはカメラマンとして。。渡辺が研究室案内。今年度もずいぶん多くの高校生などが来てくれるたびに、案内してくれているので、こちらは安心。高校では見ることができないいろいろなもの、アブラナ科植物の多様性を実感できたのではないかと思います。花粉症の関係で、アブラナの。渡辺は中の説明を。渡辺のイスで教授の気分を味わいたいという生徒さんも多くいて、何かの励みになればと思います。また、研究室が広いと、感動を頂いたのは、ありがたいですね。。。
最後は講義。渡辺の自己紹介の前に、庄内地方の著名な方はという質問に、「石原莞爾」、「ウド鈴木」という答えが、。。名誉市民はということに対して、「横綱・柏戸」というのが出てこなかったのは、少し残念でした。こちらで調べたとき、「第28代・木村庄之助」が鶴岡市名誉市民だったのは、こちらも存じ上げず。。。で、渡辺の師匠であった日向先生も鶴岡南高の卒業生であり、名誉市民。また、渡辺が所属しているというか、昔は、附属農学研究所。そこで教授をされていた菅先生も同じく鶴岡南高の卒業生。そんな中で、渡辺がこうしてお世話になった先生方の後輩の皆さんに講義をするとは。。。ありがたいことです。作物の花とその名称は、よく知っていましたね。感動でした。いつものように、niceな解答に渡辺の論文の別刷を。庄内の自然をよく観察していると、実感できた瞬間であり、そのことがきっと将来の科学であったり、日本国のために役立てる人材になれると。ふと、そんなことを思いました。
ハチがいろいろな花を飛ぶと、雑種ができないか、そうでなくて、できる可能性はあるわけですが、何が壁となっているのか。そんなことを考えてほしいわけですが、その以前の問題として、「花の旬」、つまり、いつその花が咲くのか。結構難しいようです。というのも、シーズンを問わず、共通な花があったりするからなのか。注意力がいってないからないのか。。。もちろん、自家不和合性のような他殖の仕組みがなぜ必要なのか、そのために、雌しべの先端で、自己・非自己花粉を識別していると。SP11-SRKというちょうど、鍵と鍵穴に相当するような分子を使って。また、受精の所は、これもいつものことですが、名古屋大の東山先生から動画をお借りして。東山先生も鶴岡南高の卒業生。知っている方もいて。受精の動画には、やっぱり感動のようでした。自家不和合性のような「鍵と鍵穴」分子が胚嚢の助細胞と花粉管の間で相互作用が起きていると。また、その花粉管の受容体である鍵穴分子も先日同定されたと、Natureに報告されたことを。多くの著名な先輩のようにがんばってほしいと。質問では、他殖の中でも同種、異種の区別はどうなっているのかなど、鋭い質問がたくさんでした。その感覚を2年生からの課題研究に活かして下さい。
講義が終わったあとに、代表の高校生から今日の講義のお礼の言葉。とてもしっかりしたコメントを頂き、今回の講義等がよい刺激となり、これからの進路に活かしてもらえることを時間できました。最後は、例年通り世界に向けて情報発信。進路を決めている生徒さんが多く、その中には農学部で研究をして、農業を盛り上げたいと。感動でした。ぜひ、渡辺の所で、自家不和合性研究をして、先輩たちの偉業を超えるすごいことをやりましょう。楽しみにしております。
最後になりましたが、引率頂きました、鶴岡南・三宅先生、ありがとうございました。また、次年度も楽しみにしておりますし、是非、科学者の卵養成講座にも、より多くの方がご参加頂ければと。。。また、今日の実験、講義、研究室見学をお手伝い頂いたTAの辺本さん、岡本君、また、準備を頂いた多くの方々に 感謝します。ありがとうございました。研究室見学等のアウトリーチ活動も、冷静に考えると、日曜日の日本植物生理学会での高校生発表会でのコメンテーター、審査員、夕方には、研究室見学。という2つのイベントで、今年度も無事終わりに。。。研究室の皆さんのおかげです。今年度もありがとうございいました。
わたなべしるす
PS. 引率できて頂いた三宅先生。帰り際に、話をしたら、専攻は農学部で、植物育種学。。。びっくりでした。もしかしたら、どこかの学会でお目にかかったことがあったのではと。世の中狭くできていると、また、今日も思ったのでした。
PS.のPS. サインをしていたら、渡辺が共同研究されている先生をよくご存じだと。。。あまりにびっくりでした。同郷とは言え。。。やっぱり、世の中は。。。でした。
PS.のPS.のPS. 10/5(水)、今日、鶴岡南高等学校から、「つるなんSSH通信」を頂きました。21号になります。そういえば、以前、頂いた20号に、この時の訪問の記事があったと。そのlinkを入れようと思っていたのですが、忘れるのは、あっという間で。。。ここから、「つるなんSSH通信」20号の東北大訪問の記事のpdfへ。。。お時間の許す範囲で、ご覧頂ければ、幸いです。