東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業))

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平成28年度 活動ブログ

平成28年度 活動ブログ養成講座の活動を記録しています

2016.07.16

第三回講義を終えて

こんばんは、群馬県立前橋高等学校の山田桂一です。

本日の講義について早速記事にしていきます。

本日は、午前は長神風二先生によるサイエンスカフェ「科学・社会・生命倫理」、午後は海野徳仁先生による講義「地震学のすすめ」と伊藤幸博先生による講義「DNAと遺伝子組換え植物」を受けました。

サイエンスカフェでは、研究成果の倫理的問題について考察しました。

まず、今後510年の間で実現しそうな技術について個人で考え、その後、班の人たちと交換し、協力してその技術の悪用法を考えました。

自分では良かれと思って考えた案であっても思わぬところに落とし穴があり、それへの対応策を考えるのは難しいものでした。

サインスカフェを通して、新しい技術の研究・開発をするときには、その利点と危険性を、開発者というその技術に最も精通した立場の人間が、十二分に理解し吟味して、危険に対応しうる準備をしておくことの重要さを学びました。

私はこれまで、研究はその分野を修めた人のみで行われるものであると思い込んでいました。しかし、今回、研究成果を社会に出すためには、多岐にわたる危険性を、他分野の専門家と共同で探らなければならないことを知りました。そのためにも、閉鎖的、盲目的に研究を行うのではなく、他の学問との横のかかわりも重視すべきであると感じました。

しかし、このことは最近になってようやく遵守されるようになったものの、今でも曖昧な落としどころを探りあっている状況であるそうです。しかし、新技術の危険性が、暴力的な側面だけでなく、「差別」という定義づけしにくい分野にまで及んでいるため、完璧にするのは不可能だと私は思います。技術の発達と倫理的問題との両立を図るためには、やはり綿密な対策を練ったうえで妥協点を見つけて運用していくしかないのだと思います。

研究職に就くことを志望している私にとってはとても深く考えさせられた素晴らしい時間でした。

昼休みの時間では、ひよこの方と話しました。

偶然にも、私の志望している農学部の方で、大学生活や本の話など大変参考になりました。

私は、身の回りに農学の分野に進んだ人がいなく、話を伺う機会が皆無なので貴重な時間でした。紹介してくださった本は今度読んでみます。

海野先生の講義では、地震について、アニメーションや地図を用いて非常にわかりやすく教えていただきました。海底に圧力計や光ケーブルを埋め込む日本海溝海底地震津波観測網のプロジェクトで、これまでは地上のデータしかなかったが海底のデータも得られるようになり、さらに、緊急地震速報や津波警報もより速く正確になる取り組みはとても興味深く感じました。

地震についてだけでなく、「逆問題を解く」という自然科学を研究する上で大切なことも教えていただきました。

確かに、自然科学の研究では、結果だけわかっていて、なぜ・どのようにそうなるのかという過程を模索することが多いように感じます。その際に、検証するデータに大きな誤差があると可能性を絞り切ることができないためデータはより正確なものでなければならないこと考えられる可能性は複数存在し、そこからさらに検証を進めていく必要があることなど、この講義でも科学者としての姿勢を学ぶことができました。

伊藤先生の講義では、遺伝子組み換えの技術について、噛み砕いた言葉で、面白おかしく且つとてもわかりやすく教えていただきました。

遺伝子組み換えの技術はもともと関心を抱いていた分野でしたが、同時に、その方法について書籍やインターネットを利用して調べても今ひとつ理解にかけていた分野でもあったので、今回の講義ではそれを理解することができ、悩みが一つ解消されました。今回の講義でより興味が湧いてきたので、個人的に調べて学びを深めていきたいです。

また、表皮細胞ができなくなり、その結果細胞内部も不完全になり成長が妨げられるというONION1の例のように、一つの遺伝子に異常が発生すると複数の異常が全体に起こることは大変興味深く感じました。

本日は、「科学者とは何か」を深く考えさせられた一日でした。ただ自分の専門分野を研究するだけでなく、倫理的背景や、他の学問とのつながりなど、社会に流布させるには課題がたくさんあること、自然科学の研究は多くが逆問題であること、といったことを学び、これに対しどう向き合っていくのか、ただ諭されるのではなく、自力で考察することが多かったように思います。しかし、自分で考え、周りの人と議論を交わすことこそが本当に大切であるということも感じました。

投稿者:群馬県立前橋高等学校

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