こんにちは。岩手県立盛岡第一高等学校2年の佐々木あゆです。
私事ではありますが、今週の水、木、金曜日の3日間で2学年理数科の一大イベントでもある筑波研修があり日本の最先端の技術を扱う施設を見学してきました。科学の分野から生物、物理、地学、宇宙とたくさんの研究に触れることができて心惹かれる想いでいっぱいでした。世界の中でも最先端と誇れる日本の技術は私たちの知らないところで数多く生み出され日々進み続けているのです。ここで一つ、岩手県民として国際リニアコライダー(ILC)についての技術を学んだ高エネルギー加速器研究機構(KEK)でのお話について少しだけ紹介していきたいと思います。実際ILCで使われる加速器。高エネルギー加速器は、電子や陽子などの粒子を光の速度近くまで加速して高いエネルギーの状態を作り出す装置で実際に線形のものと円形のものを見ることができ、それぞれの長所と短所を聞きながらその迫力に圧倒されました。この筑波で扱っている加速器は電子加速器であり、様々な研究者が実験のために利用しているそうです。それほど貴重な機器であり、技術発展に大きく貢献しているということですね。とても憧れます。ILCが実現したその暁には、また訪れたいと思います。
さて、記念すべき第一回の科学者の卵養成講座では「進化論を唱えたダーウィンも注目した高等植物の自家不和合性」と題した渡辺正夫先生による講義を聴講しました。題にある自家不和合性という言葉は耳慣れない言葉で、まず普通の人は知らないと思いますが、簡潔に言うと植物において自分自身が持っている花粉によって交配することができない、つまりは他の仲間の花粉のみと交配することができるという現象のことです。人間にも共通するのかもしれないですが、近親交配を妨げる一種の性質であり種の多様性の維持にもつながっているようです。この現象とダーウィンがどのように関わっているのかというと彼の行った実験にありました。その内容を簡潔にまとめると、本来他の仲間としか交配できない植物に6世代もの間、意図的に自身と交配させることでどのような変化があるかということです。実際の結果として5世代までは自殖したことによる反動で小さい個体ができたり、しっかりと育つものがなかったのですが、なんと6世代目で通常の個体と何の変わりないものが育ったそうです。彼はこの変化がなくなった個体を「ヒーロー」と名付けました。長い時間はかかるにしても本来の生殖システムが変化してしまうのは、予想の中にありながら何とも不思議な現象ですね。この一度変化した個体はまた他殖性植物に戻ることはできるのでしょうか.........。
人類は現在、品種改良など様々な技術を駆使し大きく甘く形のいい農作物を生産することができるようになりました。ダーウィンの名付けた「ヒーロー」の現象が当たり前のように現れるようになったということです。とても大きな進化ですね。私も以前、地元にあるリンゴや桃を作っている農家の方を訪れたことがあり、どんな果物を作りたいかそのためにどんな品種が必要かなど考えることはたくさんありました。時代とともに不思議なことが当たり前になり、簡単に使いこなせるようになることは便利なことでもありあっけないとも思います。こんなことを思っているのはわたしだけだとは思いますが、そんな側面もありながらまだまだ未知の事象があり、早く知りたいという矛盾した感情も持ち合わせています。科学は人を考えさせる何とも不思議なものです。
話したいことが多く短くと意識していたら、中身のない文章になってしまいました。次回からは留学生との交流会も控えているので緊張の裏腹に心のわくわくもありながら科学尽くしの一週間を終え、明日からの学校生活を過ごしていきたいと思います。
投稿者:岩手県立盛岡第一高等学校