群馬県立中央中等教育学校の栁澤日和梨です。
今日は2月とは思えないほど暖かく過ごしやすい日でした。春が来るのはもうすぐだなと感じながら、青葉山駅から歩いて来ました。
さて、今日の講座も英語交流サロンから始まりました。
今日は伝言ゲームをしました。お世話になったのは、ペルー、フランス、中国からの留学生の方々です。
グループ内の1人だけがお題の絵を見ることができて、英語でその絵について隣の人に時計回りで順番に説明していき、最後の人が絵を描く、というルールです。他の人が伝えている間、決してその言葉を聞いてはいけないという決まりがあり、ワクワクドキドキしながらゲームを行いました。
私は5つあったお題のうち、1度絵を描く担当になり、1度絵を見る担当になりました。自分が絵を描くときのお題は、タコが地球の上に乗っているというイラストで、前までの方が言葉を正確につなげて伝えてくださり、難なく絵を描くことができました。描いた絵を留学生の方にかわいいと言っていただけたことが嬉しかったです。また、絵を見て伝えるときのお題は、1羽のにわとりと3羽のひよこがフライドチキンを食べるためにケンタッキーに行く、というイラストで、にわとり、ひよこ、そしてケンタッキーのチキンを英語でうまく区別するのが難しかったです。パーフェクトに伝えることはできませんでしたが、次の方が一生懸命理解しようとしてくださったので助かりました。
留学生の方々とたくさん笑ってたくさん話せて、本当に楽しい時間を過ごすことができました。この1年、英語交流サロンを通じて、自らの英語力が格段に上がったのを感じました。
午後最初は、岩渕好治教授によるご講義「薬を創る科学技術」がありました。
たくさんの分子構造式が出てきてとても難しかったですが、教授がわかりやすく解説してくださって、理解を深めることができ楽しく講義を聴講させていただきました。
講義の始めは薬の発見・発明史で、知らないことがたくさんありました。まず紀元前3000年に薬が800種類もあったこと、かの有名なコペルニクスが医師であり薬としてゴキブリを処方していたことなどです。信じられないことばかりで驚きの連続でした。
また、岩渕教授はカレーの成分クルクミンについて研究されていて、このクルクミンがなんとがん細胞の増殖を抑制できるそうです。食べ物という身近なところからこのような素晴らしい発見があったことを知り、もっといろいろな方面に自分の視野を広げたいと思いました。
私が特に印象に残ったのは、有機化合物についてのお話です。有機化合物は薬の成分でとても大事なものです。一昔前は、有機化合物は人間がつくることはできないと考えられていました。しかし偶然、無機化合物から有機化合物が合成されたのです。
このことから教授は、人間にできないことはない、人間の気持ちはすごい、できると思えばなんでもできる、できないと思えばできない、と語ってくださいました。本当にその通りだと思いました。また、薬は偶然から生まれることもあるようですが、偶然は必然というように、人々の諦めない心が創薬技術を発展させているのだとも学びました。
次に、中山亨教授によるご講義「エンザイム ハンター 〜暮らしの役に立つ酵素を見つけ出し、利用する〜」がありました。エンザイムとは酵素のことです。酵素については、学校の生物基礎の学習で軽く触れたくらいだったのですが、今日のご講義で酵素についての知識を深めることができました。
酵素には基質特異性があり、特定の基質としか反応しません。そして反応したときに酵素は加速するのですが、そのスピードが驚きです。酵素の加速力だと、80年がたったの2.5秒で終わってしまうそうです。
また、酵素は生物の生命を維持するとても大切なもので、少しでも欠けてしまうと病気を引き起こしたりすることもあるそうです。酵素の大切さについてよくわかりました。
私は特に、中山教授の研究のお話が印象に残りました。教授は、黄色のキンギョソウの花色を発現させる酵素についての研究をされていて、この研究を成功させるまでには、多大な努力と苦労があったそうです。
この研究にはたくさんのキンギョソウを使う必要があり、その数は20000本〜30000本、お金に換算すると300万円〜450万円、私からすると気が遠くなるような金額です。しかもニュージーランドの研究グループが全く同じ研究をしているということも発覚しましたが、教授や学生さんたちは諦めず研究を続けました。キンギョソウの花言葉は「たぶんだめです」らしいですが、その言葉にとらわれず、教授は誰よりもはやくキンギョソウから酵素を発見することができたそうです。このことから教授は、「いろいろ失敗するけれど、克服しながら、また仲間と励ましあいながら成果を出すのは楽しい」とお話しされていました。
その後教授は、遺伝子組み換え技術を用いてキンギョソウと同じ科のトレニアの花色を黄色に改変することを世界で初めて成功させました。そんな素晴らしい方のお話を伺えて、とても貴重な経験になりました。
今日は最後の講義でした。
私は今日、2人の教授から人生の教訓を教えていただけた気がします。
それは、諦めないことです。
これから先の人生で、高い壁にぶつかることが何度もあると思いますが、諦めないという強い心を持って、どんな壁も超えられるようにしたいです。
また、諦めないことは、科学者にとっても大切なことだと思いました。
次回は研究発表会があります。科学者の卵養成講座の閉校式もあります。良い形で終われるように、最後まで全力で頑張りたいと思います。
写真は、新幹線の車窓から撮った仙台の街並みです。
投稿者:群馬県立中央中等教育学校