東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

中間発表(教:井上千晴)

2017年11月24日 (金)

こんにちは。井上です。

こちらの立派な柿はまたもや図書館の吉植さんから頂きました。甘くてジューシーで至極の美味しさでした。この授業を通して植物に思いを馳せる今、旬のものは一層美味しく感じられます。

10月5日(木)の初回授業をもってスタートしました、「秋冬野菜を盆栽として育ててみよう」。いよいよ中間発表です。


(1) この展開ゼミを通じて、植物の発芽、生長を観察し、一番驚くべきこと

ミニハクサイの幼少期から見てみます。

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始めは6mmの芽からでした。こんなに小さかったのかと、まるで親の気分です。今では8枚の葉を展開させ、一枚の葉の大きさは3cmを超えています。小さい種子からしっかりと芽が出てくることに感心し、それからは日々「いのち」を感じ、彼らから多くを学んでいます。

一番驚かされることは植物の逞しさです。水を得て、適温であれば芽を出し、生長していく仕組みを備えており、育つ環境を選べない植物だからこその生きるための工夫があります。太陽の光を受けるために、葉は重ならないように角度や方向を変えて生えることや、表面に毛があることなど、非常に高度で奥の深い仕組みだと感じます。植物にとっては「あたりまえ」のことであり、そうしなければ繁殖できないものですが、普段から「植物の生長」をなかなか感じる機会のない私は、その着実さに感動しました。ミニハクサイはさまざまな環境の変化を敏感に感じ取り、自ら一生をスタートさせました。それは人間に支配されているようでありながら、人間を支配しているようでもあります。こちらが働きかけると、植物は直ぐに反応を見せてくれます。育ってほしいという思いに、育ちたいと返してくれているようです。20171124040631-e7c03e6a52e67ba526443efe18d7c4c4ec75d27c.jpg

 また、同じ見た目の種子であり、同じ植木鉢で育ったものにも生長の段階で個体差が出ていることから、一つひとつのドラマを身近に感じることができています。野菜の生命にあふれた姿は、私を元気づけてくれます。植物への愛情が高まったこと、食への関心が増えたこと、季節の変化に敏感になったこと、料理が好きになったことなど、自分自身の気持ちの変化を確信しています。

(2) 他の受講生の方の投稿記事、去年までの受講生の記事で参考になったこと

直江彩花さんの記事はとても丁寧な観察によるものだと感心していつも見させていただいています。特に写真を用いた説明がとても上手だと思います。長さを測ってそれを順番に記録していく方法は、根気がないとできないはずです。私も毎日写真を撮り、長さを測っていますが、それを直江さんのように上手く使えていません。写真をわかりやすくする工夫も目を引きます。

田村秀人さんの記事はいつも工夫をなされているような印象があります。牛乳パックを使っての栽培は私が挑戦した「身の回りにあるもので」の考えと似ているものがあり、なるほど!と思ったと同時に、「そんなやり方があったのか...」という気持ちです。また、同じくミニハクサイを栽培されていることもあり、栽培と工夫のヒントをいただいています。

榊原里奈さんのスプラウトの記事には驚きました。一つひとつを細かく観察して分析したやり方は面白く、思わず読み進めてしまいました。これからアルファルファの第二回の栽培を始めようと考えています。観察の仕方や収穫の仕方などを参考にしたいです。

岡田和花さんの記事はいつも面白いです。まめな更新ということもあり、リアルな観察を感じることが出来ます。人を惹きつけるような文章を書く力は、参考にさせていただきながら私も鍛えなければならないと思います。

同じ時期に始めた他の受講生の方の様子を知ることができることを嬉しく思います。集まった20人は学部も年齢もバラバラで考え方も見事に異なっています。だからこそ、参考にすべき点は多くあり、一人で暴走してしまう危険性も少なくなると考えます。また、植物の栽培に関しては多くの先輩がおり、記録が残されています。いい刺激を受けつつも、私もそれに貢献できるようにと気を引き締めるばかりです。

(3) 渡辺先生、研究室のスタッフからの色々なコメントで、気づき、その後の野菜栽培に参考すること

第2回目の投稿に対してのコメントでアルファルファの光を遮断するために紙袋を使用していた際に、紙袋では光が漏れてしまうとのご指摘をいただきました。収穫したときの形が不揃いになってしまったのはそれが原因かと考えています。水の交換が簡単なようにと、自分の都合を優先して紙袋を利用しましたが、それは植物にとっての「適切」を見落としていたようです。

渡邉彩佳さんと先生のコメントで太陽の重要性については頷きながら読み進めました。私がまさに感じていることでした。タイムリーな内容は自分との比較になりますから、同じタイミングで栽培をやっている方が沢山いらっしゃることの利点を見ました。

そしてなんといっても、第6回のミニハクサイの移植に関しての投稿です。ミニハクサイの水耕栽培に関して先生やオガタさんから多くのご指導をいただきました。意外にも多くの反響がありまして驚いていますが、これで「本当に自分の記事が見られている(見てもらえている)」ことをも同時に実感しました。移植してから一週間が経ちましたが土での栽培と差がでてきています。日を改めましてご報告致します。

いつも悩みながら植物と向き合っていますが、コメントがいただけるのはとてもありがたいことです。

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(4) 残りの展開ゼミの講義を続けるに当たり、注意すること、また、目標とすること、この展開ゼミの講義から学び、記事にしたいこと

 この授業には『栽培を通して、観察眼を養い、栽培の大変さも理解してみよう』というサブタイトルがついています。『観察眼を養う』ことは今の私に最も必要なことです。この授業だけに留まらず、よく物事を観察することは全ての基本になると思います。これからの課題はデータを取ってみることです。皆さんがこまめに葉の長さを測ったり比較したりしていることを参考にさせていただき、目で見てわかる根拠のある内容の投稿を目指します。日々変化をしている植物から多くを学ぶ姿勢を忘れずに持っていたいです。また、日々変化をするからこその『栽培の大変さ』も、誠実に植物と向き合うことで感じていけたらと思います。変化のきっかけになる様々な要素を試行錯誤していきます。
 「読んでもらうための文章」を意識して書くのは時間がかかります。「つぶやき」ではなく、「映え」でもなく、しっかりとした文章を書く大変さを実感しています。また、写真の撮り方もこんなに奥が深いものだとは思いませんでした。残りの半分も植物の今を伝えることを大切にしていきます。

 インターネットで知るでもなく、先生から話を聞くでもなく、私は今、現に植物と向き合っています。「リアル」に植物の変化を体感できる環境は滅多にありません。この環境を楽しみながら、よく見て観察し、考え、工夫をしていきたいです。

20171124021829-e0839808214b81824a9735539afb85bc817eaee4.jpg(渡辺先生のご投稿から...。こちらです)


以上を中間発表とさせていただきます。そして改善したいことがもう一つ。計画的に物事を進め、コーヒーを飲みながら締め切り日を迎えることです。

これからもお世話になります。それでは、また。失礼します。

コメント

教育学部・井上さん

 こんにちは、遺伝の渡辺でございます。カキ、とてもおいしそうですね。図書館の吉植さんから栽培についてもコメントをもらっているでしょうか。水耕栽培など、色々なことにチャレンジされていて、とても興味深い2ヶ月弱でしたね。栽培の感動を理系的なコメントでなくて、文系的なある種、小説を読んでいるような漢字の書き出し、おもしろく読みました。植物と動物とが相互作用していく過程も、不思議な感覚でみているのもおもしろいなと。他の受講生からの刺激というところに、20名の受講生の背景が違い、その表現も違うので、相互に学べると。こちらがこの展開ゼミで感じ取ってほしいことを、適切に記してあり、講義をやってよかったなと。自分の感性はもちろん、大事にしてほしい。でも、同じようなものを見て、それぞれが違うように見たり、感じる部分をshareすること、残りの展開ゼミ、さらには、他の講義でも大事にして下さい。

 普通の講義では、どちらかというと講義を聴いて、ノートを取りながらというのが通常かも知れないですが、こうしてコメントをして、かつ、それを受講生でshareすることは、それぞれの受講生の感性も理解できるのは、おもしろいことだと思って、こうした展開ゼミをやっています。そのpositiveな点を理解してくれて、ありがたいですし、自分の記事を読んで、そのことに感動してもらっていることを理解できるのは、こうした講義だけでなく、色々なところであればと思うわけです。これからも、文章、写真から適切なコメントをしたいと思いますので。

 これからの目標のところにも、こちらの講義の意図を書いてくれているのも感動でした。観察眼は文理を問わず、大事なことです。植物の日々の生長を計測し、グラフ化してみることで、違った角度の観察眼も養成されると思いますので。あと、文章については、現状を超えるものになれば、2年次からのレポート力も強力になると思います。ぜひ、文章力を向上させ、写真の撮り方も工夫をしてみて下さい。渡辺の出前講義の写真を使ってもらい、ありがとうございます。恐縮です。そうそう、一番最後に書いてあった、〆切に対して、どう立ち向かうか、残りの展開ゼミでしっかり対応を考えて見てはどうでしょうか。


 わたなべしるす