【アウトリーチ活動】兵庫県立豊岡高・サイエンスリサーチ、愛媛県立新居浜西高、愛媛県立今治北高、愛媛県立今治西高・特別講義(11/17, 20, 21, 22追記)
2018年11月19日 (月)
外気温もずいぶんと下がってきて、朝の気温はほぼ、確実に1桁。日中も日差しがあれば、それなりの暖かさかも知れないですが、。。冬が近づいているのだろうと。渡辺が小学生から高校生まで、教室に冷暖房はなかったような。。。もちろん、今のような「規格外」の厚さがなかったのもありますが、。。暖房もなかったので、この時期はずいぶん寒かったような。。。全国的な流れとして、空調が効いたところで、授業になる感じで。もちろん、仙台市も。。。大学はといえば、学生の頃は、冬の暖房だけだったかと。寒さが早く来ても暖房はないし、春がはやくても、暖房があるというような。。。空調と温暖化が「ニワトリとたまご」に見えなくもないのですが。。
11/17(土)-18(日):兵庫県立豊岡高等学校・サイエンスリサーチ
そんな週末の土日。思ったよりも天気もよく、気温もまずまず。そんな中で、今年で4年目となる兵庫県立豊岡高等学校のSSHサイエンスリサーチ。最初の数年は、渡辺が豊岡高等学校に出前講義にいっていたのですが、大学で実験等の方がということで。例年、4名の生徒さんと引率の先生が1名。研究室での実験、見学などを。豊岡高校を出発するのは土曜日の6:00前。早起きの生徒さんは4:00とか。。。大学での実験を午後からやろうとするとこれくらいの日程になるわけですが。このあたりは若さの高校生ということで。
研究室に来てもらい、まずは、大学、大学院、研究室の概略を。続いて、交配実験、遺伝子を取ってみるという実験。実験のmanualはあってもその行間をどう読むのか。難しいところ。課題研究をやるときのヒントになれば。。。
後半は、東北大がスタートした片平キャンパスの見学。歴史を理解することは、とても大事なことで。歴史から学ぶというのは、米沢興譲館高校でのSSHの講義でも行っていたりするわけで。大学の歴史と現状を理解してもらえたでしょうか。あと、渡辺は瀬戸内沿岸でしたが、1970年代くらいから松枯れの被害が。子供の頃には、ヘリコプターで薬剤散布も。現在ではもっと効果的な薬剤もあるのかも知れないですが、その惨状も見ていただけたのでは。。。土曜日最後は、キャベツの分解。ものを分解するのは、サイエンスの基本ですから。
2日目は、花粉管の観察とブロッコリーの解剖。交配した花を処理しながら、その合間で、分解することを改めて。前日よりは、ずいぶんと考えて、こんな風にやるとおもしろいのではということを。。。自分で考えて、また、周りがやっていることを参考にして、行動することを学んでもらえたのでは。。。そのあとは、蛍光顕微鏡で、花粉管の観察。最後の最後のところは、大学でないとできない実験だったと思いますが、それ以外のところは、高校でも材料を変えたりして、発展的なことができる内容。こんなことをやれば、考える力を養成できると、理数科の他の生徒さんたちにも、お伝え下さい。最後になりましたが、最後になりましたが、今回の企画を頂きました、豊岡高等学校・澁谷先生、西岡先生をはじめとする関係の先生方、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。また、こうした機会を頂戴できればと思います。また、今回のTAをしてくれたD2の岡本くん、M1の小川さん、ありがとうございました。
11/20(火):愛媛県立新居浜西高等学校・特別講義「農学・生命科学入門」
札幌での初雪が記録的に遅かったとか。今まで比較的暖かい秋から冬への変化だったのが、少し急激になるのか。。。秋冬野菜が過生長気味だったのが、少し通常モードになるのか。週末が仙台で兵庫県立豊岡高等学校が研究室で2日間の実習。D2・岡本君の記事にあるように、きれいな花粉管侵入の写真が最後に取ることができたのは、大学ならではという刺激だったのでは。。。
週明けは愛媛へ。新居浜市内へ伺うのは、ふるさと出前授業で、当時、今治小学校で理科専科だった岡田先生が新居浜市立金子小学校へ異動したことに伴うもの。今回、invite頂いたのは、愛媛県立新居浜西高等学校の河野先生。以前、今治西高等学校に勤務されており、その当時、お世話になり、新居浜西高に異動になってから、ご無沙汰していたのですが、是非にというリクエスト。ありがたいことです。今治西高で10年近く出前講義を行ったものを何度か見て頂いていたことがつながったようで。玄関先には、新居浜西高のゆるキャラと、welcome boardがお出迎え。ありがとうございました。
今回は、3年生の生物履修生が講義に参加。渡辺が高校生の頃、理系で生物履修というのは、少なかったですが、今回は、70名を超える聴講が。ありがたいことです。講義時間が1hr弱と言うことから、駆け足で、渡辺が研究している植物の生殖、自家不和合性、自殖性、他殖性、栽培化、ということが、どの様に関係しているのか。普段食べている野菜などが、どの様に現在のような状態になったのか。今まで余り考えなかったような植物、農作物の側面を見ることができたのではないでしょうか。生物を履修していると、どうしても、植物よりも動物の方が、動くということがイメージにあり、たいしたことないというか、下等というかそんな風に思いがちかも知れないですが、実は、そんなこともなくて、植物も同じDNAを遺伝情報に使う生き物。それなりに工夫をして、生きているというか、遺伝的多様性を保ったり、それをなくしたけど、がんばっている側面が見えたと思っています。いかがでしょうか。
農学部を希望される方もいると言うことから、講義の最後は、農学部、理学部生物、工学部バイオ系の違いはということを簡単に。何を学ぶにせよ、大学はある意味通過点。その間に、自分で考えて、何を為すのかということを考えてほしいと言うことで、時間切れ。。。最後に代表の方からのしっかりとした挨拶。がんばって下さい。講義の前後に、玉井校長と愛媛県の教育事情などについて、deepな議論をすることができました。ありがとうございました。多くの異なる府県を回っていると、それぞれの事情、その背景なども理解でき、これからのこうした活動を考える上でのヒントになりました。ありがとうございました。また、今回の企画を頂きました、生物の河野先生、河端先生、ありがとうございました。とても貴重な体験でした。また、よりよい連携ができればと思います。ありがとうございました。
PS. 講義の途中で、そういえば。。。この学年くらいが渡辺が金子小学校へ出前講義を行っていた世代では。。。そんなものを感じて、最後に、そのことを聞いたら、3名ほど、当時の受講生がいて、2名の方は講義の中身をしっかり覚えてくれていたのは、望外の喜びでした。がんばって下さい。また、どこかでお目にかかることができるのを楽しみにしておりますので。
11/20(火):愛媛県立今治北高等学校・特別講義「農学・生命科学入門」
午後からは、今治市内へ。今治北高へは、去年の秋にも伺ったのですが、今年度も生物の玉井先生が準備頂き、1年から3年の希望者、20名くらいだったでしょうか。前日あたりからの寒さで少し肌寒い教室だったですが。ふるさと出前授業で、授業を聞いたことがあるという生徒さんも。そういえば、去年の受講生の中には、文系に進んでいるけど、当時のことが懐かしく、植物が好きだったので、来ましたという方がいたを思い出しました。
講義の内容は、午前中の新居浜西高での講義と同じ。こちらも1hrほどの持ち時間でしたので、少しはしょりながら、。。植物が生殖を行う、それは次世代を残す。そのためには、どれだけ多様な子孫を残すことが大事かと言うことを。そんな多様性を保っている仕組みの1つが、自家不和合性。動画は、説明力があったのではないでしょうか。また、この仕組みで、巧妙な品種改良を効率的にできると。実際の育種の現場を見ないと、なかなか、実感が湧かない部分もあると思います。あと、難しいのは、生物履修の生徒さんの多くが、どちらかと言えば、遺伝学は苦手。ということ。現象としてはおもしろいけど、その遺伝学的な仕掛けとなると。。渡辺は、物理、化学の履修だったので、遺伝学の方がどちらかと言えば、得手だし、タンパク質の立体構造が分かるというのは、わくわくなのですが。そんな品種改良という言葉の前にあったのが、野生植物から作物への転換の「栽培化」。そんなことにも自家不和合性が関係していることを実感してもらえたのでは。そんな多様性には反する、接ぎ木で増やしている、数多くの柑橘品種。そんなcloneで増やすことの良さも、柑橘生産日本一の愛媛県人としては、なるほどだったのでは。
1, 2, 3年生というheteroな構成でしたが、1年生は、文理選択、2年生は物理、生物選択、3年生は受験と言うことで、渡辺がこれまで学んできた、農学部とそれに関連する学部との違いというか、進路選択の手引きになるような話も。植物の品種改良をしてみたいという方はいなかったですが、農学を学んで、将来、その関連のところで、働いてみると言うも、よいのではないでしょうか。最後になりましたが、こうした機会を設定頂きました玉井先生をはじめとする関係の先生方にお礼申し上げます。また、次年度以降もコラボできればと思います。ありがとうございました。
PS. 講義が終わったあと、受験生の3年生の数名が大学、大学受験の質問を。渡辺は学部を担当していないので、大学受験については詳しくないですが、最近は多くの大学で、推薦、AOなどの入試もあるとか。がんばって下さい。何より大事なことは、大学に入ることではなくて、大学で何を学び、それを活かして、社会人としてどんなことをなし得るのか。社会人の方が遙かに長い人生ですから。
PS.のPS. 11/22(木)、18:00に今治北高のHPに、出前講義の記事を見つけました。ありがとうございました。
11/20(火):愛媛県立今治西高等学校・特別講義「農学・生命科学入門」
今回の出前講義の最後は、渡辺の母校の今治西高へ。2年生向けの講義で、10名上の大学の先生方がいらして、アラカルト方式と言えばよいのでしょうか。そのうちの興味があるものを受講する方式。例年は、9月の半ばで学会と重なるような時期だったのですが、今年度は11月に。翌週が今回は参加しないものの、学会があったりで。昨今の温暖化の影響で9月の開講であれば、かなり暑い中での講義だったですが、涼しい中でというのは、よかったことではないかなと。。。一方で、今治北高で3年生が推薦、AO入試などがこの時期と言うことで、高校側はかなり忙しかったのではと。そんなことも。この日は慌てていて、写真を撮るのを忘れていましたが、いわゆる、定期試験期間中で、職員室に入ることができなかったり、質問に来ている多くの生徒さんを拝見。定期試験でのよくなかったことを思い出したり。
さて、本題の講義は、前日の新居浜西、今治北高と同じ講義タイトルですが、講義時間が2コマ分と言うことで、渡辺が研究しているサイエンスの話とキャリア教育の融合版。最初に、渡辺の出前講義を小学校時代に聴いたことがあるかなと。このことだけは、落ち着いて。2名ほど。ただ。。。あれ。。。ということで。その当時のことを少し思い出してもらいながら。。。渡辺の記録に残っているものを少し見てもらい。。。そうでない学校から来ている生徒さんには少々申し訳なかったのですが。また、例年だと、20名を超えるような受講生のことが多いのですが、今年度は、11名。農学部、それも農学、育種の希望者が2-3名もいるのは、心強かったですね。生物履修と言うことで、遺伝学、数学というのが、少し苦手かも知れないですが、そんな時は、コラボすると言うことで、是非、育種の世界でがんばって下さい。
人類が植物を作物として栽培化するということを「花」にポイントからみると。どんな形質が本来の植物が持ち得ているものをなくしてきたのか。アブラナ科作物のように、自家不和合性を持っているものもありますが、多くは、自殖性、つまり、自家和合性。それだと、遺伝的多様性の問題は。。。なぜ、自殖性になっても、自殖弱勢にならないのか。分かってないことなのですが。。。また、多くのF1品種の大事を理解してもらうために、イヌをモデルにしたり。。。雑種強勢の原因も解明されていないですが、雑種であることの有利さは理解できたのでは。
後半と言うよりも残りの20minくらいになりましたが、キャリア教育。他の講義枠の先生は、専門の講義だけだと思いますが、大学、大学院で学ぶのは人生の本の一部。そう考えたとき、大学、大学院、社会人になった時、自分で考えて、何をどの様に行動するのか。たくさんの失敗を経験して、そこから学んで、進歩してほしいと。また、何より、これという師匠を見つけて、その師匠を超えるような人になって、活躍することが、弟子の務めだと。。。将来を見すえて、大学で何を学ぶかも大事ですが、自分のキャリア形成をどうするかも同じくらい大事なので。最後はふるさと出前授業でご一緒した方々と。歴史は繰り返すと言います。子どもの頃のことを思い出して、それが育種につながると言うことを考えて見るきっかけになればと。。。
最後になりましたが、今回の企画を統括頂いた冨永先生、教務主任の曲渕先生をはじめとする関係の先生方にお礼申し上げます。ありがとうございました。いつもであれば、校長先生とお話しする時間をと思うのですが、帰る間際に立ち話になり、失礼しました。生徒さんたちからのレポートを楽しみにしておりますので。ありがとうございました。
わたなべしるす
PS. 講義をサポート頂いた先生に加えて、後半からは、国語の櫛部先生にも参加頂きました。ちょうど前日、見学などを兼ねて、学校に伺ったときに、ご紹介頂いた先生で、今治西高に赴任する前に、「俳句甲子園」の指導教員として、優勝させた経歴があるとか。。。渡辺は、国語が苦手で、マークシートの5択で、答えが光って見えなくて、ずいぶん、悩みましたが、その先生から、「その能力がない分、道ばたを歩いていて、おーーと思う植物だったり、花を見つけて、その場所が光って見えるのでは。。。」、つまり、それぞれの持ち分の能力がある訳なのでという、暖かい言葉を頂きました。なるほど、ものは考え様だなと。ありがとうございました。また、何かでお世話になることができれば、幸いです。
PS.のPS. 今回の企画にtotal 10名以上の大学の先生方が。一覧がなく、全ての先生方と情報交換ができなかったのが、残念でした。昨年度ご一緒した、大阪大の先生に加えて、広島大の先生からもご挨拶を。驚いたのは、大学受験で、東北大を受験してくれていた方。東北大はうまくいかず、別の大学で学んで、現在のポジションにいらっしゃるとか。そういえば、渡辺が農学部で助手をしていた1997年まで、今治西高の後輩たちが受験に来る時、前日の受験場案内などをしていたのを思い出しました。今は、親御さんが来ることが常態化しているので、そのようなこともないのだと思いますが、当時の高校生がしっかりと自覚を持って行動していたのだと。ふと、そんなことを思い出せた瞬間でした。また、何かでご一緒できればと思います。ありがとうございました。
PS.のPS. 一昨年の講義でお世話になったのが、サッカー部の兵頭先生。講義室に移動する途中に、最近のサッカーなど、県内の関連事情について、情報交換の時間を頂きました。ありがとうございました。なるほど思うことをたくさん頂きました。今後ともよろしく。今治、愛媛、四国でサッカーが盛んになると言うもありがたいことですので。。。
PS.のPS.のPS. 5年くらい前から、九州工大の安永先生とご一緒して、さらに、昨年からは、愛媛大の日浅先生と。今年は、法律事務所に勤務し、京都大の法科大学院の客員をされている渡辺先生もご一緒に。講義が終わったあと、校内を見学したあと、春の出前講義でお世話になった西条農高の別府先生なども交えて、情報、意見交換会。情報工学、タンパク質工学、医学、法律学、経営学、農学などを横串をさして物事を見たら。。。おもしろいことができるのではと。また、どこかで、お世話になれればと思います。ありがとうございました、今西35の皆様。
わたなべしるす