日本から米麹を使った「大根のべったら漬け」と「干し大根」を持参して、イネの起源地であるとも言われてきた雲南で「大根の漬け物への米糠や米麹の利用」について聞き取り調査した。


昆明から元陽の途中に昼食に立ち寄った個旧の食堂のおばさんからは、「干し大根」はみたことあるが、「大根のべったら漬け」はみたことないとの回答を得た。亜熱帯地域ではあるが標高1700メートルを超える元陽の青口村の広場で会った農夫からは、大根を薄切りや細かく切ってから半乾燥状態にして、塩、砂糖、山椒、トウガラシをまぶして漬け物を作るとの回答を得た。一方、棚田で作業をしていた農夫からは、「干し大根」は冬場の食材として作ること、「べったら漬け」のような大根の米麹漬けを作っているとの回答を得た。彼は「ミャオ族は糯米の発酵したものを用いて大根を漬ける。ミャオ族は日本人の祖先だからね」とも言っていた。
元陽の朝市では日本に劣らない立派な大根が露天に並んでいた。


また、元陽から昆明への帰り道で立ち寄った通海近郊のみやげもの屋では「甘酒」が特産品として売られていた。「米糠」や「米麹」などの、発酵物を利用した大根の漬け物が雲南の少数民族で食べられてきたことがうかがわれた。聞き取り調査の件数が少ないため検証が必要であるが、興味深い情報であった。
(佐藤雅志・鳥山欽哉)