東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【出前講義】大阪府立天王寺高等学校・SSH天高アカデメイア「農学・生命科学系大学教授から見た高校生の進路選択へのアドバイス」(6/6, 9追記)

2016年6月 6日 (月)

 昨日で関東まで梅雨入りとか。その関係だと思いますが、大阪は曇りですが、ずいぶんと湿度が高くて。。。少々風邪気味なので、湿度が高いのは、のどにはやさしい環境で。始まったのは、2012年からでしょうか。大阪府立天王寺高等学校のSSHでの出前講義SSH関係のイベントで、福島県立福島高等学校へ。そこでお目にかかったのが、武井先生と鐵岡先生。鐵岡先生は異動になられましたが、武井先生は今もいらっしゃり、いつもなら、土曜日の午前に講義枠を入れるのですが、渡辺の学部1年生向けの講義「大学生のレポート作成入門--図書館を活用したスタディスキル--」がちょうど、来週、再来週と入った関係で。。。無理をお願いして、月曜日の午後枠の講義に。お昼ご飯が終わり、一番眠たい時間。この時間の講義になったのが、申し訳なかったのですが。。。学校の玄関には、今年も「ウメの果実」がちゃんとできており、講義で詳しいことは話ができなかったですが、結実しているウメとは、自家不和合性の異なる対立遺伝子があるのだなと。。。というか、今年も樹木がきちんと管理されているのだなと。。。これを見るたびに感動です。

20160606184006-ec8a06c8be9fb1ddcb2a08175b6cd5585e1c0c54.JPG 伺って、講義まで少しの時間、谷井校長先生、武井先生と昨今の生徒さんたちについて。先日の岩手県立盛岡第三高等学校でも、グレーゾーンへのチャレンジと言うことで、話になりましたので、ここでも。そんな話題があったからというわけではなく、普段から、谷井校長先生が生徒さんに向けて、将来、それもどんな職業で社会に貢献するのか、高校はその通り道でしかないと言うことを話されているからだと思いました。というのも、講義の最初に渡辺の紹介を谷井校長先生から頂きましたが、その時に、言われたことは、これからのキャリア形成、そのために、大学で何を学ぶのか、その学んだことを将来の社会に対して、どの様に貢献するのかというイントロでした。それを聴いている生徒さんたちが、とても自然でした。普段からこうしたことを話されていて、生徒さんたちの心の中に準備がなされているのだなと。そんなことを強く感じた一瞬でした。

20160606202440-d2e8db775138693c9f9afccfa8b1ba5d9caed612.JPG いつも言うことかもしれないですが、タイトルは少し仰々しいものになっていますが、話す内容は何のことはない、渡辺の小学校からの人生を振り返り、なぜ、そのように考えたのか、そのような決断をしたのか、また、ちょっとしたところに人生の転換点となるような「きっかけ」はあるものだと。。。で、イントロは、渡辺の小学校時代から。学校と自宅とのちょうど真ん中当たりに「ツバキ」の花がたくさん咲いている場所があり、そこで、花の蜜を頂いていました。昔なら、それはそれで1つの道草の1つ。もちろん、そこのツバキは、ヒトの背丈の数倍あったので、手が届かないような所にも。でも、そんな大きな木ばかりでなく、限られた花の場合も。では、そんな時、どうすることを考えるのか。もちろん、安全かとか、雨上がりで、蜜が薄まってないかとか。。。でも、なによりも帰り道で、ちょっと頂くわけです。こっそり。であれば、いわゆる、グレーゾーンへのチャレンジ。どこまでがよいか、ということを自分で考えること。そういえば、学部の4年生で、植物育種学研究室に配属なった時にお世話になった鳥山先生には「何を使ってもよいです。でも、それをちゃんと元の場所に戻すように」と。。。先輩方には、勝手にものを使うことにうるさい方もおられましたが、そうした中で、どうやって生きていくのか。うまくやるこつというと怒られるかも知れないですが。。。でも、その「よい加減」を知ること、いい加減にと言うことではなく、「よい加減」で。

20160606202735-ab3481d095b67219e714b44dc145782e7720cd54.JPG あと、子供時代に覚えたことは、意外と忘れないと言うこと。というか、繰り返してやること。大事です。あやとりをやってくれた方。ありがとうございました。時間の関係で渡辺が実演できなかったのは、少し残念だったのですが。。また、こんなことをやってみようというか、こんな職業に将来就きたいというのは、ちょっとしたきっかけであると。渡辺は当時のアニメ。マジンガーZ、仮面ライダーなどなど。その当時の科学力。もちろん、アニメの空想の世界ですが。今でも実現されてなくて。。。でも、博士、教授がかっこよくて。運動、絵を描くことなど苦手で、理科が好きだったので。。そんな博士、教授である科学者がかっこいいと、思ったのだと思います。そんなことでよいように思うわけです。

20160606202838-3a8049b5b5e16026628e08b62d5591feda043d10.JPG 高校時代に何が重要なのか。今から考えるとですが。もちろん。数学で論理的な考え方を身につけたのは、確かであり、それは「公式」に頼らず、自分で必要なら公式を導いて考えること。論理的な思考力は、文系、理系問わず、大事なことですから。また、苦手だった、国語と英語。でも、今となっては、論文、申請書などの文章を書く上で、不可欠な要素。また、昔のように原稿用紙に書くわけでないので、ワープロソフトが使える時代。つまり、まずは書いてみる。それをあとから、どの順番に並べるのかという構成力を鍛えればよいわけです。昔は、作家のように脳みそに文章構築力があらかじめないと書けない時代でなく、誰でも書くことができるわけです。後述するように、普段、先生方が書かれている文章を見習ってほしいなと。。。何より身近なよい手本ですから。英語。これが、最近はくせ者。グローバルと言うことで、しゃべることが重要視されていますが、日本は明治時代の先達のおかげで、「日本語」で高等教育までを学習できると言うこと。つまり、その反動として、他の国とは異なり、英語を使うことが少ないこと。また、AIが発達したら、ほぼ同時通訳も可能になるのではという可能性。。。日本語も英語もある種、1つの言語。そう考えると、どの様に接して、どの様に身につけて、活用するのか、その当たりは、これからの社会でも大事になることだと。何より、普段の生活が「日本語」ということ、その日本語で脳みそが論理的にできていることの大事を学んでもらえたのではと。。。

20160606202922-f3f58c61b9c8a9aae73f09ca2cb6b95e7d28fb5f.JPG あと、1年半もしないうちに大学進学という大きな岐路に。その時に、どの様に決断をするのか。それによって、人生は大きく変わるわけです。あのとき、もし、渡辺の共通一次試験がよくできていたら。。。そんなif(イフ)をいってもしょうがないですが、そうなっていたら、全然違う人生があるわけです。もちろん、今考えると、あのとき、試験の点数がよくなくてよかったと。だからこそ、今のniceな人生があるのだと。是非、人生を振り返り、その決断がよかったと思える人生にしてほしいと。そのためにも大事なことは、どんな教授の下で指導を受けるか。人間、教えられたようにしか、教えることができないというか、もちろん、反面教師にすることもありますが。つまり、自分にとってよい影響を与えてくれる、また、相性のよい教官と出会ってほしいと。週末には、京都大のいろいろな研究室を訪問するとか。是非、そんな目で見てほしいなと。。。もちろん、世界トップクラスを目指せるようなそんな場所を見つけてほしいと。。。渡辺もあと15年ほど、がんばりますので。

20160606203058-f615674c9d4407a60d060485b5a0b4147a584f07.JPG 是非、将来に対する展望、それでもできるなら俯瞰的に。近視眼的な目の前のことでなくて、5年、10年先のことを。なかなか、難しいことなのですが。。。また、これというような座右の銘を持ってほしいと。「蒔かぬ種は生えぬ」といいますが、「播いた種は収穫しないと。。」。雑草としてはびこってはいけないわけです、後始末の大事さでしょうか。また、自分がやってみたいという分野の歴史を知ること。それは、先人が何を考えて、今に至っているかを学ぶよい機会。そんな読み物、意外とどんな分野でもありますので、是非、探してみて下さい。ということで、駆け足の「キャリア教育」の〆は、いつもの「夢と野望を抱き、努力を惜しまず、失敗にへこたれない人」になってほしいと。

20160606203328-8090adfe03b7b20ccc0ae8844797e51f1b14922c.JPG20160606203345-45fa5a3ae198d76175478164b33d8d073254601d.JPG20160606203404-d20feafd4ebd72ba9993883dddb9535c1eb2795c.JPG 質問コーナーでは、現在の研究はどの様にして決めたのか。SSHの探求活動では、自分でテーマを考えることが大事と言われますが、大学、大学院でも大きなテーマは、教授から提供されるもの。ほとんどの場合。もちろん、実際の細かな手法は、それぞれが工夫をするわけで。また、研究が発展してくれば、それはそれで、教官と相談をしながら、細かなことを決めるわけです。それから、大学、公的研究機関、民間企業のそれぞれで研究を行うことの違い。。。これは、とてもシビアな問題ですが、というのも、大学が法人化され、研究費を獲得することが研究室を運営する上で、1つの大事なことになってしまったので。。。よいことか、どうかは別として。

20160606203535-b932d4c1c115b2244d8eb33852b78376ab08bf55.JPG20160606203552-bba64a4c89e688e0625097687ac37c613bd633fa.JPG 質疑のあと、代表の方からお礼の言葉。とても感動でした。最初のツバキの花のところで、少し時間をとって、生徒さんたちに考えることをしたわけですが、それがよかったと。今日のは少しおもしろそうな話になると。何というか、渡辺が今時の大学人らしい講義をしないこともあり、その違いを感じ取ってくれたのであれば、よかったなと。。。また、お礼の言葉に加えて、学年の歌といっていたでしょうか、「埴生の宿」という唱歌を全体で合唱。代表の方が指揮をしながら。これが感動でした。かなりぐっときてしまい、いつもなら、最後に気の利いたコメントをして、全体写真を撮るところ、そんなことを忘れるくらい。。。もう1つ感動だったのは、この2年生の学年が70期になると。。渡辺が35期。ちょうど、渡辺が高校を卒業して、それと同じ年数がたったのだと。。。学部・大学院生として7年。そのあと、大学人として。。若い世代に負けないように、こちらもがんばらないといけないのだと、。。先日の名人位を失冠した羽生三冠ではないですが。。。

20160606203650-e1811aa12de7888905d7705c6cefb9b1db19b438.JPG 最後になりましたが、谷井校長先生、SSH担当の武井先生をはじめとする関係の先生方に、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。昨年度は時間の関係で、自家不和合性の講義に伺えなく、申し訳ありませんでした。今秋には是非、伺って講義をしたいと思いますので。今後ともよりよい連携ができればと思います。よろしくお願いいたします。


 わたなべしるす

 PS. 講義を行った場所に移動する間に、2つの黒板が。1つには、昨今の時事問題をどの様に考えるのか、また、それは、将来の皆さんが考えないといけない大事な問題だと。そんなことが書かれてありましたが、書いている内容に感動しただけでなく、このホワイトボードの記事を2年生の先生方で「毎日、書き換えている」ということ。渡辺も常々、HPへの記事をできるだけ頻繁に書こうと思いますが、3 wordsを使ったものを書くのは、どんなに多くても1回/week。学生さんにも月に1回くらいは、記事をといいますが、。。なかなか、達成は難しいこと。そんな中で、こうした文章を毎日更新というのは、本当に大変なこと。先生方の高い向上心と生徒さんたちを育てようという意識の高さを実感しました。渡辺もこれからの教育活動に活かさないといけないと。。。

20160606184141-3e9fd8452ca4f6c033e6bb6e2213884538f0ee10.JPG PS.のPS. また、あわせて、最初に少し記した、渡辺がなぜ、この天王寺高校にこうして毎年来るようになったのか、そのきっかけを進路指導部長でもある武井先生がプリントにまとめて頂き、掲示されてありました。ありがたいことです。

20160606184202-d902b06431ebae376787e1b1bd6d616719637270.JPG PS.のPS.のPS. 校長室で拝見した何というか、感動の言葉。毎日、生活していく上で、大事にしないといけないことだなと。これらの積極的な校長先生の思い・行動が生徒さんたちの行動をよい方法に変容させるのだなと痛感した1日でした。本当にありがとうございました。

20160606184236-2621d00442da63fe3b55af33b2a1279b72378d01.JPG PS.のPS.のPS.のPS. 6/9(木), 13:00。出前講義先で、天王寺高校での講義の時に、座長をされたり、帰り際のcareを頂きました、大向先生からmailを頂き、そのmailに2枚の写真が添付されていました。2年学年主任の富野先生がホワイトボードに、渡辺の先日の講義のことを記してくれました。そのボードの記事には、講義についてことだけでなく、普段の生活で、何を大事にしなければならないのか、最後の所に記されてあったのが、感動的でした。これからの講義の時、渡辺自身も気にかけないといけないと思いつつ。そのボードの写真が1枚目です。

20160609131132-154967785ba3eec8549e65147d2be11deb0ffe05.jpg 2枚目は渡辺が書いたHPの記事を印刷したものをホワイトボード横に貼り出して頂き、その記事に対してたくさんの生徒さんが関心を持って、読んで頂いたとのこと。。。ありがとうございました。HPの方には、linkを入れており、より深い理解ができますので、時間があれば、HPの方をパソコン、携帯端末から、読んでみてください。携帯端末からでも見やすいformatになるように調整してありますので。

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