遺伝の渡辺でございます。昨日の講義はいかがだったでしょうか。渡辺が記事を書いている時間で講義についてのコメント、まちかどサイエンスに記事の投稿、ありがとうございました。渡辺の講義の概要ついては、渡辺のHPに記事を書いていますので、そちらを参考にして下さい。また、渡辺のHPには、他の高校などでの出前講義、新しい論文発表、日々の研究室で研究活動などを記していますので、あわせてご覧頂ければ、幸いです。
それでいくつか気になったことを記しておきます。まず、ウリ科の性表現、雄花、雌花、両性花のどれが咲くかと言うことについてですが、講義のあとに調べたところ、植物ホルモン・エチレンのレベルが高いと雌花になる傾向になり、低いと雄花になるというのが、キュウリ、メロンなどで示されていて、その関連の遺伝子もとられています。講義の時に話をした「節成り」というのは、このエチレンの発現が高くて、その結果、各節ごとに雌花が形成されるものと考えられます。また、節ごとに雌花になると雄花ができないので、受粉できないので、キュウリができないと思われるかも知れないですが、「単為結果」という受粉なしでも、キュウリは大きくなります。詳しくは少し調べてみて下さい。なお、節なり、単為結果というのは、ウリ科の中でもキュウリに見られる現象で、カボチャ、スイカ、メロンなどでは、見られない現象だと思います。完全に専門というわけでないので、一部、間違いがあるかも知れません。その時は、ご容赦を。。。普通は、講義で話をしたように、最初は、雄花が咲き、10節くらいまで葉っぱが出ると、雌花が数節起きに咲くようになります。雌花でない節位には、雄花が咲きます。節位が低いところで、着果させると、果実があまり大きくならないというようなことも聞いたことがあります。いずれ、調べてみて下さい。
あと、ウリ科などで、雄花、雌花をつけるものがありますが、別個体由来の花粉が雌花につく確率は上がるように思いますが。。。そうでないというような文献を見たこともあるような。。単純に考えると、上がる訳なので、雄花、雌花という方が他殖性なりやすいという進化というか、栽培化による選抜がかかったと思われます。
講義の時にも質問に答えましたが、アブラナ科植物の自家不和合性のように、SP11-SRKの1:1対応で不和合性をする方が、コストがかからない。それに対して、バラ科、ナス科のようにS-RNase-SLFの時には、S-RNaseが1遺伝子に対して、SLFは1つの対立遺伝子に20個程度あるそうです。20個の遺伝子を持っていると、余計なコストがかかるのに、なぜ、このようなことをするのか。。。。正確な解答でないかも知れないですが、可能性として、1:1の対応の場合、どちらかに遺伝的に変異が生じたら、自家和合性になる可能性があります。鍵と鍵穴の関係が成立できないので。ただ、1:多の場合には、1の方に変異が生じても、多のどれかでカバーできる可能性がある。実際、20個の鍵で100個くらいあるS対立遺伝子の認識をカバーしていると考えられていますので。。。この説明でも、わかりにくいかも知れないですね。その時には、また、次の講義等で。。。
他の受講生の方々からのコメント等を見つけたら、また、追記をするようにしますので。渡辺への質問らしいのが出たら、渡辺の記事を見て頂ければと思います。では、11月の講義で。その時には、渡辺がアブラナ科植物の自家不和合性の研究を始めたきっかけというか、渡辺の師匠である、日向先生の話なども。。。
では、では。
わたなべしるす
PS. たくさんの質問を抗議のあとに頂きましたが、解答が不十分という方、あるいは、土曜日に時間がなかったという方、mailなどで、お問い合わせ下さい。もちろん、9月の時でも。お待ちしております。
投稿者:事務局