東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業))

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平成28年度 活動ブログ

平成28年度 活動ブログ養成講座の活動を記録しています

2016.08.23

第23回仙台数学セミナー

今回が初めての参加となった仙台数学セミナー。主に東北地方から、関東地方からも少し参加し、総勢24名の高校生が東北大学数理科学記念館(川井ホール)へと集まった。このセミナーは2泊3日の中で、6人の東北大学の先生方から6つの題についてそれぞれ、1時間30分から2時間30分程の時間をかけて学ぶものである。

1日目は、「囚人のパラドックス」について竹田 雅好教授、「実験で確率を求めてみよう」について和田 正樹助教の講義、演習を受けた。

竹田 雅好教授からは、まず確率論史を教わった。講義は、過去にガリレオやフェルマー、パスカルが解いたとされる問題に取り組み、解き方を学んでいった。最初は、「1608年、ガリレオの論文中のサイコロ問題」、次が「シュヴァリエ・ド・メレの賭博の問題」と確率の基礎的な考え方から入り、第3問は条件付き確率を学んでから「囚人のパラドックッス」をベイズの公式を用いて解いた。第4問は「1655年、ホイヘンス論文中の破産問題」をランダムウォークというモデルを導入して問題を解き進めて行った。取っ掛かりづらい問題であったが、ランダムウォーク理論、一直線上の粒子の動きととらえて、一歩ずつ解き進めることで答えにたどり着く。ランダムウォーク理論は株価の値動きのような予測の不可能を説明する理論であり、応用上も非常に重要な確率モデルで現在も研究が進められている。とても面白い理論だった。これに続け、「ドゥーブの任意抽出定理」についても学んだ。

自分も知らなかったが、確率の分野では日本人の研究者も大きな成果を挙げていたようだ。東北大学の角谷 静夫さんは不動点定理を発表した。ランダムウォークを二次元で考えたのだ。そして、ガウス賞の第1回の受賞者 伊藤 清さんは、確率論における伊藤の公式を考案した。ブラウン運動の定義から、確率積分、確率微分方程式、そして伊藤の公式を勉強したが、正直これは難しかった。自分の学が足りないのだろうか。途中で解説についていけなくなると、悔しさを感じた。

 講義と演習の間の休憩時間も、周りの高校生と問題について話したり、サポートの東北大学大学院の先輩方が出してくれるちょっと頭を使う数学の問題を解いたりと、本当に数学漬けの一日であった。

 後半の演習は、実験で確率を求める、というもの。「デュフォンの針問題」を取り扱ったものである。1、楊枝を尖った方を上にして紙に落とす。2、罫線もしくは紙の短辺と交差した回数が投げた回数の内、何回か計測する。というルールのもとで100~200回試行し、班ごとの確率を最後に合わせる。この確率を計算すると、πの値に非常に近い値がでるのだ。この演習はここからが本番で、和田 正樹助教と共にこの、理論値計算の手引きを証明していく。紙の5本の罫線の間隔は7.5cm、楊枝が6.0cm、手順を追って、確率密度関数F(θ)を、図の面積や積分を用いて求め、次に罫線と針が交差する確率を条件付きで求める。最後に交差する確率密度関数Fc(θ)を求めてゴールなのだが、最後の計算が少しやっかいであった。実際に実験し、そのあとに手順を追って理論値計算をする。完璧に理解できた訳ではないが、その過程が面白かった。一か所ずつ理解して、整理して進んでいく計算は様々な数学の知識、テクニックが必要で簡単にはいかないが、しっかりと最後に正しい値へとたどり着くのだ。とても勉強になった。

これが1日目である。

仙台三高 鈴木 智寛

投稿者:宮城県仙台第三高等学校

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