こんにちは。秋田県立秋田高等学校2年の小川裕美佳です。私は、昨年度の受講生です。本日は、先月行われた日英サイエンスワークショップを終えての感想を書きたいと思います。
私は、7月31日から8月6日にかけて、科学者の卵の代表生徒として、この日英サイエンスワークショップに参加しました。その名の通り、日本とイギリスの高校生が同じ時間を共有し、学びを深めるという素晴らしいプログラムでした。参加する前は、このプログラムを通して、英語やイギリスの文化が学べるのだろうとしか思っていませんでした。しかし、英語や文化、宗教、習慣などは勿論のこと、それだけではなく、私の知らない東北復興の姿や、火山大国である日本の取り組みなど、我が国日本について、イギリスの高校生と共に学ぶことができ、それがとても新鮮でした。
特に印象的な体験が二つあります。
一つ目は、磐梯山を訪れたことです。初めての訪問でした。恥ずかしながら、磐梯山についての知識はほとんどなかったので、見るもの聞くことすべてが新鮮でした。特に印象的なのは、記念館で見た、磐梯山大爆発の様子を細かく再現した資料展示です。噴火前後の周囲の状況と噴火の様子が、映像と音声でリアルに再現されていました。これにより、火山の噴火を直接見たことのない私でさえ、この噴火がどの程度悲惨だったのか容易に想像することができました。
二つ目は、東日本大震災の被災地を訪問したことです。実際に被災地に足を踏み入れてみると、私が想像していた光景とは異なりました。震災からおよそ5年が経過していますが、未だ復興が追い付いていない地域もありました。大震災と津波の爪痕が残る地域もありました。私も小学校5年生で経験した震災で、今までにない程怖い思いをしましたが、それ以上の恐怖を感じた方々がたくさんいるのだということを改めて思い知らされました。被災地をまわる道中のバスの車内では、東日本大震災の津波の映像を見る機会がありました。当時のニュースで、繰り返し見た津波の映像でしたが、実際に被災した場所で見る映像は、家より現実味と恐怖が増しました。
この二つの体験に共通することがあります。それは、火山も地震もイギリス人にとって馴染みのないものであるということです。だから、噴火や津波の映像を見たとき、それらを身近に感じる日本人は、怯えたり、気持ち悪くなったりしていましたが、怖がっているイギリス人はそれほど多くいませんでした。イギリスの友人の一人に、火山の大噴火や東日本大震災の大津波の映像の感想を聞いてみたところ、被害の程度や恐ろしさはあまり想像がつかず、実感が沸かないと言っていました。
私達日本人、特に東北に住む人々にとって、地震は頻繁に経験するもので、それ故、その地震が激しくなるとどのような二次災害が起こるのか、それがどれ程の脅威であるのか容易に想像がつくでしょう。しかし、そもそも地震が少ないイギリス人にとっては、その想像さえ難しいということを知りました。例え授業で習ったとしても、それはどこまでいっても机上の学問に過ぎない訳で、体験してみて初めて感じる恐怖もあると思います。だから、この訪問はイギリス人にとって貴重な経験であったと同時に、そのイギリス人の感じ方・考え方を知るという点で、私達日本人にとっても貴重でした。
このように、これらの訪問は私にとって特別なものになりました。普段家族や友人と訪問するのとは異なり、イギリスの高校生と共に日本について学ぶことができ、たくさん得るものがありました。今回の経験を通して、生きている時間が同じでも、住む環境や育った文化が異なると、全く違う意見や感想をもつということを改めて知ることができました。世界には多種多様な思考・価値観があり、私達はそれらを理解しあい、尊重していかなければなりません。そのことを切に感じ、考えさせられたプログラムでした。この1週間で、たくさんの貴重な経験をし、自分が大きく成長できたように感じています。
先週からは、重点コースでの研究が始まりました。このプログラムで学んだ知識、得た経験を活かし、新たな学びに繋げられるように精一杯、研究活動に励みたいと思います。
最後になりましたが、お世話になりました皆さますべてに感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。この経験を無駄にしないよう、今後も十分に努力してまいります。
投稿者:秋田県立秋田高等学校