東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業))

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平成28年度 活動ブログ

平成28年度 活動ブログ養成講座の活動を記録しています

2017.04.01

海外研修を終えて その7 アメリカ最終日

こんにちは。県立前橋高校二年の山田桂一です。

この日で海外研修の全日程が終了です。

帰国して落ち着いてから冷静にこの海外研修を振り返って、英語力の低さからあまり多くのことを学べずに帰ってきてしまったのではと思い始めていますが、とりあえず最終日についても書いていきたいと思います。

【活動内容】

・カリフォルニアサイエンスセンター

・グリフィス天文台 の二か所を見学しました。

【成果と感想】

この日の朝はまずホストファミリーたちとお別れでした。現地に着いたばかりの段階では言語の壁からなかなか上手くコミュニケーションをとれずにいました。しかし、最後の三日間くらいになってきてようやく議論もどきをできるようになり、有益な時間を過ごすことができるようになりました。どの卵生のホストファミリーたちも最後の最後まで別れを惜しんでいたようで手を振り続けてくれていて、中には涙を流して別れを惜しんでいる人までいて、私たちがすごく大切に受け入れられていたことを改めて実感しました。温かく迎え入れてくれた現地の人たちにはいくら感謝をしてもしきれません。

海外研修32.JPG見送ってくれているホストファミリーたちの様子。

この日までには英語を使うことには慣れてきたため、現地の人にわからないことを尋ねることにもためらいがなくなっていました。そのため、カリフォルニアサイエンスセンターでは、展示してあった帰還船が本物なのかレプリカなのか、どうしても気になったので通りかかった館員の方に質問してみました。(どうやら、リバーサイド市からカリフォルニアサイエンスセンターに移動する間にガイドのジミー氏が説明をしていたらしいのですが、私は寝ていたため全く知る由もありませんでした。ジミー氏はほかにも面白い話をたくさんしていたそうです。聞いておけばよかったと後悔しています。)このとき、館員の方は説明文に書いていないことも教えてくれていたのですが、あまりよく聞きとれませんでした。展示してあった帰還船は外側全体が焼けただれており、宇宙からの機関の困難さを物語っていました。他の帰還船も、シールドが焼けただれていたり装甲の断面からは表面の層が焦げている様子を見て取ることができたりと、凄絶な様子をありありと思い浮かべられました。パラシュートがついているものもありました。パラシュートは何本もの太い針金を束ねたもので堅牢に繋がれていました。帰還船にはアストロノーツの帰還を無事に果たすためにたくさんの技術が詰まっているようで、見ていて非常に興味深い資料でした。

海外研修27.JPG私が大興奮で見ていた帰還カプセル。アポロ計画のものです。

他にも、カリフォルニアサイエンスセンターにはエンデバー号や飛行機のような工学的な展示から、水族館のようなエリアまで、理系の多様な分野にまたがった展示が催されていました。日本の博物館と決定的に異なる点は、アメリカには体験式の展示が多く、来場者の興味を引くような巧みな展示方法がとられているところです。おそらく、ここだけで一日中楽しむことができる施設です。しかし今回は午前中だけでした。そのため班ごとで見学したものが違っていて、他の人のレポートで自分たちが見なかった展示物を知ることになり、他の日よりもさらに興味深く感じられました。

エンデバー号はここの目玉の展示物だけあり大迫力でした。特にエンジン系統が濃く印象に残っています。壁にはシャトルのフライトの記録のパネルが貼られており、中にはチャレンジャー号の事故のものもありました。宇宙関連の展示はエンデバー号だけでなく、既述の帰還船もありましたし、ハッブル宇宙望遠鏡の1/5スケールの模型や火星探査機バイキングの模型、宇宙服といったものまで展示してありました。幼いころに宇宙開発に強い興味を抱いていた私としては、宇宙に関連する様々な展示を見ることができて感無量でした。

私の班では、他には主に生物系の展示を見ました。中でも衝撃的だったのが、リアルタイムで虫が湧いているネズミの死体の展示です。どこに頭があるのかわからないくらいに虫で覆われていました。私が見たことのある虫の湧いた死体というと、小学生の時に下校時に見た小鳥の死体くらいですが、それにはウジが多少ついていた程度であそこまでびっしりとは湧いていなかったように思います。また、様々な哺乳類の心臓の展示もありました。そのままの形の心臓を見ることはほとんどないため、形や大きさの違いを初めて知りました。水族館のようなエリアでは、水槽に入って作業をしている人が慣習の質問に答えるようなコーナーが催されており、日本では見ない光景に驚きました。

海外研修26.JPGエンデバー号(後ろから撮影)。

こちらから見た方がワクワクしました。

お昼は、ファーマーズマーケットというところに行きました。所狭しと多様な店々がひしめき合って並んでおり眺めているだけでも心持愉快になるようなところでした。海外についた当初私は、慣れない通貨となれない言語でお金を使うことにすら恐怖を抱いていたほどだったのですが、この頃には恐怖心はすっかり薄れていたので少しだけ成長を感じた気がしました。

海外研修31.JPGファーマーズマーケットの時計台。

そして、海外研修最後の研修先としてグリフィス天文台へ行きました。まず初めにグリフィス天文台の高台からの美しい眺めを一瞥。アメリカは高い建物が少ないためやはり眺めは良好です。素敵な景色に思わず息をのみました。グリフィス天文台には月の石や鉄隕石など、これまた幼き日の宇宙へのあこがれを掻き立たせられるような展示が数多く並んでいました。宇宙の遍歴を表す回廊は歩く距離と年代を重ね合わせた展示となっており、22日の地学研修を思い出しました。こちらでは一つひとつの事象だけでなく、それらのつながりも含めて重きを置いているようです。この回廊でもしばらく何の説明もない部分がありました。宇宙がひとたび誕生して安定してから太陽系が生まれるまでの期間は、太陽系について調べるだけでそれが十分に一つのサンプルとしての役目を果たしているために、他の例を調べるよりも、宇宙の起源について調べる方が価値のあることであるため空白であったのではと考察しました。また、見学している中で、フーコーの振り子モデルの前で、振り子の糸がなぜ球がとまっている間だけ大きく揺れ、球が動いている間はほとんど揺れていないのか、正夫先生・伊藤先生を筆頭にその場にいた人たちでしばらく頭をひねる場面がありました。物理を履修していないと理解できない事象は世の中に多く溢れており、素朴な「なぜ」を思考するためにはより広い理系の分野に触れておくことが非常に大切であることを改めて実感しました。(帰国後、物理を独学してみようと急に思い立ち、友人の勧めで「物理のエッセンス 力学・波動(河合出版)」を購入しました。)

海外研修28.JPGのサムネイル画像月の石。

海外研修30.JPGフーコーの振り子モデル。

地球の自転を証明するためのものだそうですが、どのようにして証明しているのでしょう。

グリフィス天文台のフーコーの振り子は42メモリあり、42時間で一周するそうです。たしかに、入ってすぐ見たときと出るときとでは角度が変わっていたような......。

海外研修29.JPG大きなテスラコイルも!!!

私はお目にかかることはできなかったのですが、一時間に一度くらいの頻度で実演もしているそうです。

なんでも、古いものであるため常時稼働していると火事になる恐れがあるのだとか。実際に起こったこともあるようです。

これで理系の研修は終了です。この後はロサンゼルス国際空港に移動。搭乗まで時間があったので、この海外研修で、英語・科学的な視点の二面でどのような成長を実感したのか、それぞれの意見を共有しあいました。私が成長できたと感じている点については次回(海外研修を終えてシリーズ最終回)に記したいと思っています。

(搭乗の際に様々なハプニングが起こったのですがまた別のお話。テンションで体調不良を乗り切ろうとしていたのですが、ここでスペックの低下が露呈したような気がします。慌てていても心の中に一抹の余白は残しておきましょう。本当に大切なものについてはしまっておく場所を決めておきそれを変えないようにしましょう。私はこれで最後の最後に失敗しました。終わり良ければ総て良し、といいますが終わりで失敗するとまったく締まりませんね。)

投稿者:群馬県立前橋高等学校

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