東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業))

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平成28年度 活動ブログ

平成28年度 活動ブログ養成講座の活動を記録しています

2017.04.01

海外研修を終えて その8(最終回) 総括

こんにちは。県立前橋高校二年の山田桂一です。

長く続いた海外研修の報告の記事ですが、今回で最終回です。今回は海外研修で得たものについて書いていきます。

まず、海外研修の成果ベスト3を紹介します。

3位 必要とされる英語力がぼんやりとわかったこと

当然のことながらアメリカについてからは現地の人たちとの交流はすべて英語で行います。各研修先で受けた説明もほとんど英語でした。(昆虫学の山中さんのように例外もありましたが。)初日は、聞きとれなかったことを聞き返すこと・断ること・単語を並べるだけの稚拙な英語を使うことなどに若干の抵抗がありました。しかし時間とともにこの感覚は失せていき、次第に現地の人たちとの交流が活発になりました。

何度も書いてきた通り私は英語力に全く自信がありません。英語力の点で進歩したことというと、聞きとることのできる単語の数が幾らか増えた気がすることくらいですが、これは大した成果ではなく、技術的に何かが大きく成長したということはありません。しかし、技術的に成長できていないからこの研修における収穫は無であったというわけでもありません。それが研修の成果第三位の「必要な英語力がわかったこと」です。私は今回の海外研修が初めての海外渡航でした。初めてネイティブの中に身を置くことで、国際的に生きていく身としてどの程度の英語力が必要とされるのかがわかりました。言語の壁は想像以上に厚く高いものでした。説明を聞いても疑問を抱けるほどの理解はできなく、現地の人たちとのコミュニケーションも不十分でした。この研修中、上手く英語を操れないもどかしさを何度も痛感しました。英語力が低いと海外では学べることの総量さえも減ってしまうのです。私が向こうで学べたことは他の海外研修参加生と比較すると見劣りしてしまうものであるような気がします。(前回の冒頭のネガティブな記述はこの感覚によります。)英語は言ってしまえばただのコミュニケーションツールなので、海外に出たら話せることが標準となります。そのため、今回の研修で必要な英語力の水準を知ることができたことは非常に幸運なことで、これを指標としてこれからの英語学習に臨んでいきたいと考えています。

2位 海外研修参加生・現地の高校生たちと仲良く楽しく過ごせたこと

これは非常に価値のある成果です。科学に強い興味を抱く同志が日本人だけで15人もできました。皆それぞれが異なる専攻に進んでいくのでしょうが、ここでできた繋がりをこれからも大切にしていきたいと考えています。

現地の高校生たちとも打ち解けられました。短い期間でしたがとても仲良くなれた人もいて、帰国した今でもLINEを通じてコミュニケーションを取り合っている人もいます。遠く離れていても簡単につながることができるため、文明の利器に感謝です。日本の高校生だけでなく、海外の理系の高校生とのつながりができたことも貴重な経験です。このつながりも大切にしていきたいものです。

RSAには民族的にも性格的にも多様な人たちがいて、遺伝的多様性とでもいいますか、多くの個性があって、それもまた日本の高校とは異なっている点でした。ここならば日本の高校よりも、日常的に深い科学の話をできる友人が多くできそうです。

1位 理系の中でこれまで知らなかった分野について新しく学ぶことで視野が広がったこと

この点につきましては、何もこの海外研修だけが特別であったということではなく、基礎コースの毎月の講義や発展コースでの活動の延長線のようなものです。今回の研修では、半導体や地学のように私がこれまでほとんど触れてこなかった分野の研修もありました。そのため決して明瞭な理解ではありませんが、英語の説明の中でも新しく学べたことはありました。十分に理解できなかった内容については、さらに理解を深めるべく暇を見つけては調べているところです。自分の興味と離れた分野について主体的に何か新しく学ぼうとアプローチをかけるのはとても難しいことであると思います。何から始めてよいのかわからないのです。私は生物分野に進もうと考えていますが、特に興味の強い分野は植物とタンパク質であり、動物分野はあまり詳しくありません。生物分野に興味があると一概に言っても、それでも疎い分野はあるくらいなのです。それなのに全く異なる分野に新しく手を伸ばすのは極めて困難であるように感じています。しかし、一度その分野に触れるきっかけさえ与えていただければ、そこからアプローチをかけていき、枝葉を伸ばすように知識を広げていくことは可能であると考えています。基礎コースの講義でも広くの分野に触れることができました。少しでも疑問の残った分野から調べてみようと思っています。多様な分野にまたがる知識を持つことは、正夫先生たびたび仰っていたように、ひとつの事象について考えるときに多くの視点を持って挑むことができる思考力に繋がっていくことでしょう。

海外研修だけでなく一年間全ての科学者の卵養成講座を通じて、非常に多くのことを学ぶことができました。一年前とは比べ物にならないほどの文章力と思考力が身につきました。海外研修中の毎日のレポートのすべての文字数を数えてみたところ、16701字でした。平均すると一日当たりおよそ2000字です。(毎日読書感想文くらいの量を書いていたのです!驚きました。)実は半年くらいたったあたりだったか、この活動ブログへの投稿にも個人的に2000字ノルマを課していました。(カウントの方法はwordで下書きをするときに下に表示される文字数を見ていただけなので正確に2000字に到達していたか定かではありませんが。)これを通じて思考力や文章力をさらに伸ばすことができたのだと思っています。さらに、発展コースや海外研修に選抜していただいたことは大きな自信になりました。そこで得た経験を通してもさらに成長することができました。しかし、ここで得た成長は、今の私にとっては極めて大きなものですが未来の私にとっては単なるスタートラインにすぎないものかもしれません。要は、この一年間で学んだことを、これから先にどう生かしていくか・これから先でどれだけ成長させることができるか、こそが重要なのではないかということです。きっと、この一年間の経験だけで満足して頭でっかちになっているようでは何の意味もないことでしょう。これからも、難しいこととは思いますが、科学的に考えること・自分の考えを文章に起こすことを継続的に行い、さらなる「飛翔」をできるように努めていきたいと思っています。

この一年間私が科学者の卵として学習活動を行ううえで、東北大学の先生方・事務局の方々をはじめとして多くの方々に支えていただいてきました。そのことに多大なる感謝の意を表して「海外研修を終えてシリーズ」を締めくくりたいと思います。本当にありがとうございました。

海外研修33.JPG

連載・海外研修を終えてシリーズ 目録

その1 事前研修と出国

その2 アメリカ二日目 小さな成長?

その3 アメリカ三日目 挫折と再起

その4 アメリカ四日目 上昇傾向

その5 アメリカ五日目 Enjoy!!

その6 リバーサイド最終日

その7 アメリカ最終日

(総文字数:22300字 読了の目安:約45分)

投稿者:群馬県立前橋高等学校

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