東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業))

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平成28年度 活動ブログ

平成28年度 活動ブログ養成講座の活動を記録しています

2017.04.04

海外研修のご報告③(5日目)

*The Fifth Day*

こんにちは。日本航空高等学校の加藤愛菜です。引き続き5日目の活動を紹介いたします。

この日も8時前にSTEMに集合となり、着いてからはすぐにSTEM worksの準備に入りました。

STEM works は私たちがSTEMの生徒に対してアクティビティを紹介して実際にしてもらう、言ってしまえば科学的な要素のある学活の授業のようなものです。4つの班がそれぞれちがうアクティビティを担当し、同時に別の教室で行われるのでSTEM生は好きなアクティビティを選んで参加できます。

私の班は紙相撲を担当し、この日は3回授業をしました。STEMの先生の協力もあり、回を重ねるごとにうまく進行できるようになっていきましたが、科学的な視点から強い力士を作るという本来の趣旨は伝わらず不完全燃焼でした。言葉の壁は高いです。

 STEM worksの後はSycamore Canyon 自然公園に行き地学研修を行いました。

この公園では、絶滅の危機にあるカンガルーラットの保護のために野生の自然環境を残しており、人類が現れる前のリバーサイドの自然環境を知ることができる貴重なものです。最初にSTEMの高校生に生物学系の解説をしてもらいながら丘の頂上まで登りました。途中途中で何度も様々な種類のトカゲをとって見せながら名前の由来や特徴を説明してくれ、また植物やその他の昆虫についても見つける度にわかりやすく解説してくれました。その後UCRの方の地学系の解説を聞きながら再び丘を登りました。コース全体の長さを地球の歴史の長さに見立て自分たちが歩いた分だけその内容も進むという日本にはない新手の授業でした。ここでは生物の誕生や環境の化学的な変化(酸素量など)、また生物の進化とその要因(もともと背の高い植物が多かったが、恐竜に食べられないように背の低い草花に進化したこと等)や影響(様々な種が混ざることで多様性が生まれたことなど)の解説を受けました。

すべての解説の後にいくつか質問し、この丘は大きな岩と小さな粒状の石で構成されており、乾季には水は地下にしかありませんが、雨季には雨が降るため、それにより地面が削られて谷や道に多くある溝が形成されたということがわかりました。このことから、まず丘には草花が多く生息し、丘と丘の間にあった谷には背の高い樹木が生息していたのですが、それはなぜなのかを考えました。草花は水はけの良い砂のような土壌でも適応して生息できても、樹木はそうは行かず、このような乾燥帯で生き残るためには地下水により近い谷で根を下に下に伸ばして水を求める必要性があったからではないかと思いました。

また、その関係からそれらの樹木は陽樹ではなく、生育に必要な光合成量が少ない陰樹なのではないかと考えました。

リバーサイド 245.JPG見ての通り地面に溝がたくさんあります。

リバーサイド 247.JPGSTEMの高校生から解説を聞いています。

このフィールドワークでは鳥の声が頻繁に聞こえたり、花の香りがしたり、風を肌で感じたりと様々な感覚が刺激され多くの発見が生まれました。 また説明の中に「今までも周期的に気候変動はあったが、人間の活動がそれを加速させてしまい、動植物の環境への適応が間に合わないまま結果的に絶滅してしまう」という説明があったのですが、これが私にとって今までで一番気候変動の重大さが理解できた説明でした。周期的に氷河期は来るのだから温暖化はそれで解決され、気候変動は問題でないという主張を聞いたことがありましたが、氷河期が来るまでにどれだけの動植物が絶滅し生態系に影響が出るのかと思うとこの考えは悠長すぎると思います。いくら科学技術が進んでも、自然へ頼らざるを得ないことも多く、科学技術のみで自給自足はできないので生態系の変化は人間にとって重大なことです。これを機に環境問題を今まででよりもさらに深刻なものとして捉えることができるようになり、よい経験ができたと思いました。


投稿者:日本航空高等学校

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