東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業))

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平成28年度 活動ブログ

平成28年度 活動ブログ養成講座の活動を記録しています

2017.04.06

海外研修を終えて

こんにちは、一関第一高校の佐々木 司温です。
海外研修を通して学んだこと、身につけたことを感想を交えながらここに記そうと思います。

文化面について

・それぞれの主張をしっかり言葉にする。また、相手の主張についても耳を傾ける。
今回の海外研修で一番印象深かったといえる体験です。
STEMでSTEM WORK(ワークショップ)を行ったとき、小学一年生にあたる子と話す機会があり、将来の夢について聞いてみると「~になりたい」だけでなくどのようにしてそのようになるのか、詳しく教えてくれた。
それだけでなく、「あなたは?」と聞かれ、いうことはできたもののそこまで詳しくは話せなかった。
ホストファミリーの祖父母の家に訪れる機会があったのだが、そこで祖父と話していて「トランプのことどう思う?」と聞かれて戸惑いつつも答えた。あまり英語は達者ではないのだが伝えようとすると、真剣に聞いてくれた。
また、STEMの生徒とデザインチャレンジをすることになり、あまりうまく英語で意見を伝えることができず少し消極的になっていた。STEMの生徒の話を聞いていて、「これがいいんじゃない」「いや、こっちのほうがいいと思うよ」などと相手の主張を受け入れつつも自分の主張も伝えていて、見習わねばと感じた。
もっと主張しなければならないと感じた。
日本の文化を伝えるときも真剣な眼差しで聞いてくれて、相手のことを理解しようとしてくれた。そして、私はできるだけいろいろな人に話しかけてみようとし、以前より少しでも積極的になれた。
だからこそアメリカの国民性として、フランクな人が多いのかな?と感じた。

・自由度が高い。その分責任も負う。
夜出かける機会があり、そこで目にしたのは多くの若者だった。最初は戸惑ったが次第に慣れていった。ほかにも、夜にホストブラザーがバスケットボールにいこうといってもホストマザーが「気をつけてね」というぐらいだった。
アメリカではこのようなことが結構あるのかな、と感じた。
また、16歳から車の免許が取れるということについても驚いた。
このように日本と比べて自由なことが多いように感じた。日本では制約があるが、その分安全が保障されているともいえる。アメリカでは自由を尊重されるが、責任も自分たちで負はなければならない。そのこともあって、主張することに長けているのかもしれない。

・合理的
交通面でアメリカは日本より進んでいる点が多いように感じた。場所によっては、赤信号でも安全が確保できれば発進してもよいことを今回初めて知った。というのも、オイルショックの際に、車を停止させている間もガソリンを消費しているためもったいないということからきているからなのである。その習慣が定着していまに至るわけである。
また、信号に関してもほとんどが押しボタンがついており、押すとすぐに信号が変わり便利だなと感じた。歩行者用信号機にはカウントダウンする機能がついており、これも安全に一役買っているいるのかなと感じた。
クレジットカード決済が主流であるのもアメリカの特徴といえるだろう。驚いたのが、現金で買い物をしたときに追加で料金が発生していたことだ。確かに現金をいちいち数えるのも面倒で、クレジット決済にすれば時間の短縮にもつながって合理的である。
その点日本では、いまだに現金主義であるといえる。欠点もあるのだろうが、クレジット決済をもっと取り入れてほしいと感じた。
合理的で時としては冷たく感じるところもあるけれども、今回も研修でこのようになったことの起源を知っていくうちに「ああ、なるほど。そういうわけ」と納得することが多かった。
また、今回研修で小さな気づきにも敏感になったのもこの合理的なものとかかわる機会が多く、学ぶ楽しさを実感できたからかもしれない。

・学校の教育
まず日本の学校との違いで驚いたのは、学校側のスタンスである。日本では、学校は学力のみならず礼儀、広く言えば人間性を鍛える場としての役割を果たしているが、アメリカでは学校は勉強を教えるところで、しつけは各家庭に任せるというのが一般的であるらしい。
私が日本のことについて伝えると、授業中にも関わらずスマホを取り出して調べ始めたのである。びっくりしたが、先生が指摘するわけでなくあたたかい眼差しでただ見ているだけだった。
次に驚いたのが、学校が日本と比べてかなり早く終わるのと、中途半端時間で授業が終わることだった。学校が終わると各自でそれぞれの活動をするのが一般的で、実際にホストブラザーは違う学校なのに仲がいい友達がいた。日本では部活に入ってみんなで活動し、チームワークや忍耐力を養うことも活動の一環として含まれているが、アメリカではやはり前述のとおり、しつけと学習は別で扱われるため各自で活動する様式をとっているのかなと感じた。
授業が~◯3分で終わることがあり、日本人より時間の管理が細かいように感じられた。
また、先生が教室を移動するのではなく生徒が教室を移動して先生のもとに集まる形式をとっていたことにも驚いた。そして、授業が始まる前に出席をバーコードを使って機械で管理していたことが学校で一番驚いたことかもしれない。
最後に、日本でも近年積極的に取り入れられてきているアクティブラーニングについてである。STEM校で見学したほとんどの授業がアクティブラーニングを取り入れた授業を取り入れていた。だからこそかもしれないのだが、全体を通して生徒の積極性が高かった。このことが、意見を述べる能力にもつながっているのかもしれない。日本でもよりこのような学習方法を取り入れてほしい。

・移民の受け入れの歴史
今回の研修で現在のアメリカにつながる大きなトッピクである移民の受け入れの歴史について学ぶ機会があった。日本では、海外から来た人がいると周りから特別な目で見られることが多いが、アメリカではそういうことはなく普通に接してくることのほうが多かった。
やはり、移民の国と言われるほどであってからこそなのだろう。私は今回、ハラダハウスやマーティン・ルーサー・キング牧師そしてそのほかの差別と闘った多くの人たちについて体系的に学んだ。
ハラダハウスは今回の研修を受ける前は全く知らなかった。多くの人がハラダハウスの名を聞いたことがないのではないだろうか。簡単に説明すると、アメリカで移民として初めて土地や家を所有する権利を勝ち取った人たちの家である。のちに第二次世界大戦が始まりその家族は収容所に送られるものの、何とかその家は残り、差別と歴史の変遷を今に伝えている。
知っておくべき事実であると感じた。そしてほかにもたくさんの似たような事例があるのではないかと思い、自分で掘り下げていこうと思った。

・食文化
研修にあたって気になっていたこととして、アメリカの食があった。行く前は、とても高カロリーな食事が毎食出るのかなと思っていた。実際に行ってみると半分あたっていて半分間違っていた。
特に驚いたのが朝ごはんについてである。朝から重い食事が出てくるのかなと思っていたが、そういうことはなく、むしろ少なく感じることが多かった気がする。日本のように朝からしっかりとした食事を摂るわけではなく、シンプルで時間があまりかからないものが多かった。(コーヒーのみであったり、シリアルやパンなど)
昼食は、主にサンドイッチだった。でもさすがはアメリカ、夜ご飯はハンバーガーやピザそのほかいろいろな高カロリーな食べ物が出てくることが多かった。ほかには、間食が多いように感じた。甘いものに関しては、すごく甘く感じるものが多かった。ベジタリアンも多いらしく(日本と比べて)全部が全部高カロリーで脂っこい食べ物ではないそうだ。
食べる機会がなかっただけで、あるのかもしれないが、うま味を含んだ食べ物が見当たらなかった。
また、栄養バランスという面では偏っていたが、どちらかというと、総カロリーのほうを気にしているように感じた。


環境について

・公共施設・インフラ
文化の面で前述したとおり、アメリカの道路は合理的で快適でもありました。
まず道路の幅と車線が広くたくさんありました。基本的に4車線あり、前の車がのろのろとしていても追い越せないということもなくスムーズに運転できるように感じた。これは、国土が広く、また車社会ということもあってのことだからなのかもしれない。
しかし、通勤の時間帯はハイウェイ(フリーウェイ)がかなり混んでいた。また、知っての通りかもしれないが、日本と違って右車線が発進方向となっている。あまりなれなくて最初はひとりでひやひやとしていた。信号機についても前述したことに加えて、左折しようとしたときにおそらくセンサーが反応してあまり長く待たずに左折できた。
看板もあまり見かけないものがあった。リバーサイドシティーのダウンタウンの住宅街を歩いていた時、注意 近くに耳の聞こえない少年がいる と書かれた看板がありハンディキャップを持った人への配慮が感じられた。学校やほかの施設でも、ユニバーサルデザインと思しきものがたくさんあった。

・学校の設備
さすが土地が広いだけあって、縦に建物を建設するのではなく主に一階建てだった。そして外にはたくさんのバスケットコートがあった。アメリカでバスケットが人気なのは、こうした環境によるものもあるだろう。
そしてSTEM校には3Dプリンタが2台もあった。実際に3Dプリンタを見るのは初めてで、興奮した。3Dプリンタを使っていろいろなものを作っていた。近々にエンジニアリング系のコンペがあって、それに向けての部品などを自分たちで設計して作っていた。
日本では、まだ3Dプリンタが普及しておらず、もっと最新の機器に触れる機会を設けてほしいと考えている。
このように、実用的な面においての学びがたくさんあり、早い段階での才能の発掘につながっているように感じた。例としては、ビルゲイツやスティーブ・ジョブズが挙げられるだろう。

・自然災害
環太平洋造山帯に位置していることもあり、カリフォルニア特に南部では地震が多いらしい。ホストファミリーと東日本大震災について話すことがあったが意外にも知らなかった。でも話すと真剣眼差しで聞いてくれた。確かにニュージーランドやパナマや中国で大きな地震があっても他人事であるような部分があることは否めないだろう。


・歴史的意味のあるものの保存の方法
Cycamore canionで地球の歴史について学ぶことがあったが、なんとその公園の隣には大きな道路があったのである。日本であれば、めったにそのようなことはないだろう。このような歴史ある場所が近くにあると、学ぶ機会も多いのではと思った。
公園では、トカゲやいろいろな動植物を見ることができ、日本との環境の違いを肌で感じることができた。また、地面にたくさん穴があってその穴が果たす役割などを知ることができ、自然により興味を持つことができた。

ホストファミリーとの交流を経て
最初は日常生活の違いに戸惑っていたが、質問をすると丁寧に教えてくれて、何とか生活できた。
ホストファミリーにいろいろな場所に連れて行ってもらい、アメリカの文化を楽しみながらも知ることができた。アメリカでしか体験できないイベントばかりだった。文化の違いはあったものの、互いに受け入れて認め合って生活できたと感じた。また、家族と過ごす時間が多くて、いろいろな話をすることができた。アメリカの文化を知るだけではなく日本の文化をフィードバックできたのが大きな成果だと感じた。
くみ取ってくれる部分はあったが、やはり主張するところはしなければならないと感じた。
うまく言葉で伝えられない部分もあったが、言葉をこえていろいろな部分でつながりを持てた。

英語でのコミュニケーション
最初は戸惑い何を言えばいいのかすら、聞き取れなくて、わからなかった。ボディーランゲージから始まり、不安だったが、少しずつ話していることが聞き取れるようになり、簡単な受け答えならできるようになった。
全体を通して、リスニングの能力が上がったと思う。
文を理解する能力は学校の英語の授業を通じて養われてきたが、自ら文を構成して話すとなると全然うまくいかなくなるものだな、と痛感した。日本人がスピーキングを苦手とするのは、本格的に英語を話す機会が少ないからであるように感じた。
今回の研修で、どのくらいまで英語の能力を伸ばせばいいのか、一つの指標をもつことができた。


概して
今回の研修では最新の技術や機器に触れて、科学への興味がより一層高まっただけではなく、文化やたくさんの人とかかわることで人間性という点でも大きくなれたと思う。
特に、小さな発見をしている仲間から刺激を受けて、私もできるだけいろんなことに興味をもってつぶさにものを観察しようとしているうちにいろいろな発見をすることができた。
また、あまり興味がない分野のことを学んでいると深いところで自分の興味がある分野とつながっていたりして、たくさんのことを学ぼうと感じた。
何よりも、「なぜ?」と思い自ら調べる癖がついたことが大きい。
この研修をよりよいものにできるかは、今後にかかっていると考えているため、これからも努力を重ねていきたい。

今回の研修を支えてくれた皆様本当にありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします

投稿者:岩手県立一関第一高等学校

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