今日の活動:
①CaliforniaScienCenter
②Natural History Museum
③帰国
①CaliforniaScienCenterではあの有名なEndeavourを見学しました。機体が非常に大きく、全体を撮影するのにとても苦労しました。
展示の中に、「EndeavourはChallengerの教訓から造られた」というものがありました。
気になったので、調べてみたところ、Challengerの事故は
①シャトルに脱出装置がなかった
②低温下での発射
が原因だそうです。
①は最初に知った時、本当に驚きでした。射出座席や完全与圧服のように、最初の数回の打ち上げ実験で搭載されていた安全装置も、Challengerにはなかったそうです。シャトルの信頼性に頼り切りだったのだとか...。何人かの乗員は機体分解直後にも生存し、個人用空気供給パックを使用していたそうですが、その空気は与圧されていない(薄い)空気だったので、彼らの意識を保つことはできなかっただろうという仮説が有力です。
②についてですが、私は恥ずかしながらそもそも原因となったOリングとは何か知らなかったので、これまた調べてみました。
Oリングとは、密封に使用されるO型をした機械部品で、その材料はゴムです。密封したい2つの部品間の隙間より少し太いゴムを使用することで反発力を利用して密封するのだとか。これに加え、流体からの圧力で密封はさらに強固なものとなるようですね。
Oリングは、固体燃料の燃焼により生じたガスを、燃焼終了まで閉じ込めておく役割を担っているそうです。ところが、発射した日の異常な低温により、Oリングが硬くなり、密封するための柔軟性を失ってしまいました。Challengerには1つの接合部につき2つのOリングが使われていたそうですが、その日、
・第一Oリング:寒さで硬くなり、密封が間に合わなかった
・第二Oリング:周囲の金属が曲がってしまっていたので、正しい位置に収まっていなかった(つまり、きちんと密封できていなかった)
という状態でした。その上、2つのOリングは一部が蒸発してしまっていました。
この密封という観点から見ると危機的な状況ですが、なんと、それまでの打ち上げでも何回か起こっていたようです。
その際、Oリングの代わりに密封の役割を担っていたのは固体燃料が燃えた後の酸化アルミニウムでした。しかし、Challengerでは運の悪いことに、ウインドシアという強風によって酸化アルミニウムもやられてしまったようです。
これらを受けて、Endeavourでは、
①継ぎ目の部分に改良を加え、Oリングの隙間が最小になるようにした
②Challengerではリングが2つ→Endeavourでは3つ
③ヒーターを取り付け、リングが24℃未満にならないようにした
という改善が加えられたそうです。
残念ながら展示の中からOリングを見つけることはできませんでしたが、実際に用いられた軌道船、燃料タンクを見ることができ、一生忘れられない経験となりました。
ChallengerからEndeavourまで改善に32ヶ月という長い年月を要しましたが、教訓は確実に受け継がれて行くということを目の当たりにし、改めて感動を覚えました。
②Natural History Museumを訪れた私を待ち受けていたのは...、大好きな恐竜たちでした!
まず一番の感動はカルノタウルスに会えたことです。彼らの特徴といえばかわいらしい2本の角ですね。角と頭部の縦の長さの比は大体1:6くらいでした。残念ながら骨は本物ではなく、骨格をうつした化石から推定されたものでしたが、その跡が残っているというのも素晴らしいですよね。日が差し込むところに置いておいて傷んでしまわないのだろうかと心配になりましたが、なるほど本物の骨でないのなら大丈夫ですね。originalの部分が多い化石は確かに日の当たりにくい奥の方に置いてあったように思います。
カルノタウルスは目が小さかったと推定されていることが多いですが、頭部に対する眼窩の大きさが他の恐竜に比べてもそれほど小さいという印象は受けませんでした。正面から頭部を見てみると、目の部分の横幅が最も狭く、角は左右に開いていました。口は目の部分に比べ少しだけ幅が大きかったです。
化石もいろいろな角度から見てみると面白いのですが、横から見た時に、カルノタウルスはティラノサウルスに比べて首が長く、頭部が小さいことに気がつきました。肉食恐竜のうち、小型になっていくほど身体に対する首の比率が増し、頭は小さくなって行くように思います。また小さい肉食恐竜ほど動きが素早いというのが定説ですね。これは先端が尖っており中央部にいくにつれ幅が大きくなるという形状だと流体から受ける抵抗が小さくなるので、身体の形状がそのようになっている小型恐竜ほど、動きが速いのだろうというのが私の仮説です。
また、角竜の展示ではトリケラトプスだけでなくスティラコサウルス、エイニオサウルスもいました!
私の中でスティラコサウルスは割とマイナーな角竜(すみません)というイメージがあったので、トリケラトプスを差し置き3体並んだ角竜のセンターにきていたことに感動しました。頭部は幾何学的でとても美しかったです。しばらくスティラコの前で立ち止まってしまいました。
さらに、私がもう1つ驚いたのが、エイニオサウルスの化石はモンタナ州でしか見つかっていないということです。他の角竜同様、エイニオサウルスも白亜紀に生息していましたが、その当時はローラシアが北米と欧州に分かれた時期にあたり、割と温暖で湿潤な気候であったようです。モンタナにどう特異的な気候があったのかは分かりませんが、合衆国の中でも北部に位置する州なので、低めの気温を好むのだろうかと思いました。
角竜の頭部はやはり大きいですね。身体の約3分の1を占めるそうですよ。また、眼窩は肉食恐竜に比べて小さく見えました。そして恐らく、肉食動物は目が前に、草食動物は目が横についているというのは、このあたりからもう既にそうだったのだと、骨格を見て思いました。(肉食恐竜の眼窩は正面から見えましたが、草食恐竜のものは見えなかったので。)
剣竜の代表、ステゴサウルスにも会えました。剣竜の仲間はそこまで動きが速くない分、背や尾のとげでプレデターに対抗します。私は背中の突起にあたる骨は尖っている(正三角形に近い)のだろうと思っていましたが、割と角がなく丸みを帯びていました。磨耗した、というのもあるのだろうとは思いますが、少し意外です。隣には比較的小柄な肉食恐竜の化石が展示されていました。闘えなければ食べられてしまうため、覚悟を決めて肉食恐竜と向き合う彼らの姿は、幼い頃から私のロマンでした。並べて展示されているとやっぱりいいですね。死後まで天敵と並べられてしまう彼らに少し申し訳ない気もしますが。
その他にも、
・モレノサウルスは食べたものを細かくして消化を良くするためにお腹の中に石がある(この恐竜の仲間は歯並びがとても悪く獲物を丸呑みしたと考えられており、腹の中で細かくする必要がありました。ちなみに肉食です。)
・パラサウロロフスがコミュニケーションの際に出した音は木管楽器と同じ仕組みで、管がカーブしているためホルンに似た低音だったと考えられている
など、初めて知る面白い情報がたくさんありました。
秋田県立能代高等学校2年
佐々木円花
投稿者:秋田県立能代高等学校