東北大学・飛翔型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業)

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平成29年度 活動ブログ

平成29年度 活動ブログ養成講座の活動を記録しています

2017.09.23

第四回~英語も科学も意外な発見続出~

こんにちは、仙台二華高等学校の小林雅望です。今回からは英語サロンという新しい企画も始まることもあり、楽しみにしていました。早速振り返っていきます。

英語サロンで話した留学生はSeth(セト)さんというメキシコ出身の方でメキシコや母国語であるスペイン語などについて様々なことを教えていただきました。どんな質問にも丁寧に、難しい単語は言い換えや具体例を提示したりして答えてくれました。今まで英語のスピーキングを行うときは、自分が言えない英単語が文中に出てこないようにかなり注意していて、スピーキングのハードルが高いと感じる理由となっていたのですが、セトさんの英語は難しい、専門的な単語が文中にあってもその場で説明を加え、"and the (説明された表現) is~"と文を再開していました。セトさんは私たちに理解しにくい単語、表現を説明するために文を途中で切っていましたが、私たちが自分では一語で表せない表現を別の文章で説明するために、文を区切って言い直しても通じるのではないかと思うようになりました。来月使ってみたいです。また、話が盛り上がったお昼頃にテストの話があり、先生が成績をつけるのだ、と伝えたかったとき"成績"という英語が出てこなかったのでいくつもの文で成績をつけることをあらわしたところ"Ah,you mean "score""と理解してもらえました。説明にトライしてみることの面白さと大切さを感じました。第一回の英語サロンは自分から話す、質問してみることは多くありましたが留学生の研究といった大学生活についてはきかなかったので、「東北大学の留学生と」話す機会を生かす質問ができるように次回はしたいです。

一つ目の講義は、実世界に使われる数学の話でした。序盤から古代ギリシャでは作図により計算を行っていたと聞き驚いていました。ただ、面積を二倍三倍...とするには図形を使って計算したほうが方程式などをわざわざ立てるより楽だと感じました。建築や芸術で二次元、三次元の物を扱ううちに二次元の図形で行う計算が必要になったのかもしれません。その時々によって行いやすい計算方法が何か気づくようにしていきたいです。その後のデータ検索についての講義は、×2の威力に気づかされました。一兆以上ものURLから検索するにはスーパーコンピューターでさえも人間の「指数を使う」というアイデアが必要だったようです。×2のような身近なものであっても、使い方次第で大きな効果が出ることに面白さを感じました。誤り訂正符号も興味深い2の使い方をしていました。ある信号のグループを一斉にチェックしグループ内に間違いがあるかないかを判断する、という考え方は、普段計算問題などを一つずつ片づけていく私にとっては驚きでした。最終的に正しい信号が得られれば良いのでグループごとにチェックしてもよいと納得しました。誤りを見つけるためのパリティービットとパリティービットの間に偶数個間違いがあったりパリティービット自身が傷ついて違う信号に変化すると訂正できないので、パリティービットを入れる間隔が大事だと思います。冒頭に数学は習ってから使いこなせるようになるまでが大変であることが最も悲劇的なことだ、とありました。しかし、データ検索も暗号解読も賭けもすでにある数学の知識を使うことでよい方法が生まれています。数学を「使う」訓練はあまり学校ではしませんが、必要だと思いました。

二つ目の講義は高等植物の自家不和合性についてでした。自殖性植物は動物の体に付着して運ばれてある場所に一つだけ種が落ちたりしてもその種が自殖をしてその場に繫栄することができます。また、非常に変わった遺伝子ができた場合、それと全く同じ遺伝子の種が多くでき、別の環境にも適応して種全体の生息域を広げることもできます。人からすれば前者は外来植物は種が一つでも蒔かれたら終わりという悪い面となり後者は品種改良をした後その種を作りやすいという利点となります。自殖の欠点としては遺伝子の多様性が生まれにくく環境が大きく変わったときに種全体が絶滅する可能性が大きくなることがあります。自殖性植物の朝顔やエンドウの花はかわいらしいです。ある程度昆虫に媒介してもらって遺伝子の多様性を増しているのかもしれないと思います。他殖性植物は遺伝子に多様性が生まれる利点があります。人からすれば、純系を掛け合わせる品種改良が行いやすいという利点になります。欠点としてはどんなにその場の環境に適した遺伝子があっても一代限りということがあります。しかし条件によっては自殖するとのことなので過酷な環境になった場合は適した遺伝子の個体が自殖して生き残り、また多様性を増して次の環境変化に備えることができます。どちらが良いかは一概には言えないので両方存在しているのかもしれません。自家不和合性の自他識別方法は多様で全く違う方法識別したりしているので別々に進化したのかもしれないと思いました。要因は違っても自他を識別する、という結果は同じことから自家不和合成により遺伝子の多様性を保つことは非常に重要、あるいは私たちが気づいていない別の大きな利点があるのかもしれません。

相変わらずレポートを短時間で書くことには苦労しています。しかし、自分の考えを短時間で文章化する力も必要なものとして向上させていきたいです。次回もよろしくお願いします。

投稿者:宮城県仙台二華高等学校 |個別ページ

2017.09.23

科学者への必要条件は、「積極性」?

 こんにちは。宮城県仙台二華高等学校1年の関百咲です。
期末試験が終わり、ようやくブログを書くまとまった時間が取れました。今回は第4回特別講義のほかにも、前回盛り込めなかったニュートリノのことや、第一回のレポートに伊藤先生のコメントを踏まえた付け加えをしようとも思いましたが、長くなるので分けて書くことにしました。


 何よりもまず書きたいのは、英語交流サロンです。一括りに留学生とはいえども、なにせこの東北大学に来ている方ですから話が通じるか不安でした。また、世界各地から来ているわけですので、なまりに対応できるかどうか自信がありませんでした。
 しかし始まってみるとこれは杞憂だったとすぐわかりました。留学生の方は難しい研究内容を易しい英語で、図なども使いながら説明してくださり、私のなけなしの英語力でも会話を十分楽しめました。といっても、昼食以外の会話は研究内容に関してわからない点への質問に終始してしまいましたが......(笑)
 私は英語交流サロンでの目標を持っていました。「わからないことはひたすら聞く」ことです。以前英会話を習っていたり、学校でも英語部でALTや留学生と話したりするので、英語での会話に抵抗はあまりありませんでした。私は特にフランスからの留学生さんの、「Video cording」の研究について理解しようと、質問するほかにも自分で図を描いてみたり、自分の言葉で説明してみたりしました。概要はつかめ、原理もどうにか理解できたのでうれしかったです。次回もどんどん話がしたいです。


 次は講義の話。まずは苦手な数学の話......と思っていましたが、予習してみると情報?ビッグデータ解析? 私がちょっとかじっていたプログラミングとも関連があるそう。何やら単に数字とアルファベットとギリシャ文字の話ではなさそうで少し安心しました。講義も天文学などとの関係、バーコードやQRコード、特にギャンブルで絶対に安全な法則の話は興味深く、冒頭の「数学は生活に役立っている実感は得にくいが、必要から生じた」という話が分かったような気がします。数学に対して違う観点から見ることができ、興味もわいてきたので、日常にある数学を積極的に見つけてみようと思いました。プログラミングとも結構かかわりが深いように感じたので、もっと調べてみたいです。
 そして最後は植物の「自家不和合性」。この講義では受粉システムについてのとても面白い事実を知ることができたほかに、渡辺先生の観察・考察に対する感覚の鋭さを教わりました。花粉管が伸びる映像を見たとき、私は「花粉が花粉管を伸ばしている」としか考えませんでしたが、確かに一度膨らんでおり花粉管を伸ばす前に花粉に何かが供給されたと考えられました。それは何のため、どこからか? 本当に細かく観察して、そして状況や前後関係を考えて仮説をたてる。これこそ科学者の基本で、私たちの見習うべき姿勢だと感じます。まだわかっていることが少ない分野に対する、先生の情熱もひしひしと伝わってくる講義でした。


 今回の講義では講義の内容自体のほかにも、今後自分でやってみよう、身に着けようと思えることを見つけられました。英語サロンでも積極性を大事にしたからこそたくさん話せたし、むしろ英語だということを忘れるほどでした。科学者で肝要なのは「積極性」なのだと思います。今回の経験は次回にもつなげていきたいし、次回を待たずに今からでもできることはやってみようと思っています。


 ここまでお読みいただきありがとうございました。書けなかった分もすぐに投稿しようと思うので、そちらもよろしくお願い致します。

投稿者:宮城県仙台二華高等学校 |個別ページ

2017.09.20

公開サイエンス講座 総括「地震と、...水?」

みなさん、こんにちは。お元気ですか。

仙台市立仙台青陵中等教育学校5年、辻一志です。

先日、9月16日(土)に開催された東北大学大学院理学研究科・公開サイエンス講座「地震はなぜ起きるのか?」に参加したので、この場をお借りして少しだけまとめさせていただきます。

 

 

 

このサイエンス講座では、東北大学大学院理学研究科の松澤暢先生と長谷川昭先生の講演がありました。

 

 

 

松澤暢先生の講演では、そもそも地震とは何なのかを説明していただきました。

地震は断層に応力が働き断層がすべることで発生します。そのすべりが伝わる速さは音速の10倍もの速さなのですが、地層がすべってズレる速さは人が歩くほどの速さのため、東北地方太平洋地震の時はあんなに揺れが長く続いたとおっしゃていました。

他にもマグニチュード1の地震を起こすために必要なエネルギーは鮭おにぎり2.5個分という話や、プレートが動く速さは髪の毛が伸びる速さと同じくらいなので、床屋に行くたび自分の切られた髪を見て、これだけプレートが動いたんだ、と思ってくださいといった話など、身近な例えで地震を説明していただきました。

 

 

 

長谷川昭先生には地震と水の関係性について説明していただきました。

押す力F>μNのときに物体が動くといった物理の問題と同じように、断層面に平行な応力(せん断応力)τ>その地点に乗っている岩石が地面を押す力(垂直応力)σ×μ(約0.6)の条件で地震が起こります。つまり、震源が深くなればなるほど地震を起こすには巨大なエネルギーが必要になるため地震は起こりにくくなります。言い換えると断層の強度が増加するということです。

そこで、どれくらい深い所で地震が起こっているか調べると、スラブと呼ばれる海洋プレートが沈み込んだ所では、深いもので約660kmの地点でも地震が起こっていたそうです。しかし、そのスラブ内地震の深さで地震を起こすために必要なせん断応力を計算してみると、とてつもなく大きくなったのです。

そんな大きなせん断応力が働くと思えないので何かが断層強度を弱くしていると先生は予想したのです。その何かが「水」だと予想されたそうです。

岩石の隙間に水が入っていることでその水圧(間隙流体圧)で垂直応力が弱くなっているという理論です。

つまり、スラブ内のうち水を吐き出す場所(限定される)で地震が発生することになるため、水を吐き出す場所と震源を調べた所、みごと一致したため理論が証明されたのです。

東北地方太平洋地震を例にあげると、震源の深さが20kmで垂直応力は520MPaになるため断層強度は310MPaになります。しかし、観測で得られたせん断応力は10MPaで断層強度よりはるかに小さいです。したがって、垂直応力の約97%の間隙流体圧がかかっていたことになります。垂直応力がたった3%にまで減らされたということですね。

 

 

 

最初は水だけでそんなに応力を減らせるのか、と疑問に思いましたが、水深10mごとに1気圧上がることを考えると、20km地点での水圧は単純に

(1.0×10^5)×(2.0×10^3)=2.0×10^8=200MPa

何かの条件が足りないのか520×0.97の値にはなっていませんが、なんだかあり得そうですね。

もう一つ、内陸地震は内陸で起こるのだから水は関係ないのでは、とも疑問に思いましたが、それは講演の中で説明していただきました。

海洋プレートがマントルに沈み込む時に水も巻き込まれて一緒に沈み込みます。その水が上昇流となりその中で加水融解が起こりマグマが生成、そのマグマが地殻に貫通し固化することで水が放出されます。この水が間隙流体圧となる水だそうです。

このように、地震は間隙流体圧で強度が低下した断層で起こるのですが、強度の低下には時間がかかり低下した断層のみが破壊され地震を起こすため、将来的には危ない断層を見つけ出し地震予知につながる可能性もある、と最後に仰っていました。

この地震と水との関係性の発見が、本当に地震予知につながったらいいですね。

 

 

 

長谷川昭先生の講演では、計算と実際のデータの違いから間隙流体圧のことを予想し、様々なデータでとことん裏付けを取りそれを証明していたことが印象に残りました。

予想して裏付けを取り、証明する。どんな研究をする上でも基本となるであろうこのプロセスを大切にしていこうと思わされました。

 

 

 

この辺でまとめを終わらせることにします。

 

 

 

それでは。

 

 

 

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投稿者:仙台市立仙台青陵中等教育学校 |個別ページ

2017.09.17

9月9日(土)の講義を終えて、思うこと、考えたことなどなど(遺伝・渡辺)。。。(9/17)

 遺伝の渡辺でございます。先週の土曜日の講義の時は、少々、病み上がりで失礼しました。最後の質疑のところで、座り込むような状態で。。。今週は愛媛・今治に出張して、出前講義などでした。台風18号の関係もあるかも知れないですが、東北と四国では夜温がずいぶん違って、まだまだ寝苦しい、そんな出張でしたが。。。

 出張先から、たまごのHPにずいぶん、皆さんからの記事があがっているのを見ましたし、出張からもどり、皆さんのレポートも拝見しました。講義をする内容は、去年までと同じなのですが、手持ちのポンチ絵などを多用して、説明だけではわかりにくい部分について、分かるように挿し絵を入れた分、よかったでしょうか。概ね、講義内容というか、こちらの意図をくんで、理解が為されていたようでした。その点はほっとです。HPに書かれてあった内容、あるいは、こちらがしゃべり足らなかったようなことについて、以降、記しておきます。

DSCN4140.JPG まず、さっきまで読んでいた「レポート」について。この講座の最初に話をしたかも知れないですが、高校生には、難しいレベルの講義を聴いてもらい、その上で、それまでに知っている、さらには、その場で考えたことを、どこまでまとめるかということをすることが、このレポートであり、大変さでもあります。受講生によって、それに対応できる幅、分野による得意、不得意などもあるかと思いますが、まず、第一歩は、文章として書いてみること。できるだけ、論理的に。後は、文章とすること。箇条書きにしないこと。文章にすると、途中で分からなくなるかも知れないですが、箇条書きからスタートしても、最後は文章としてまとめること。ここから先は、かなり書いてみないとできないかも知れないですが、どんな順番で書くと、おもしろいと思ってもらえるか、つまり、読み手の気持ちになることですね。そのために、普段から、たまごのHPのまちかどサイエンスなどに、記事を書いて、文章力を上げるということです。普段の学習、部活などがあって、大変かも知れないですが、それでもやってみる、限界まで。それで、世の中が少し変わってくると思います。あとは、そのレポートに書く文字の大きさ。あまりの大きいのも困ったものですが、あまりに小さくて読むのに困るのも困ったもの。講義をしている先生方は、概ね、40代後半から50代だと思ってもらえれば。親の世代でしょうか。もう少し上の方も。小さい文字を読むことに苦労されてないでしょうか。その当たりに対する心遣いがあると、読み手はほっとするわけです。フィギュアスケートの評価ではないですが、「テクニカルメリット」というサイエンスというか、文章としてしっかりかけているか。論理的に。あとは、「アーティスティックインプレッション」で、いかに、きれいに、かっこよく見せるかということになります。こんなことを20minほどでやろうというのは、そもそも無理なのかも知れないですが、少しずつの訓練だと思います。やってみてください。

DSCN4143.JPG 次に、HPに書かれている記事を見ながら。。気がついたことを。基本、他殖性、自殖性の利点、不利な点をよく理解できていると思います。こちらの説明が届いていたのだと、ほっとしました。あと、皆さんに理解しがたかったのは、他殖性、自殖性を植物が環境に応じて、変化させることができるという点ではないでしょうか。こちらの説明が悪かったですが、ダーウィンの実験は別として、講義で話をした野生トマトと現在のトマトの比較で、野生トマトは基本、自家不和合性です。現在のトマトは、自家和合性です。つまり、他殖性から自殖性に変化したと言うことです。これは、人間による長い間の「栽培化」の過程のどこかで起きたものです。いつ起きたのかを、遺伝子の塩基配列を現存の野生種と栽培種を比較することでおおよそは分かる可能性はありますが、あくまでも推測の域を出ません。現時点でいえることは、トマト類の場合、雌しべ側の因子である「S-RNase」のRNAを加水分解するために必要な活性部位のアミノ酸が「ヒスチジン(His: H):自家和合性系統」--->「アスパラギン(Asn: N):自家和合性系統」に変化していることが、実験的に証明されています。つまり、進化というか、栽培化の過程で、雌しべ側にこの変化が生じて、自家和合性に変化できるわけですが、同時にか、そのあとに、自家受粉でも自殖弱勢がでない、つまり、個体が小さくなったりしないと言うことが、起きているものを人間が選抜したことが、現在の自家和合性で、自殖弱勢が生じないトマトができたと言うことになります。現在の農作物で自家和合性のもの、例えば、イネ、マメ類、ナス科の野菜(トマト、ピーマンなど)などは、上述の様なことが起きたのではと考えられています。もちろん、なぜ、自殖弱勢が起きないようになったのか、それは、現時点では不明です。

DSCN4158.JPG 自家不和合性が自家和合性になると言うことについて、講義をしたり、書いてきましたが、その逆はということは、これもあるのだと思います。十分なせつめいはできていませんが、渡辺が行ったシロイヌナズナの実験は、逆位(遺伝子の一部がひっくり返ること)を戻すことではない方法で、SP11遺伝子をなおして、自家不和合性にしました。逆位という遺伝子が壊れることが起きたように、それを直すような逆位も、確率的には起きることなので、自家和合性から自家不和合性に変化する可能性もあると思います。

 誰の言葉か忘れましたが、進化は強いものが残るのではなくて、その環境に適応したものが残るというのがあったと思います。つまり、植物だけでなく、生き物であるものには、その環境に適応する「可塑性」というのがあります。柔らかさのようなことを意味する言葉ですが、生き物の遺伝子だけでなくて、その遺伝子の機能というか、そのようなことに、ある種のいい「加減さ」があると言うことかと思います。その環境に適応できるようにこれはよいという「加減」を発揮できるということですね。その例ではないですが、雑草の多くは他殖性、あるいは、他殖をしているのだと思います。その結果、子孫は多様性を持つものがあるので、次世代では、次世代の環境に適応できる子孫が残るという仕掛けではないかと思います。本来の生き物とは、そのような賢さがあったのだと思います。植物、動物を含めて。。。植物は動けない分、この可塑性は大きいのかも知れないです。

 自己と非自己を区別するというか、そういうことは、被子植物よりも前に、分化している機能です。ゾウリムシはmatingするときに、プラス(+)とマイナス(-)で行ったような。なので、自家不和合性というか、自己と非自己を区別するようなしくみは、生き物にとって多様性を高める仕組みである訳なので、ずいぶんと昔からある仕掛けなのだと思います。

DSCN4216.JPG 接ぎ木をするという理由は、複雑というか、農業をするという上での問題になります。「桃栗三年柿八年」という言葉があるように、果樹には、一定の樹齢にならないと、花が咲いて結実しません。また、咲き始めの頃(幼木という言い方をします)の果実の性質といわゆる、成木という言い方をしますが、幼木の時代の果実と成木になってからの果実で性質が異なるような場合があります。つまり、接ぎ木をしないで、さし木で増やした場合に、幼木の時代が長くなります。それを少しでも短くするために、接ぎ木をするというのも1つの方策です。また、台木の性質を接穂は影響を受けます。つまり、台木の品種を変えることによって、接穂の成長も変化してきます。そのような色々な理由があって、接ぎ木をします。なお、接ぎ木は、果樹だけでなく、ウリ科のスイカ、メロンなどでも、台木にカボチャなどを使うこともあります。

 品種改良には、基本、従来の品種を使います。例えば、イネの品種改良の場合、コシヒカリが多くの品種で、親に使われることが多いです。その理由として、コシヒカリが、良食味、つまり、おいしいという形質を持っていることが評価されていることによります。一方で、背が高いので、今日のような台風が来ると、こけやすいという、よくない形質も持っています。ひとめぼれは、遺伝学的にいえば、3/4がコシヒカリの遺伝子です。コシヒカリと何かの交雑をコシヒカリと交雑しているわけです。つまり、コシヒカリの良食味の形質を取り込み、少しでも背丈を低くなっている品種を選抜した結果だということです。なので、その時代までにこれはよいと思われたものを、その両親にして、次の新しい品種を作ります。もちろん、選ばれる品種は、時代によって、持っている形質が異なります。昔であれば、多収でしたが、今は、良食味、病害抵抗性などが重要視されています。また、雌雄を入れ替える、つまり、花粉と雌しべを逆にしたら、同じものはできません。それから、土曜日の何かのテレビで、ブドウの品種改良の話をしていましたが、交雑では、色々な組合せで、1,000くらいは行って、その種子をまいて、選抜をします。場合によっては、何万という数から、現在の品種が選ばれていることもあります。

 今回の講義で、動かない植物の中で、細胞間コミュニケーションが起きているという、今まであまり想像してなかったことがなされているということの一端を理解してもらったのではと思います。植物を見る眼が少しでも変わることがあれば。。。幸いです。

DSCN4134.JPG
 わたなべしるす

 PS. 渡辺の研究室のHPにも、先週の講義の記事について、反省文とまではいかないですが、書いてあります。すでに読まれている方もいるかもしれないですが、大学の研究室がどの様になっているかなど、あわせて、ご覧頂ければ、幸いです。

 PS.のPS. この記事を書いている途中で、受講生の岩手県立一関第一高等学校・2年八幡佑奈さんから、以下のような質問を頂きました。無理をお願いして、同じような疑問を持っている方がいると思って、HPに記してあります。皆さんの参考になれば、幸いです。

1. スライド10「自家不和合性の定義」右下の写真に「他家受粉(和合)」となっておりますが、「他家受粉=自家不和合性」「自家受粉=自家和合性」ではないのでしょうか。理解不足なので、教えていただけませんか。

 自家不和合性の説明のそのスライドの電子顕微鏡写真の左側に、模式図があるはずで、自分の花粉とは不和合性で、他人の花粉を受け付けている、和合性になっているはずです。不和合性とは、仲がよくない。和合性は仲がよいということです。自家不和合性というのは、あくまでも、自殖、つまり、自分の個体の花の花粉をつけたときに、不和合性、つまり、種子ができないということを意味します。文章と図版を見て、考えて見て下さい。

2. 同スライドの自家不和合性の定義に「...(省略)非自己の花粉で受精が成立する現象」と書かれておりますが、非自己であればどのような花粉でもよいのでしょうか。また、よい場合、本来とは違う新しい植物ができてしまいそうですが、見たことがありません。なぜでしょうか。仕組みを教えていただけませんか。

 この定義は、あくまでも、同種内のという前提が入ります。それを書いてなかったですね。他の種の花粉であれば、基本、種の障壁があるので、それを乗り越えられない場合には、新種は誕生しません。もちろん、近縁種の場合には、種の障壁を乗り越えて、新しい植物種が誕生していることはあります。例えば、キャベツとハクサイの遺伝子を持った植物があり、それは、セイヨウナタネといって、サラダ油を搾るための重要な油料作物です。

DSCN3171.JPG3. スライド15「アブラナ科植物における自家不和合性の自他識別モデル」で自家不和合性なのにもかかわらず、SRKは他家花粉ではなく、自家花粉を受け取っているように認識したのですが、どのような仕組みになっているのでしょうか。

 自家不和合性というのは現象です。その現象がどの様な仕掛けで起きているかを説明しているものです。自分の花粉を排除するためには、自分の花粉を認識して、不和合性にする方法と、自分以外の他の全ての花粉を認識して、それらを和合性にする方法の2つの方法が考えられます。理論的には。単純なのは、自分の花粉から出てくる情報(鍵)を、自分の雌しべ(鍵穴)が受け取るという戦略です。これであれば、鍵と鍵穴は、正確に1:1の対応をするはずですから、自己花粉を正確に認識して、その情報を雌しべ内に伝達して、自己花粉を排除することを雌しべが行えばよいわけです。それに対して、他家受粉の場合には、鍵と鍵穴が一致しないので、自己花粉という情報が流れないので、花粉管は侵入できて、種子形成が起きるということです。

DSCN3176.JPG
●その他植物に関して

1. 課題研究についてです。研究対象がキャベツで、種子から育てているのですがデータがとれる状態になる前に枯れてしまいます。25℃の恒温機内で育て、水は毎朝、肥料は2~3週間に1回のペースで与えております。光合成が不十分なのかと思い、換気をするようにしましたがうまくいきません。何が悪いのでしょうか。

 恒温器の中での明るさを計ってみて下さい。単位はLuxでなくて、マイクロアインシュタインという単位の光量子密度計というのだと思います。恒温器内と部屋の中、外の光の量を計ってみると、光量が少ないことは分かると思います。それをできるだけ、カバーして下さい。それから、キャベツを生育させるときの温度ですね。キャベツは、いつの季節に育ちますかということです。基本は、秋から冬のはずで。平地では。一関も寒いですが、秋の終わりまでに栽培が終わるはずです。その頃の気温を考えて見て下さい。25oCというのが、一関の気温から考えて、高いと思いませんか。植物にとっての適温というのがあることも、考えて見て下さい。高くても20oCくらいですね。後は、昼温と夜温を変化させられる恒温器であれば、夜温は、3-5oCくらい、下げる方がよいと思います。

 栽培する植物の特性を理解して、栽培することです。春夏秋冬のいつの頃に栽培するかを考えながら。

DSCN3288.JPG2. 筑波実験植物園に伺う機会があります。渡辺先生お勧めの植物や、これは絶対に見たほうがいい、というような植物がありましたら教えていただけませんか。植物の有無は自身で確認できますので、植物名のみで差し支えありません。

 筑波実験植物園に20年以上前に言ったことがあります。何があったか、あまり覚えていませんが、。。大事なことは、いった季節で、植物の花であったり、展示しているものは違います。また、渡辺は温室にあるようなもの、例えば、ランとか、バナナとか、好きです。でも、それを見る必要があるかといえば。。。それぞれがそれぞれの感性で見ること。しっかり観察することの方が遙かに大事です。

DSCN3289.JPG







投稿者:事務局 |個別ページ

2017.09.16

Multilateral view

こんにちは。岩手県立一関第一高等学校の八幡佑奈(やはたゆな)です。秋を感じる季節になりました。
では早速、第四回目の科学者の卵を振り返ります。
第四回目では、次の3つのことを行いました。
*第一回目英語サロン
*徳山 豪先生による「理論計算機学への招待〜数学を使った実世界の問題解決〜」
*渡辺 正夫先生による「進化論を唱えたダーヴィンも注目した高等植物の自家不和合性〜花粉と雄しべの細胞間コミュニケーションとその分子機構〜」

*1つめについて
ずっと楽しみにして来た英語サロンがついに始まり、朝から幸せな気分で科学者の卵養成講座に足を運びました。
私のグループでは、Kienさん(ベトナム出身)、Emmanuelさん(カメルーン出身)と交流しました。Kienさんの国の主食はコメなので、比較的、食には困らなかったそうです。
Emmanuelさんの国の主食はトウモロコシなので、食には最初苦労していたそうです。
お二方とも共通していたのは、やはり納豆が食べられないことでした。果たして、納豆好きな外国の方はいらっしゃるのでしょうか...?次の英語サロンでも質問してみたいと思っています。その他にもさまざまな話をしました。お昼時間も交流することができ、すばらしい時間を過ごすことができました。今でも、興奮しています!このような機会を与えてくださった方々に、感謝の気持ちしかありません。ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

*2つめについて
正直にいいます。私は数学が苦手です。そして、あまり好きではありません。なぜなら、学習する意味を見出せなかったからです。だから、始めは今回の講義はあまり楽しみではありませんでした。しかし、その不満は講義が始まった瞬間に解決されました。
" The most painful thing about mathematics is how far away you are from being able to use it after you have learned it. "
私の心に何かがストンと落ちました。講義の本題にあまり関係がなくて申し訳ないのですが、これが今回の講義での私の1番の収穫です。非常にレベルの低い話ですが、この言葉を紹介してくださったおかげで数学を頑張ってみたいと思うことができました。
また、講義での「数当てゲーム」というものでは、質問の仕方がいろいろあるのだなと思いました。そして、私にはまだ多角的な視点が不足しているなと実感させられました。
さらに、「誤り訂正符号」というものに感嘆しました。どこかに間違いがあったとき、その間違いがどこなのかが相手にわかってしまうというものです。賢い方法だなと思いました。音楽CDや情報通信に用いられているそうです。
今回の講義以来、私の数学への姿勢が変わりました。この姿勢を続けるために、今回の講義で学んだことを忘れないようにします。また、詳しいことを知るために、イミテーション・ゲームを見ようと思っています。

*3つめについて
講義で眠くなったことはまだありませんが、絶対に眠くならない楽しい講義でした。生物が大好きな私にとって至福の時でした。
驚いたことはたくさんありましたが、厳選したものを3つ挙げようと思います。
1つめは、花粉がめしべについた時に花粉が膨らむことです。フットと呼ばれるめしべと花粉との架け橋のようなものから、花粉がめしべから水分を吸収するのです(吸水) 。このことによって花粉管を伸長すための水分を得るようです。今まで、受粉といえば、めしべに花粉がつくこととしか思っていなかったので、このような細かいことが行われていることを知ることができて嬉しいです。
2つめは、他殖性植物が自家受精を避けるために、おしべとめしべの成熟時期をずらしたり(雌雄異熟)、自家花粉の発芽阻害や花粉管伸長阻害をしたり(自家不和合性)することです。なんと、自家不和合性の植物は自他を識別できるのです。自家不和合性の植物は集団内において近親交配を妨げ、種内の遺伝子的多様性を維持しようとするのです。植物の賢さに感嘆しました。
3つめは、ヒーローと呼ばれるものについでです。ヒーローとは、他殖性の植物を自殖させた時に、5世代目までは自殖弱勢が現れていたが、6世代目では他殖個体より大きくなり、変化しなくなった株のことです。なぜこのようなことが起きるか誰も証明できていないらしいですが、興味深く感じ、もっと調べようと思いました。
最後に、とても嬉しいことに、論文をいただきました。初めて論文というものを触り、見たので、できる限り読んでみようと思います。

今回も濃密な時間を過ごしました。少しずつですが、刺激のある活動内容のおかげで、回を重ねるごとに自身が能動的になっていることを嬉しく思います。ありがとうございました。次週もよろしくお願いします。

投稿者:岩手県立一関第一高等学校 |個別ページ

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