こんにちは。青森県立青森東高校2年の加藤優喜です。卵ブログ7回目の投稿になります。前回のブログで投稿ペースを揃えると言いながら、今回も先延ばしを重ね、来週は卵の講座か...ブログを書かねば...という定石を踏んで今に至っております。うーん、悲しい。
講義の感想
さて、今回のブログは堀井明先生による「21世紀のがん治療~Precision Medicineと遺伝子治療~」についてです。講義は、がんについての基礎知識と統計のお話から始まり、がんの遺伝子治療について知ることができました。私は統計に興味があるので、データサイエンスが必要不可欠である医療のお話を聞けるということもあり、興味深々で講義を受けました。新しい発見の多い講義だったように感じます。また、講義の後半では、新型コロナウイルスについてのお話も伺うことができ、貴重な時間を過ごすことができました。
ピリオド法(Period analysis)とは?
講義の中で、がんの10年生存率を求めるための手法として、ピリオド法が紹介されていました。調べてわかったことをメモしておきます。
ピリオド法とは、直近5年ほどの期間に限って生存率を計算する手法のことです。期間を限定することによって、最新の医療による生存率を求めることができます。例えば、2008年から2010年にがんと診断された人を追跡調査するという方法で10年生存率を求めた場合、2008年から2010年を治療のスタート地点とした患者の10年生存率が出てしまいます。医療は日々進歩していくため、このような方法では現在の生存率よりも低い値が出てしまいます。そこでピリオド法を用いて、調査の対象となる患者を直近5年ほどの患者(2018年にがんと診断されてまだ10年経過していない患者なども含まれる)に変更すると最新の医療が反映された生存率を求めることができるというわけです。がんの生存率は治療において大切な指標となるため、できるだけ正確な値が必要ですよね。
"がん"と"癌"は違う?
ひらがなの"がん"と漢字の"癌"には、それぞれ別の意味があるんですね。
がん:悪性腫瘍全体
癌:上皮細胞から発生する癌腫
ちなみに、堀井先生によるとカタカナの"ガン"は医学的にNGだそうです。言葉の意味を間違えないために、無難なのは"がん"ということですね。
がんはなぜできるのか?
がんの根本的な発生原因は遺伝情報伝達のミスであります。人間は、塩基をおよそ10の9乗個複製して1個ミスします。通常、コピーミスによって生まれたがん細胞は免疫系によって排除されますが、免疫が低下していたり、コピーミスが蓄積していたりするとがんになってしまうんですね。遺伝情報伝達のミスは人類に進化をもたらすと同時に(渡辺先生の講義とも繋がりそうですね。)、がんという病気にも繋がってしまうというわけです。
抗がん剤の副作用はなぜ起こるのか?
がん細胞の特徴の一つとして、「増殖が活発である」ということが挙げられます。この特徴を利用して、増殖が活発な細胞をやっつけるように作られたのが抗がん剤であります。抗がん剤は、がん細胞かどうかに関わらず、増殖が活発な細胞をとにかくやっつけるため、粘膜や骨髄、毛根などの細胞はダメージを受けてしまいます。これが副作用となって現れるんですね。
この抗がん剤のデメリットをなくして治療の負担を減らすために、現在開発が盛んに行われているのが分子標的治療薬であります。
分子標的治療薬とは?
分子標的治療薬は、がん細胞の遺伝子変異によって生じたタンパクなどを標的にする薬です。非特異的に細胞をやっつける抗がん剤とは異なり、がん細胞だけをやっつけてくれるんですね。これにより、抗がん剤のような副作用は起こらないようになります。(もちろん他の副作用がありますが。)分子標的治療薬は、それぞれのがんや患者に合った"personalized"型の治療を可能にするわけです。
がんとの戦いの壮絶さは、がんを経験したことのない私のような人にとっては、平易に想像できるものではありません。そのため、分子標的薬によって、がん治療に苦しむ人たちが減るのは本当に素晴らしいことだと思います。今自分にできることは、自分の身近な人や、未来の自分のためにも、がんについての知識をもっとつけておくことだと感じています。予防のための取り組みはもちろん、がん検診についても積極的に調べていこうと思いました。次回のブログも読んでいただけると嬉しいです。それではまた。
参考文献:http://www.jacr.info/publicication/Pub/NL/NL24/NL_24-3_4.pdf
投稿者:青森県立青森東高等学校