東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

最終報告 ひまじのカブ栽培日誌番外編~成功と成長~(工:田中大翔)

2024年1月26日 (金)

 こんにちは!ひまじです。ついにこの時が来ました。最終報告です。今回はなんと5000文字以上書いてよいとのことなので、今までの振り返りをしつつ、感想やこの講義を通して学んだことなどをゆっくり書いていこうと思います。

 上の写真は104日目の内鉢の写真です。立派に成長しました。では、最終報告行きましょう!今回は長いので目次からです。

目次

  1. 栽培を振り返っての感想
  2. 他の授業への波及効果
  3. この講義で身についたこと
  4. 文章を書くという点での成長
  5. 自然科学的な観点での成長や反省
  6. コメントで助けられたこと
  7. 中間発表での目標と達成
  8. これからに生かせること

1 栽培を振り返っての感想

 まずは今回の栽培を振り返ってうまくいったことや失敗したことを話したいと思います。一言全体的に言うと私のカブ栽培はうまくいったと言えるでしょう。しかもこの講義初!?らしい室内栽培の成功というオマケ付きです。正直私もこんなにうまく行くとは思ってもいませんでした。私はこの栽培を始めるにあたってどのように栽培をしようかある程度考えていました。昔の経験から、こういうものって放っとく方がうまく行くことが多いのです。余計な手を加えて枯らすことが多かったのは小さいころや弟の経験談です。

 しかし、結果的にはかなり手間をかけることになっていました。二度に渡る株移動や折れた茎を治せないか補強をしてみたこともありました。今となってはやはり手をかけすぎだと思ったのですが、鉢栽培というものは手のかかるものだということもかなり理解させられました。畑のカブは基本放っとくと祖父が言っていましたが、鉢はそうはいかないようですね。

栽培初期

 栽培初期から振り返ってみると、最初はああしようとかこうしようとかいろいろ考えていました。結局内鉢と外鉢に分けてやってみることにしたのですが、これも緊張の作業でした。ですが、まだ初期のこともあって、また、内鉢は失敗すると思っていたので間引きの植え替えは失敗したら内鉢蒔きなおせばいいかと結構楽観的でしたね。10日植え替え.jpg

栽培中期(株移動)

 次に緊張したのは、私の中で一番大変な作業だった、第4回第6回に行われた株の移動です。私は最初には株を中心に固めていました。しかし、これだと一つしか育てられない為、株を周囲の土ごと根を切らないように鉢の外側に移動させるという作業をしました。実際成功したり失敗したりしたのですが、おおむね成功と言える結果になったのはよかったです。実際、このタイミングが一番内株の失敗を覚悟しました。第6回の移動は内鉢のすべての株を移動させるという危険な作業だったからです。この講義でもなかなか行われない難作業だと思いますが、成功も失敗も記録として残すことを考えてできるだけ詳しく、どのようにしたか書いたつもりです。37日目.jpg

スプラウト

 その後カブが安定成長に入ったので、スプラウト作業を始めました。スプラウトは種を蒔く密度、光を当てないこと、そして乾燥に気を付けること、そして温度管理が重要になってきます。普段温度管理は気にする必要はないのですが、うちの室温が低いことを考えると、成長しないので気にしないといけないのです。ここで、栽培初期の気温が比較的高い時期に始めとけば......と少し後悔しましたが、無事、灯油ストーブの登場で乗り切り、結果的にかなりの収穫が得られました。この時の栽培条件は分かる範囲で詳しく書いたつもりです。17日完成.jpg

終盤

 いよいよ寒くなってきた終盤。この辺まで来ると、ここまでコカブを成長させられた先輩たちが少なくなってきますので、参考にできる過去記事を探すのも大変でした。基本的に水やりと追肥以外は変に手を加えないように意識していましたが、室内栽培と屋外栽培で、初めて室内栽培が有利になった時期でもあります。

 屋外栽培のカブは寒さの為、越冬態勢に入り、葉の色は濃く、葉は垂れ、成長が遅くなる替わりに根元に栄養を蓄え、カブが肥大化します。しかし、屋内栽培のカブはまだまだ成長する為、早々に葉のサイズは内鉢が抜かし、十分だとなったのか、内鉢も成長はゆっくりになり、根元を膨らませる過程に入ります。この頃になってようやく、内鉢の成功を確信しました。

 内鉢の方が根の色は白く、凸凹も少ないのは驚きです。そして、葉のサイズの違いからか、根元の成長ペースは内株の方が早いのです。今まで外鉢より劣る日照条件や間引き植え替え、そして第6回ですべての株を移動させるなどの不利を一気に巻き返す。成長速度、まだ、根元は外鉢の方が大きいですが、内鉢が抜かすかもしれません。83日.jpg

 このように全体的に振り返ってきましたが、内鉢の成功に関してもう少し内鉢の栽培記録を取っておけばよかったと少し後悔しています。内鉢はカーテンと窓ガラスの間という室内では比較的外の近い環境でしたが、12月などはずっと直射日光が内鉢に当たることはありませんでした。しかし、内鉢は徒長する気配はありませんでした。直射日光が必ずしも成功に必要というわけではないようです。

2 他の授業への波及効果

 今回のセメスターでは実験講義はありませんでしたが、「機械学習アルゴリズム」の自分の意見を述べるレポートなどで主に培った文章力が生かされる機会がありました。400文字以内という短いレポートですが、言いたいことはしっかりと言えたと思っています。更に、これから先には文章力が必要なレポート課題や、観察眼が必要な実験講義もありますので、そこで生かされてくると思います。

3 この講義で身についたこと

 始める前まで、私は一人暮らしで植物を育てられるとは思ってもいませんでした。しかし、この講義を見た時に私はこの講義という形式ならばしっかりと植物を観察する為、植物を育てられると思いました。実際、この講義をやってみて、植物の状態を見る目が必要とされるのを最も感じました。この植物の状態を見る目があるというのは、土の乾燥度であったり、植物の葉の色やたれ方、茎の太さなどを普段から細かく見ておき、変化にすぐ気づくことができるということです。実際、私は植物の状態や土の渇き具合を見ながら水不足を感じ、水をあげていました。

 他には、事前に決めたことをやり抜く力がさらに身についたと感じました。植物栽培をする上では、栽培初期やスプラウトでは毎日、中盤以降では数日おきに写真を撮る必要があり、また、追肥も定期的に行う必要があります。この時、私はあらかじめ、いつ追肥するのかや、写真を撮るのかを事前に決めていました。実際、ほぼ予定通りに動けたので良かったですが、このように事前に自分で決めた通りに動くということをしっかりとできたのは今回が初めてだった気がします。まあ、覚えてないだけかもしれませんが。ともかく、これはこの栽培でできたことであり、身についたことです。ちなみに写真を撮った日や水揚げ以外で何か作業をした日はこのようにメモしています。スクリーンショット 2024-01-25 234239.png

4 文章を書くという点での成長

 以前から理系にしては趣味で小説を書いたりと文章を書くことは多いと個人的には思っていますが、このようにブログというものを書く経験はなかったので、新鮮な気分でした。その中でいくつか目標にしていたことがあります。

 まずは、毎週投稿するという点です。ブログというものは、前提として定期的に投稿することが重要となります。定期的に投稿することで、読む人はストレスなく、ブログ記事を読めるのです。ネット小説や漫画も、毎日や毎週投稿する作品は面白いのは前提ですが、習慣化して、結果的に長期間読むことができますが、不定期で、期間が空くものは、例え内容が面白くても、次がいつ来るかわからない為、すぐ飽きて見なくなってしまします。これは達成できたといっても過言ではないでしょう。毎週木曜日に必ず投稿することができました。

 次に、一般の関係ない人から見ても面白いブログになるようにすることです。投稿者は毎週人の興味を引くような文を定期的にクオリティを下げずに書く必要があります。今回、私はブログを書くにあたって、主な読む対象を先生方や、他の受講生としながらも、他の人が見ても続きが気になるような面白いブログを目指していました。やはり、面白い文は読んでいても飽きないし、書く側も気持ちのいいものです。果たして、それができたのかは自分では、分かりませんが、この講義を通して、読みやすさや分の面白さという点で成長できたのではないかと思います。そもそも私は文章を書くということは好きな人で、毎回のブログ記事も楽しく書かせてもらっていましたが、より好きになれたような気もします。

5 自然科学的な観点での成長や反省

 今回、私は観察において、初期やスプラウトは高さ、それ以降は葉の長さやカブの実の直径などの「長さ」のみ計測し、面積や体積などを計測することはありませんでした。これは、読者がより直感的に成長を感じるのは面積でも体積でもなく、長さだからです。確かに、葉の総面積を計算することが、植物の生長としては、最も正確な数字なのですが、面積を想像することは慣れていないと意外と難しいことです。特に、葉の総面積が60㎠と言われてもピンときません。しかし、一番大きい葉が長さ13cmと言われたら、どうでしょう。写真で葉の形はわかるので、葉のサイズのイメージは面積よりもしやすいのです。私は関係ない人から見ても読みやすいブログを目指したので、今回面積の計算はしないことにしました。

 でも、例えば、葉の総面積を初期からグラフ化して毎週プロットしていくなどだったら読者でもわかりやすいものとなりますが、これをするとかかる手間が増えすぎて毎週はできなかったでしょう。

 ですが、今回の主な読者を考えると、何回か、面積という正確な数値を自然科学的な観点では求めても良かったかもしれません。私の記録したデータでは、イメージはできても、自然科学的に正確なデータとしては全く不足しています。このことを考えて、正確なデータを時々とってみるのも必要だったかもしれません。

 その代わり、私は長さのデータをできるだけ多くとるように心がけました。スプラウトは成長が止まるまで毎日長さを記録していましたし、後半は定期的に株の直径を測っていました。そこで、できるだけ長さのデータが客観的に正しいと分かるようにカメラの画角や背景を調整して写真を撮るようにしていました。そのために試行錯誤し、そのような撮り方を身に着けたのは成長と言えるでしょう。96日目外.jpg

6 コメントで助けられたこと

 まず、栽培初期は本当によく助けられました。鉢植えの受け皿を用意し忘れていることに気づかせてくれたり、コカブは一つの鉢にいくつか作れると教えてくれたりと様々なアドバイスのおかげで栽培初期から今後の方針や見通しを立てることができました。

 早い段階でカブ移動をできたのもコメントで教えてくれたからです。実際このような状況ままでは間引いて一つの勝負にせざるを得なかったでしょう。9日目.jpg

 他にも、日光の大切さがコメントからよく伝わってきました。実際のところ栽培で一番重要なのは日光と水(2つなのはご愛嬌)だと思います。

 結局のところ、栽培のコメントで一番助けられたのは毎週記事を投稿すればすぐに、しっかりと見てくれて適切なアドバイスをくれるという安心感です。植物の状態を見る目は自分よりはコメントをくれるオガタさんの方があるので、とても安心して栽培ができました。

7 中間発表での目標と達成

 中間発表では、主に二つのことを今後の目標にしていました。1つ目はスプラウトを始めること、そしてより良い文を書けるように精進しながら毎週投稿を続けることです。スプラウトは御覧の通り第8回で始めて第11回で無事にきれいに栽培することができました。この時に事前に栽培していた柚原さんの記録は主に温度管理の面で大変参考になりました。

 毎週投稿することに関しては柳澤君が毎週投稿していた為、私も負けじと毎週投稿するモチベーションになっていました。もし、私以外誰も毎週投稿していなかったら私も途中で途切れることがあったかもしれません。文章の内容に関しては初回と現状最新の第15回の投稿とで比べてどうでしょうか。私から見たら多少流暢になっている気がしますが、やはり自分から見ても成長は分かりづらいものです。少しは成長しているものだと思いたいですね。

8 これからに生かせること

 これがこの記事執筆時(109日目)の外鉢の写真ですが、なんか急に大きくなったように感じるのです。前回(104日)と比べてみましょう。上が104日、下が109日です。104日目外.jpg109日外.jpg

 2日前に第7回の追肥をしていますが、その影響でしょうか?写真では分かりにくかったかもしれません。とりあえず早急に1つずつ残して収穫調理に移りたいと思います。メニューは考え中です。内鉢と外鉢の比較がしたいですね。残したものは2月末に私が帰省する直前まで栽培します。

 また、この講義を通して得た経験を生かして、また何か植物でも育ててみたいと思っています。他にも、観察力を実験形式の講義に、文章力をレポート作成になど生かせることはたくさんあると思っています。

追記

この間ダーツに行ったらbull-bull-triple20でなんと160点のHIGH TONが出ました‼びっくりです。S__38805542.jpg

(総文字数5363文字)

コメント

工学部 田中さん

 最終報告拝見しました。最終報告でこちらが求めている「この講義を通じて何を学び、どのように成長したのかをしっかり振り返ってほしい」という点を理解して、まとめられています。また、それらを表現するために時系列での振り返りをしている点も、これからの受講生の参考になると思います。年度により環境条件が違ってきますが、それでも、どれくらい経つと何をしたのか、これまでの記録を公開してくれたのでしょうか。この講義の受講生にも参考になるでしょうし、田中さん自身、他の講義にもこうした点は活かされるのではないでしょうか。

 この講義をやるために、どこかの畑を使うことができれば栽培の苦労はないのかもしれないです。一方で、毎日の観察をすると言うことが難しくなります。また、これから先の生活の潤いではないですが、ベランダなどを活用した植物の栽培には、植木ばち、プランターなどは使いやすいです。そう考えると、畑のよさはありますが、講義という限られた枠の中を考えると、ここで学んだことは、毎日の生活の潤いとして還元されると思います。春以降もそんな思いがあれば、作物の栽培を続けてみてください。

 途中で投げ出さないというか、決まった日に決まったように観察結果を記事にするという「完遂力」。それを支えたメモだったと思います。毎日の生活の中で、この講義以外に優先してやることも出てくると思いますが、それらとの調整をしながら、最後までやり遂げたことは他の講義での学びに活かされると思います。本人が意識しているか、そうでないかの違いだけだと思います。これを継続できたことで、初回の投稿から見ると、この最終報告での文章は読みやすさ、安定感があります。この文章力は元々、文章を書くのが好きだったのはあるかも知れないですが、これからも継続してレポートなどを書くことで高い文章力を維持してください。

 これから先、実験をする機会は増えてくると思います。dataを取って毎回グラフ化できればよいですが、そんなのは手間になる。であれば、数回おきにグラフ化をしてみることは大事です。また、面積を意識できないとありましたが、100cm2と書けば、10x10cmの四角形くらいか。というイメージは持ってくれるはずです。工学部ということで計測の単位も生き物とは違ってくると思いますが、多様な角度から計測値を取り、それをグラフ化し、相互関係を理解することが求められるようになると思います。今回はそこまでは難しかったかもしれないですが、実験をやるようになったら、この講義のことを思い出してください。

 毎週の投稿のコメントは、ラボスタッフのオガタ君が担当してくれていました。もちろん、コメントについてはオガタ君と議論をしていました。そうした中で、工学部の2人は競っているのかな??ということが話題になっていました。一緒の学びをしている学生さんがよい形で切磋琢磨しているのだというのを今回の最終報告でこちらも学びました。研究をしていても一緒にやっている仲間がいるので頑張ることができるという場面はあります。そのことに気がついているのも評価できます。講義は勿論、これで終わりになりますが、柳澤君が書いていたように、来週まで講義枠はあります。また、この形式ですから、講義枠の縛りもありません。食レポ、次の作物栽培など、記事を書いてみてください。こちらからもコメントは続けますので。


 わたなべしるす