東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業))

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平成28年度 活動ブログ

平成28年度 活動ブログ養成講座の活動を記録しています

2017.03.31

海外研修を終えて その6 リバーサイド最終日

こんばんは。県立前橋高校二年の山田桂一です。

この日でリバーサイドでの研修は最終日でした。しかし、前日にホストファミリーと海に行って冷えたせいか(海には入っていませんが、夜の潮風がとても冷たかったのです)、この日辺りから体調が下り坂に......。向こうは、昼間は気温が上がるのですが朝晩はとても冷えていました。昼間も湿度が低いので木陰に入れば気温の高さはあまり気にかからないほどでした。

【活動内容】

UCRにて研修

半導体、昆虫学、マイクロピペットの練習

・研究発展コース成果発表

・送別会

【成果と感想】

この日はまず、朝の集合時間の前に早めにUCRに行き、ホストファザーが研究室を見せてくださいました。多種多様な哺乳類の骨やクラゲ・イソギンチャクなどの水生生物、タランチュラやサソリなど、興味深いものをたくさん見せていただきました。ゾウやキリンといった大型の動物の骨はずっしりと重かったです。ホストファザーがUCRの人であったことをこのときに知ったので驚きました。

海外研修19.JPG一番のお気に入りがこちら。

角がかっこいいです。何の動物だったかは忘れました。

この日の研修の初めは、半導体についての研修でした。私は機械や電気といった無機質な分野に滅法疎いため、メンターの方の通訳がなければ何をやっているのか最後までさっぱりわからなかったと思います。半導体について私が抱いていたイメージというと、電機製品に欠かせない小さいがすごそうなもの、程度のものでした。初めに全体で半導体についての説明を受けました。どうやら、マイクロチップを一層構造にするための方法について話していたのだとか。いくつか単語単位では聞きとることができたのですが、説明の中でこれを理解することはできませんでした。後に尚先生からのレポートのコメントの中で、化学蒸着法なるもので半導体の薄膜を作っていたということを知りました。日本語で聞いていても首をかしげてしまうような説明を英語で聞いても理解できるはずがありませんでした。事前にもっている知識次第では多少の理解はできたのかもしれません。暇を見つけて調べてみようと思っています。全体での説明の後は三班に分かれて研究室の見学に行きました。研究室の見学をしている間も何を説明されているのかほとんど理解できませんでした。唯一理解できたことというと、クリーンルームという専門で研究している人でさえめったに入ることができないという非常に精密な部屋を外側から見学した際に正夫先生が質問していたことへの回答で、オレンジ色の光を使っている理由は、オレンジ色の光は樹脂を感光させなく、さらに(なぜかは忘れてしまいましたが)安全であるため、ということくらいでした。

この半導体についての研修のあいだ、先生方やメンターの方々から積極的に質問をするように言われる場面が多かったのですが、私は説明をすべて理解できていたわけではなく、なんとなくの理解をするだけで精一杯だったので疑問を抱く余裕さえありませんでした。何か他愛のないことでも質問をすれば、より多くの英語に触れることに繋がるうえに、質問をするには多少なり科学的な思考を回す必要があるため、自分の力になることだったのですが、こちらでは英語力が足りなければ学べることの総量が減ってしまいます。ここまでの六日間で幾らか聞きとれる単語数は増えましたが、それでも英語力不足でもどかしさを味わう場面が非常に多くありました。

海外研修23.JPGのサムネイル画像半導体の研究室で記念撮影。

次は昆虫学についての研修でした。日本では昆虫学は農学部に含まれていますが、こちらでは、農学でも理学でもなく完全に独立しているそうです。正夫先生曰く、日本の応用昆虫学は害虫学からスタートしたため農学部に分類されているそうです。昆虫学の研修では、山中さんという日本人の方が日本語で説明をしてくださったため、何不自由なく理解することができました。十分に理解できる言語はやはり良いものであることを改めて認識しました。基礎昆虫学と応用昆虫学でそれぞれ研究していることについて説明していただきました。山中さんのお話の中で、「昆虫学を研究することが直接人間の役に立つわけではないが、例えばアリやハチのように社会を構築する昆虫を調べることで人間にも何か応用できるかもしれない」といったような話がありました。私はこれを聞いて、ノーベル賞を受賞した大隅さんの「サイエンスは、どこに向かっているのかわからないところが楽しいのです。『これをやったらよい成果につながります』と言うのは、サイエンスにとってはとても難しいことです。」という言葉を思い出しました。科学とは、必ずしも社会に何か恩恵をもたらすという確信をもって追及するものではなく、ただ知的好奇心を追い求めているうちに役に立つ発見につながった、というのも一つの形であるのだと思います。もちろん、再生医療のように初めから人を救うために行う研究もありますが。昆虫とのふれあいの時間には、ムカデのような虫やマダガスカルゴキブリにも触ることができました。ゴキブリというと、家庭で発見されるものは動きが俊敏であることに加えて何を食べているかわからず不潔であるため、手に取って観察することなどしません。しかし、ここで触れたマダガスカルゴキブリは別段素早く動くわけでもなく、研究室で飼われているため衛生面でも安心でき、まじまじと観察できました。肉付きがしっかりしているため調理すればおいしく食べられそうな気がしました。食用に育てられた昆虫か、食べている物がわかり切っていて衛生面で安心できるものならば、という条件付きですが、昆虫食を説く人がいるのも理解できた気がしました。ムカデのような虫は、歩くときに足がよどみなく滑らかに動いていて、災害時のように足場が不安定な状況で使うロボットを作るときに生体模倣で役に立つのではと感じました。

昼食を食べた後はUCRでの最後の研修で、マイクロピペットを使う練習として色素の希釈をしました。私は研究発展コースでマイクロピペット使う機会あり使い方を知っていたため、答えを知っている状態でマイクロピペットの使い方を英語で説明していただいたことになります。そのため安心して説明を聞くことができました。

この日、UCRのキャンパスは外に人が少なく閑散としていましたが、ちょうどテスト期間であるからだそうです。日本だとテストはとっくに終わり春季休業に入っていることと思いますがアメリカでは少し日本とずれているのでしょうか。

海外研修21.JPG「桂」印の希釈した液体。

UCRでの研修を終えた後はRSAに移動して発展コース生の口頭発表がありました。担当したのは3/11の発表会にて英語で発表していたチームの人たちだったので私は発表担当ではなく安心していました。しかし、他の卵生が立派に発表しているさまを間近で見て刺激を受けました。国際化していく社会の中で生きていく身として、将来英語を使って人前で発表する機会もあることでしょう。そのため、自分のやっていることの説明と発表の場で受けた質問に答えることをできるくらいの英語力をつけなければと思いました。

送別会は、ダンスをしたり寄せ書きをしたり食べたり飲んだりと、とてもエキサイティングで楽しいパーティーでした。私は、基本的にこの研修中に話した覚えのある人にメッセージを書いてもらったのですが、それだけでも表面はほとんど埋まるくらいでした。短い滞在期間でしたが想像以上に多くの人と交流できていたことに驚きました。この送別会でできた素敵なTシャツは良い思い出です。今でも自室に飾ってあります。送別会の途中では、私たちから恋ダンスを披露しました。前泊のときに苦戦して恋ダンスを練習していた背景にはこのような理由があったのです。私は恋ダンスの説明役に大抜擢していただいたのですが、英語力に自信がないにもかかわらずノープランで挑み、まったく締まらないスピーチになってしまいました。ノリで乗り切るのには無理があったようです。

海外研修24.JPG恋ダンスを披露。

練習の成果はいかに。

この晩でホストファミリーと過ごす時間も終わりでした。そのためどの家庭でも最後の時間を楽しんだようです。

投稿者:群馬県立前橋高等学校

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