宮城県仙台第二高等学校の石橋賢です。
5月の講義で最も興味をひかれたのは「遺伝子機能の解明=暗号の解読」ということです。私は、今、高校の生物で、DNA二重らせんには、遺伝情報が暗号のように保存されていて、4種類の塩基の対が暗号として使われていることを学んでいます。生物の機能や活動を司るタンパク質の生産が遺伝子によってコントロールされているのは、なんとなく知っていましたが、この講義で「1つの遺伝子は数万~十数万個の塩基対からなっていること、これによって、どこで・いつ・どんなタンパク質を・どのくらい作るのかという情報伝達が行われていること」を知り、遺伝子の暗号に秘められいることにますます興味をもち、その解読の重要性も感じました。「遺伝子機能の解明は遺伝子治療につながる」という伊藤先生の言葉が心に残りました。
遺伝子診断をするには、まずは患者さんからサンプルを採取する必要がありますが、もっとも患者さんに負担をかけずに採取するにはどうすればよいかを考えてみました。粘膜からの採取が簡単だと思い、鼻腔・口腔・咽頭・耳腔・肛門...と思い浮かびました。その中で、楽に粘膜細胞が取れそうなのは口腔です。そこで、私は、講義で行ったブロッコリーからのDNA抽出実験をヒトの口腔粘膜に適用してみようと思いました。まずは、植物と動物では細胞構造が異なるので抽出方法も異なるかもと思い調べていると、まさしくヒトの口腔粘膜から抽出する方法を記した岐阜大学教育学部の伊佐治錦司先生・松本省吾先生の報告を見つけました(http://www.ed.gifu-u.ac.jp/~kyoiku/info/jissen/pdf/0706.pdf)。それを参照に、次のような実験をしました。
[方法]
①2.5%の食塩水5mlを口に含み、5分間、歯で頬の内側をこするようにしごきながら口中をすすぐ。それをカップに吐き出す。
②①のカップに洗剤2滴と酵素液2滴を加えて、軽く揺らして混ぜる。保温容器に入れた 40 ~ 45 ℃の湯にカップを10 分間浸す。
※酵素液:タンパク質分解酵素が入ったコンタクト洗浄液を使用。
③カップを保温箱から取り出し、氷水を入れたトレイに浸す。
④冷蔵庫で冷やした80%のエタノール10mlを静かにカップに入れ、カップを静かに前後左右にゆらす。
※おそらく、ブロッコリーの花部を潰したものからより、口をすすいで取った口腔粘膜からの方がDNA抽出量が少ないように思われたので、より析出しやすいようにエタノールを冷やしてみました。
[結果]
サンプルS(私)はあまり析出しなかった。サンプルМ(母)は目で見てよくわかるほど析出していた。
[考察]
実験をして不思議に思ったことは、なぜSとМでとれた量が異なるかです。
食塩濃度やエタノール濃度を高めてみたり、溶液の温度をもっと下げてみたりしましたが、Sからの析出量はさほど増えませんでした。
母(М)は「かなりがんばって歯で口の中をゴシゴシしながらグチュグチュした」と申告しているので、そこのがんばりの違いでしょうか。あるいは、エタノール添加後の混ぜ方に違いがあったのかもしれません。もしかしたら、唾液の成分構成がSとМで異なり、Sには抽出を阻害するようなものが存在していたのかも?!と思いました。
講義のときから少しひっかかっていたことがあります。この抽出方法で出てきた白い糸状のモヤモヤがどうしてDNAだと同定できるのかということです。先人がこれを分析したことがあるから、これがDNAだと言えるのでしょうが、今回の実験でもまちがいなくこれがDNAだと言えるのか、それを確かめることは家では無理そうなのでここまでとしました。
[近況]
高総体真っ只中!です。大会前は毎週ほぼ休日なしで部活でしたが、会場が自宅から近いこともあって大会期間中の方が時間に余裕ができ、講義のあと頭に湧いていたことを実行に移せてスッキリです。高総体終わったら定期考査にむけてダッシュ!です。
投稿者:宮城県仙台第二高等学校