東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業))

東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業)

平成29年度 活動ブログ

平成29年度 活動ブログ養成講座の活動を記録しています

2017.07.22

第3回科学者の卵養成講座を終えて

皆さん、今日はお疲れさまでした!
仙台青陵中等教育学校4年 山本望海です。
秋田から来た皆さんは大丈夫でしたでしょうか。安全に気をつけて無事帰って下さい。


さて、午前はサイエンスカフェで長神 風二先生による科学・社会・生命倫理について学びました。
サイエンスカフェとはそもそも一体何なのか?科学者が絶対に大事にしなくてはいけないものは何なのか?
科学に興味をもっていたり、科学者を目指している私たちにとって、これらを「知らないこと」はこれからの将来において「科学に携わっていく資格がない」と言っても過言ではないほど大切なものです。
しかし、私は今回このサイエンスカフェに参加するまで、ここまで深く科学と生命倫理について考えたことはありませんでした。

最初の「2017年から5〜10年後に初めて実用化されそうな技術を想像してみてください」という質問を与えられたとき、私は「あると便利になるだろうというもの」を作り出す技術を考えました。グループで一緒になった方たちも画期的でかつ役に立ちそうな技術を意見として提供してくれました。

しかし、その次に「先ほど出た技術をできる限り悪用する方法を考えてください」という質問が来て、改めて自分が出した技術について考えてみると悪用する方法が思いつきました。グループのメンバーにも私が思いつかなかった自分の技術についての悪用方法を指摘され、「こんなつもりで考え出したはずじゃなかったのに...」と自己嫌悪に陥りました。その後の長神先生のお話で、どんな技術にも善と悪の使い道が存在することを強く感じました。

核兵器の使い道について聞いていたときに、ライト兄弟の2人が作った「ライトフライヤー1号」は当初「ヒトが空を飛べるようになりたい」という純粋な興味と意志から生まれたはずでしたが、結果として第一次世界大戦で「戦争で勝つため」に使われるようになってしまったことを以前本で読んだのを思い出し、自分の生み出した技術がヒトを傷つけ、悪の使い道を社会に選択されてしまったライト兄弟やアインシュタインはどんな心境だったのだろう...と少し居た堪れない気持ちになりました。

-準備のない社会に「何にでも使える」ものを投げ込むことこそ無責任-(長神先生より)
これは彼らをはじめ、研究者・技術者には重い言葉だなと思いました。私が研究者になったときには、常にあらゆる可能性を考えて研究に取り組む姿勢を忘れないようにしたいと思います。
また、あらゆる可能性を考えるためには普通の感覚を失わないようにする必要があり、普段一緒にいる学校の仲間との交流の大切さも教わり、「科学に興味を持っている仲間がほしい!」とばかり思っていた私にとって忘れかけていた大切なことに気づかせていただきました。

また、研究の世界ではあたりまえの事なのかもしれませんが、特許を巡ってライト兄弟はライバル社のカーチスを訴えて裁判を行い、兄のウィルバーは腸チフスと心労が原因で亡くなったそうです。特許は研究者の誇りでもあり、もし同じ状況に置かれたら私でも特許を大事にしたいと思いますが、それが科学者の精神的な健康を奪い、本来なら協力し合ってさらに高度な飛行機が作れたであろう同じ研究者同士が歪み合っているのは間違っているように思いました。そういった意味で、最近進んでいる会社や地域、国を越えた共同研究・開発の動きは素晴らしいなと思います。
何のためにそれを研究・開発しているのかを忘れないようにすれば自然と協力し合う姿勢になれると考えたので、研究や開発に留まらず、普段の生活から協力する姿勢を心がけたいと思います。


そして午後は宇宙をテーマにした講義が2つありました。1つめは浅井圭介教授による「進化する航空機〜ライト兄弟から火星飛行機まで〜」という講義でした。

レオナルド・ダ・ヴィンチの鳥の模倣スケッチから始まり、航空工学が発展していく過程とその中でめざましいシステム工学的アプローチを行なったライト兄弟について、そして最後には現在開発中の火星探査航空機のお話を聞くことができ、まるで航空機の歴史をタイムマシンに乗って体感しているように感じました。

私は浅井教授の講義で航法誘導制御システムについて聞いているとき、最近盛り上がっている「AI(人工知能)」がいろいろな乗り物に搭載されていることについて考えていました。確かにAIは非常に優れていると思いますが、あくまで想定範囲内の状況下に対応できるのであり、全く想定していなかった状況に置かれたときの安全性はどうなのだろうと不安な部分も大きいと私は思います。しかし、パイロットは肉体的な限界が存在するのに対してAIはそれがないのでそういった意味ではとても安全性に長けていると言えます。そこで、私はパイロットとAIのどちらにも偏らない(頼らない)運転方法をこれから行なっていくべきだと思いました。


また、東北大が鳥人間コンテストで好成績を残していることや、実際に活動している様子を見てとても"Windnauts"に興味を持ちました。実は以前に「トリガール(著 中村航)」を読んだことがあるので、そのストーリーも思い出し、非常に興奮しました。ごく普通の女の子が鳥人間コンテストのパイロットになることになり、人生初のプロテインに挑戦するところから始まるとても面白い本なのでぜひ読んでみてください。


2つめは中村教博先生による「磁石、隕石と原始惑星系円盤」という講義でした。今までほとんど地学に触れたことがありませんでしたが、私のような素人にもわかるような噛み砕いた面白い説明のおかげで、目の前に宇宙があるような感覚に陥っていき、どうやって原始惑星系円盤が形成されていったのかがかなり理解することができました。

また今まで太陽系のスケール感が全く把握できていなかったことに気づかされ、23cmの太陽に対して2㎜しかない地球に住んでいる私たちはとてもちっぽけな存在なんだな...と思いました。裏を返せばそれだけ宇宙は広く、地球の中だけでも数多くの課題や未だ明らかになっていないことが存在するのだから、宇宙には無限に未だ明らかになっていない神秘(秘密)が眠っているのだろうと感じました。

今回の講義では「微惑星から固体惑星になる過程がどうしてもわからない」といったり、ジェット形成の過程でダストやガスの超高速加速の謎など、今までの講義の中で最も「まだわからない」という言葉が聞こえてきましたが、わからないことがたくさんあることが私の興味を掻き立ててくれ、とても天体や地学を魅力的に感じることができました。

今回の講義の2つは私の今まで興味の対象ではなかった分野でしたが、想像をはるかに超えてとても面白い世界で、興味深い研究がなされていることがわかり、自分の世界がグンと広がったように思います。
いろいろな分野に手を伸ばしてみよう!と思いました。

次回は9月と少し間があいてしまいますが、皆さんに会えるのを心待ちにして、夏休みを充実したものにしようと思います。皆さんも夏休みを満喫してください。

投稿者:仙台市立仙台青陵中等教育学校

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