ごきげんよう。桜の聖母学院高等学校2年の山内璃乃です。
8月19日(土)仙台勝山館において開催されたシンポジウムに参加してきました。
梶田隆章先生(東京大学宇宙線研究所長・2015年ノーベル物理学賞受賞)、中家剛先生(京都大学理学研究科教授)、井上邦雄先生(東北大学ニュートリノ科学研究センター長)からのお話と、代表の12名の高校生と先生方とのトークセッションが行われました。
ニュートリノについては、新聞やニュースなどで何度も名前を聞いていましたが、さっぱり理解していなかったので、参加するにあたり、何もわからなかったらどうしようと不安な気持ちでいっぱいで参加しました。
まず、ニュートリノというものがとても小さな素粒子である事は知識としてもっていましたが、実際にどのような物なのかイメージ出来ませんでしたが、イラストや表を使った詳しい説明でどれほど小さなものなのか、どいういう作りで、どういう特徴があるのかを知る事が出来ました。
また、カミオカンデがそもそもニュートリノを観測する為に作られたわけではなくて、陽子が約10^30年の寿命で崩壊すると予言されたのを確かめる為に作られたそうです。けれども、途中で太陽ニュートリノ問題(理論予想の約三分の一程度しか観測されなかった)に注目するようになりました。
そこでたてた仮定が、ニュートリノが質量を持っていて、ニュートリノ→タウニュートリノ→ミューニュートリノ・・・と変化しているとしたら、理論予想より少ない事が説明出来るというものでした。
そこで、カミオカンデは、スーパーカミオカンデに改良されました。
観測出来る確率が非常に低いもののため、カミオカンデの性能をあげるべく、何十年もその制作、改良、掃除(!)についやしていたことが予想もしていなかった事実でした。大変な努力です。沢山の国の人が、沢山の時間を費やして、沢山の手間ひまをかけて観測の可能性に架けていた事がとにかくすごいとしか言いようがありません。
ところで、カミオカンデは宇宙から飛んでくるものを観測するにも関わらず、どうして地上に空へと向けたものを作るのではなくて、地下に作られていたのか、しかも大変深いところに炭鉱トロッコで通うような場所に作られたのか、今までずっと不思議に思っていましたが、ニュートリノの特徴でもある「ほぼなんでも通過してしまう」ことと、「ごくまれに物質にぶつかる」を利用して、地中深いところに作る事によって自然にノイズを、まるで濾過するのと同様のことを期待して作られたのだと知りました。
それから、わが東北にすばらしい施設「東北大学」に「KamLand」という施設があることを今回参加するまで知りませんでした。
今回は、知らなかった事、新しく知った事、 驚いた事、興味深かった事があまりにたくさんありすぎて書ききれないのですが、3人の先生方のお話を伺い、もともとこれをこういう目的で使おうという例えば商業目的のような明確な目的があった訳でもない中で、これが証明されたら「なにかの役にたつかもしれない」または、先生方の代ではわからないかもしれないけれど、そうしたら次やその次の(もしかしたら)私たちの代やその後の代でわかるのかもしれない、というような長い、長い、時間をかける覚悟で、ただ研究への情熱とか、知らないものを知りたいという好奇心によって研究活動を継続されているのだというお話に感動するとともに、科学者という職業のあり方を改めて考えさせられました。
科学者や、科学の夢というのは、このように、自分個人だけのものではなく、私たち人類がみんなで享受する夢そのものなのかもしれないというワクワクした気持ちを感じさせてくださいました。
投稿者:桜の聖母学院高等学校