東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

最終発表 講義を振り返って(文:木町桃香)

2019年1月24日 (木)

 こんにちは。10月から始まったこの講義もいよいよ終わりを迎えました。早速最終報告を始めたいと思います。


(1)植物の栽培を行って、最初に想像していたよりも大変だった、逆に意外と上手くいったなどの栽培面で感じたこと

 栽培をやってみて大変だったこと、上手くいったことはそれぞれ2つあります。

 まず大変だったことの1つ目は、栽培を始めて早々ハクサイが徒長してしまい、一からやり直すことになってしまったことです。この結果当初の予定より1ヶ月近くスタートが遅くなり、現在葉の枚数などの点で他の受講生の方大きく差がついてしまっています。スタートの遅れだけが原因だとは思っていませんが、気温や日照時間などの関係で早めに始めた方が良かったのは明らかで、大きな原因の1つであると思います。またこの徒長は、追肥用にも関わらず鉢に移し替える時点で土に全ての肥料を混ぜ込んでしまったことによるものです。あやふやなことを先生方に確認せず自分の判断だけで行動してしまったり、過去の先輩の記事をしっかり読んでいなかったりとこの講義の利点を生かせていなかったと思います。また、間違った対応をすれば植物はそれに応じた反応をすること、そして取り返しがつかなくなってしまう可能性があることを学びました。

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 2つ目は気温、水、肥料、日光、湿度など様々な環境を総合的に考慮して栽培しなければいけないことです。小学生の頃の植物の栽培などでは順調に育ち失敗したことはなかったためその感覚で考えていましたが、今回は本来の播種時期より大幅に遅かったり低温の時期を越さなければいけなかったりと工夫が必要でした。私の場合は帰省中、穴を空けたビニール袋をかぶせて寒さや冷風からハクサイを守ろうという計画でしたが、結果的には逆効果で植物にダメージを与えることになってしまいました。私が見た限りでは過去の先輩でこの方法をとった方はおらず、新しいことを考えたという点では悪くなかったかなと思いますが、順調に生育する環境を整えるのは難しく試行錯誤が必要だと思いました。

 次に上手くいったことの1つ目は、鉢や容器の大きさを変えての対照実験です。私は緑豆もやしとハクサイを育てていましたが、せっかくなら普通に栽培するだけでなく何か挑戦してみようと思いそれぞれ大小2つの容器で育ててみました。もやしは予想通り大きな容器の方が差をつけて大きく成長するという結果になりました。ハクサイについては、最終的には大きな鉢の方が全体的な大きさも葉の枚数も小さい鉢を上回りましたが、成長過程ではむしろ小さな鉢の方が葉が大きいという意外な結果を得ることができました。オガタさんのコメントにもあったように、今回の鉢が十分な大きさだったのか、鉢が大きければ大きいほど植物も大きく育つのか、鉢の大きさではなく土の量によるのかなど新たな課題が見つかった実験になったと思います。

※ハクサイの対照実験の結果について報告していなかったので写真で示したいと思います。鉢の違いで大きな差が出たことがわかります!


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                          12月1日 

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                        1月20日 

 2つ目は、徒長したり葉が枯れてしまったりと上手くいかないことも多く全滅してしまうのではないかとも思いましたが、何とか食べられる状況にできたことです。ハプニングはありながらも、水やりや追肥を継続的に行うことで収穫までこぎつけられたのだと思います。

(2)植物の観察眼を養うことを目的としていたが、それ以外の科目などへの波及効果について

 私は、植物の観察眼と「新聞から見た現代社会」の講義の中で行ったワークに関連性があるのではないかと思いました。

 具体的には、植物の観察をするときには葉の裏表、土、根などを詳細に見て何らかの変化に気づくことが必要です。その上でその変化はどうして起こったのかを自分なりに考え、アドバイスもいただきながら対応してきたと思います。

 このことと共通するところがあると思ったのが、上記の講義で行った「投書をしてみよう」というワークです。私は投書に求められているのは、日常の何気ない出来事から何かを取り出し、そこから発展させて出来事の背景などを自分なりに考えること、発見することだと考えました。このことを踏まえワークでは、バイト先の飲食店で高齢の女性が一人で来店され、店員の私に度々話しかけてきたという出来事から、女性は話し相手を必要としているのではないかと考え、高齢者を周囲が支援する体制が必要であるという形でまとめました。この投書を実際投稿したところ新聞の投書欄に掲載され、意識はしていなかったものの観察眼やそこからの思考力が生かされたのかなと思います。

 何気ない物事に着目して様々な方面から考え、新たな発想を生み出すということは、これからの授業だけでなく普段の生活や社会に出てからも役立つ能力だと思っています。今回そのことを身をもって実感できたので、今後も意識していきたいです。

(3)毎日の観察を通してどの様なことが身についたのか、感じたこと

 まず、正直私は毎日詳細に観察するということをしていませんでした。講義であるという自覚が全く足りなかったと思います。そして同時に、何かを継続することの難しさと自分がそれを苦手とすることを改めて実感しました。掲げた目標はしっかり達成する意志の強さを身につけたいと思います。

 また、毎日が展開ゼミで植物がとても身近な所にあるという点では、寒波が来るが低温でダメージを受けないか、土は乾いていないか、強風で飛ばされないかなど常に植物を気にかける必要がありました。授業や勉強中以外で意識するというのは他の講義ではあまりなかったと思います。このことから、この展開ゼミのように講義の内容を普段の生活で意識すると学んだことが無駄にならないのではないかと思いました。例えば、私は社会学の現代大学論という講義を取っていますが、大学はまさに今自分が過ごしている場所です。講義の内容を授業中だけで完結させるのではなく、生活の中で勉強したことを意識することで視野が広がったり疑問が生まれたりと講義を意味のあるものにできると思いました。ただ単位を取るだけ、受け身で聞いているだけではなく積極的に学び自分のものにする姿勢は今後心がけていきたいと思います。

(4)文章を書くという点でゼミ開始前と後でどんな変化があったか

 報告が1500字以上ということになり初めは文章量を増やすのに苦労したのですが、回を経るにつれてある程度の長さの文章を書くことに慣れていったのかなと思います。文章量を増やすためには、植物をよく観察し報告することを多く見つけることに加えて、詳細に説明すること、文を膨らませることが必要だったと思っています。後者を意識するようになってからは文章を書くことがそこまで苦にならなくなったように感じます。当初と比較すると、まだまだ改善の余地はあるものの明らかに文章量が増え、内容も詳細な観察や自分の考えなど中身のあるものに変化したと思います。起こったことや考えたことなどを言語化するというのはとても大切だと思いますが、私はそれが苦手なのでこれから意識しようと思いますし、この講義はその練習の一環になりました。

 また、reader-friendlyというのがこの講義のポイントだったと思います。意識した点としては、言葉遣いや表現がおかしくないか確認すること、1つの段落を長くし過ぎないこと、句読点を適切な場所で使うことなどで、読みやすい文章になるよう注意したつもりです。また、写真を多く使うことやリンクを入れる際は自治体のホームページなど信頼できるサイトを選ぶことも意識しました。ただ、項目で分けたり色分けしたりなどの工夫は足りなかったと思います。より良いものにしようという向上心が欠けていました。しかし、これまでレポートなどでもあまり読み手を意識して書くということはなかったのですが、この講義を通して人に読んでもらうからにはreader-friendlyを心がけることが必要だなと思うようになりました。今後も文章を書く機会は多いと思いますが、文構造を考えたりわかりやすい表現を使ったりということを意識したいと思います。

(5)客観的に物事を捉えて自然科学的なものの見方を学ぶという点で、自分自身が習得できたと思う点、さらに研鑽を積むことが大事と思う点

 習得できたと思う点は客観的なデータを記録することです。私は毎回の報告で、葉の枚数、葉の大きさを計測すること、観察した時間とそのときの気温を記録するということを続けてきました。これにより、報告毎に成長を数字で確認することができたり、成長速度が遅くなったのは低温が原因など推測する材料になったりという利点があったと思います。また、来年度以降に同じく講義を取る学生にとっても、気温を比較して対応を考えるなど役立つかもしれないと思います。写真も有効なデータの1つだと思いました。他の受講生や先輩方の状況と比べたり、先生方に明確に状態を伝えるという点で写真は重要です。また、中間発表以降最初の写真をハクサイの全体像にすることにしたのですが、それによって目で見てすぐに成長過程がわかるというメリットもありました。できるだけ多くの客観的なデータを残すことは、考える材料が増えるという点で大切だと感じました。

 他の受講生の方と比較して研鑽を積むことが必要な点は、考察が足りなかったところです。同じ野菜を育てている受講生や先輩の記事を見て自分の野菜と比較するということはしていたのですが、ここが違う、どうしてだろう、というところで思考が止まっていました。そこから考えを深めて原因を考えたり調べたりということをもっと積極的に行うことが必要だったかなと思います。

(6)コメントにどの程度対応できたか、意味があったか

 まずポジティブな面については、私は毎回の報告で質問をさせていただいていたのですが、それに答えてくださるのでコメントに従いつつ安心して栽培を続けることができました。調べても自分では対応の仕方がわからないときも、個別でコメントをいただけるというのはとても良かったと思います。また、この講義は先生方と顔を合わせるのは初回だけですが、双方向ということでむしろ他の講義より先生方と関わる機会が多いように感じました。他の受講生や先輩方の記事を見ることができたり、それに対するコメントを自分に生かすことができたりというのも、慣れない栽培で多くの情報を手に入れられるという点でメリットがあったと思います。

 また、渡辺先生が定期的にあげてくださる記事もたるみがちな私にとっては自分の状況を見直す機会になったのかなと思います。報告の文字数が増えたことは正直初めは辛かったのですが、それに対応して書いていくうちに自分の力をつけることになったと思うので良かったと思っています。

 次にネガティブな面については、袋をかぶせる作戦に関してです。(1)で述べたとおり結果的にこの方法は逆効果で失敗してしまったのですが、帰省の前日にこれに関する記事を投稿し、作戦が悪影響であることを想定せずコメントの返信を待たないまま仙台を離れてしまったことが非常に良くなかったと思います。双方向であるからには報告をし、コメントをいただき、それに対して対応するということが基本ですが、そのことを無視してしまいました。自分で勝手に判断して行動したという点で、徒長の失敗を繰り返してしまったのだなと思い反省しています。しかしこれは私の落ち度であって、この講義では自主性によって自分の裁量でどのような形にもできることや、様々なことを学ぶことができるということでメリットが大きいと思っています。

(7)中間発表で目指した点がどれだけ達成できたか

 中間発表では①週1回記事をあげること②より詳細に観察し科学的な内容にすることの2つを目標として掲げました。

 まず①については、1週間空いてしまうことも多く達成できませんでした。これは計画性のなさや決めたことをやり通す意志の弱さが表れてしまった結果だと思います。土曜日に更新することを目指していましたが、何か用事があるなら計画を立てて他の日にまわすこともできましたし、講義であるという意識をしっかり持って楽な方に流されず自分を律するべきでした。今改めて振り返って怠惰な自分を変える必要があると痛感しています。今後のために、今回の反省を機に自分のすることに責任を持つことを強く意識したいです。

 次に②については中間発表前と比べて改善されたと思っています。具体的には、以前は葉の大きさを測って間引きや追肥などやったことを報告して終了といった内容だったのですが、中間以降はそれらに加えて葉や根に注目して細かく観察したり、そこからネットで調べて考察したりということを行うようになりました。詳細に観察することによって前回との変化や植物の異常に気づくことができるようになり、内容が少し深くなったかなと思っています。それに伴って写真が増えたり、また様子がわかりやすいようアップにするなど写真の撮り方にも気を配るようになったりと目標は大方達成することができたのではないかと思います。

(8)この展開ゼミで学んだことを、大学での活動を含めた日々の生活にどの様に活かすことができるか。まだ収穫していない作物を今後、どの様に管理したいか

 この講義で学んだことは3つあります。

 まず1つ目は文章の書き方です。(4)でも述べたように、reader-friendlyを意識するという感覚を持つようになりました。全体の文章の流れ、言いたいことをわかりやすく言語化すること、文の長さや段落などに注意することが必要であることを学ぶことができました。また、独りよがりな文章ではなく意見を裏付けるための客観的なデータを多く提示することで説得力が生まれ、意味のある文章になるのではないかと思います。また、これまでの記事を振り返ると以前より内容が良くなっていると思いますし、文章を書くことへの抵抗感は薄くなったように感じます。たくさん経験を積めば書けるようになるということについて疑っていたのですが、そのことを実感できたのも良かったです。今後レポートを書く機会は多いと思いますが、今回学んだことを意識して読みやすく内容が充実した文章を書けるよう心がけていきたいです。また、普段の生活でもしっかり考えを言語化して明確に伝えることも意識したいと思います。

 次に2つ目は継続することの難しさとその必要性です。私は毎日植物を観察するということも、週に1回記事をあげることも続けることができませんでした。このことを通し、何かを達成するには目標を定めてそれに向けた計画を立て、しっかり実行しなければならないということを改めて実感しました。また、この講義では継続することで学ぶことは多いということも感じました。具体的には、半年間栽培と記事の投稿を行うことで観察眼が養われたり文章力が上がったり、これまでを振り返ることで気づくことがあったりといったことです。苦労しながらも力を注ぐことや何かを継続することは大切だと思いました。

 そして3つ目は何気ない日常の出来事に着目し、そこから考えを深めるということです。(2)でも述べたのですが、講義を通して植物を細かく観察すること、そして他の受講生と比較したり調べたり、そこから自分で考察したりといったことを経験してきました。このようなことは今後の大学生活や社会人生活に役立つと思います。文学部では来年度から研究室に配属され、本格的に専門の勉強を始めることになりますが、研究は身近な小さい物事に注目して、それをとことん突き詰めて考えていく作業なのではないかと思っています。また詳しくは知りませんが、社会人では新しい企画を考えたり何かを改善したりするときに小さなことに気づき発展させることが必要なのではと思います。人間関係でも相手のことをよく見て相手の立場に立って対応する必要があるときもあると思います。今回振り返って自分にはこのような姿勢が足りていないと気づいたので、意識したいです。

 最後にハクサイについては、2月から1ヶ月家を空けてしまうのでその前に収穫して調理したいと思います。ただ出発まではあと2週間ほどあるので、これまで同様水やりと肥料やりを続けて、少しでも食べられる量を増やした上でいただきたいなと思っています笑しっかり栽培して食べるということは当初の目標にしていたので楽しみです。

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 最終報告は以上です。ありがとうございました!

コメント

文学部・木町さん

 遺伝の渡辺でございます。土に肥料を混ぜ込むと言うこと、ありましたね。でも、そこから、この状態によく回復していると思います。もちろん、例年より晴れ間が多かったことはありますが、しっかり植物を見て、対応できたことが要因だと思います。過去のこと(歴史)であったり、誰にアクセスするかと言うことなど、この講義で学んでもらえたのではと思います。小学校の時は、ある種、適期に栽培をします。また、先生がこっそりとfollowしてくれています。もちろん、この講義は、双方向なので、その当たりはありますが、実物を見ているわけではないということ。そうした裏方のありがたさを実感して、次は裏方になれるようになることです。法学部・川崎さんのコメントにも書いたように、非核実験をするとき、対象区を作ること、大事なことです。文系でも比較は必ずあると思いますので。

 文学部・鈴木さんにコメントしたように、意識してないけど、ここで学んだことが活きている。というのは、大事なポイントを相互に学んで、それが身についていると言うことになると思います。これからも継続して、意識しないでできるようになって下さい。講義を受け身でなくて、積極的に自分からと言うのは、大事なことで、その習慣がこの展開ゼミで身についたのであれば、とてもうれしいですね。是非、これからも続けて下さい。毎日がなんとかというテーマを掲げて。段落を長くしすぎないこと。これはとても大事なことですね。読みやすさが違います。まさに、今回の記事もそうですね。

 文系、理系関係なく、客観的なdataというのは、大事なことです。それを意識して、これからの他の講義にも取り組んで下さい。物差しで測ったことを思い出したら、できると思いますので。今年度は、毎回のコメントをラボスタッフのオガタくんに。月に1回程度のコメントを渡辺がというように仕分けてみました。それがある意味、刺激になったのは、こちらの目論見通りで、よかったです。次年度に反映できることかと。こちら側の問題ですが。。

 目的を立てることはできても、それを達成することは、なかなか難しいものがあります。それをどう意識して、できたのか、何がよかったのか、逆に何が反省なのかを理解して、これかがの大学での学び、社会に出ての活動に活かして下さい。また、文章を書くときのreader-friendlyという視点は、大事なポイントです。どの様に並べると、よりおもしろい文章になるのか。あるいは、分かりやすいのか。いろいろな観点があると思いますが、これからのレポートなどでも続けて下さい。続ける事の難しさを理解しただけに。。。1ヶ月、家を空けると、その時期は水やりが厳しくなりますね。是非、おいしく調理して、食レポの投稿があるのを楽しみにしております。


 わたなべしるす