東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【出前講義】石川県立金沢泉丘高等学校・SSH特別講義「農学・生命科学入門--アブラナ科植物の自家不和合性と研究者への道--」(5/7)

2016年5月 7日 (土)

 連休前半は涼しいというより、寒い天候。後半にかけては、風が強かったり、雨から晴れとか。それでも、アブラナの農繁期には、まずまずの天気だったのでは。いろいろな宿題が片付いたような、増えたような。。。それでも、この土日の休みを使って、全て片付けることができるように。そんな連休最後の土曜日。例年、この時期は北陸遠征。お世話になっていた石川県立小松高等学校の寺岸先生が異動になり、その関係でこの春は、石川県立金沢泉丘高等学校へ。ここ数年お世話になっているのが、SSHを担当されている米口先生。例年通りに、1年生向けと受験生向けを設定頂きました。ここのSSHの特徴というか、おもしろいところは、その年の理数科の大テーマというのがあり、今年は「雪」。。。渡辺は、仙台に来たきっかけが大学受験の時の大雪でしたし、仙台に来てからも、ずいぶん雪には悩まされました。なによりも、大学に入学して4月に仙台に来て、連休が近い4月20日を過ぎてから、道路が白くなったのを見て、。。。これはすごいところに来てしまったと。。。そんな話も交えながら、。。

20160507232018-3415fab671191896b91fa5f3dde8696ae3f97d93.JPG20160507232104-21d0037d7e8643bf4fb09beafe1dc86b99681fad.JPG あと、講義は、渡辺の独演会というか、いつものように時間を考えてはいても、ついつい、しゃべってしまいがちなところを。。。今回は、ちゃんと制御できるように。渡辺の研究室には、石川県立金沢泉丘高等学校の卒業生が2名、1名はアルバイトの笹嶋さんあと1名がD2で今年から、JSPS・DC2になった辺本さん。その辺本さんに是非、講義をしてほしい、卒業生であり、先輩であり、年も近くて、大学院生として活躍している辺本さんは、後輩から見て、何よりの刺激になるからと。。。統括されている米口先生からのお願いで。。。その通りだと思いました。渡辺が高校時代、大学の先輩との接点は、教育実習。その時に、もっとあれこれ聞いておけばよかったと。よく考えたら、東北大に行かれた先輩が教育実習に来ていたのかもしれないと。。。年齢が近い分、親しみと現実味があると思いますので。。。

20160507232202-cef1bf9f6790f422dbad958a8b25f6438be6231c.JPG20160507232216-18bf6b054de0dda7d81da0a5a19a4bd66ed1ed13.JPG 前振りが長くなりましたが、講義は、4月に仙台一高で行った講義パターン。前半が渡辺がやってきたサイエンスである「植物の生殖と自家不和合性」。後半は、渡辺の小学校時代から現在までを振り返って、ロールモデルとして考えてもらうキャリア教育。その後半のところで、辺本さんにも同じように、高校時代、現在に至るまでのことを語って頂く、heteroな構造の講義形式に。1.5hrの持ち時間でしたが、あっという間に過ぎたというのが実感で。

20160507232244-9c3d6a6a16a3f65428e725ae2a9b2716f5b2b2c2.JPG20160507232332-8449482a3e5e19cbab86d19b4cd23c8a7f486bff.JPG 時代背景もあるのだと思いますが、小学校時代、学校の帰り道に道草をしにくい時代。そのことが、今の子供たちの「観察力」、「注意力」というような、子供時代に養成されるであろう力量の育成が難しくさせていて。もうすこし社会が寛容であってよいはずなのに。。。いつも言う言葉で言えば、大人たちは、自分が子供時代、いろいろなことを帰り道でしたはずで、怒る大人も上手にしかっていたのかも知れないですが。。。その当たりのバランスが。。。そんなこともあるのだと思います。以外と畑などにある農作物の生長、開花などを見てないのだなと。。。渡辺が見ていたかと言われると。。。高校になって、遺伝学をやろうと思ったときには、すでに見てなかったですが、小学校の頃には、ずいぶんなことをしましたので。。。それなりに見ていたのだろうと。。。その関係だと思いますが、作物の花と作物を結びつけて考えるのが、難しくなって。。。このことは、きっかけで、明日から身の回りの興味あることに「注意力」を向けて「観察眼」を育成してもらえればと。。。

20160507232433-17f30393b0ba3a90d503d03e3b85412108404026.JPG 植物の生殖、これも実は複雑な現象。ただ、お隣、富山県が有名なチューリップ。子供の頃、隣の家に植わっていた花の葯をつまんで、雌しべの先端につけると、雌しべの色が変化したのだけは覚えています。何で、そんなことをしたのか。。。今でも、わからないのですが。。。多くの植物では、昆虫が花粉を運ぶことで、受粉され、受精に至ると。もちろん、他種の場合は、うまくいくことも、そうでないことも。動物に比べると、雑種ができ、後代でも維持されることが多いというのは、環境への適応力が高いと言ってよいのか、。。。ここで驚きだったのが、ヒマワリの上のハチがどこからどこへ行くのか。どこへと言うときに、これまでの先輩たちの回答は、全然、季節感のちがう花。ということは、「ワープ」をしないといけないわけで。。。ところが、注意力と言うことで持ち出した「作物の花」の絵の中に実は、解答例があるというわけで。冷静に考えると。。。ところが、これまで長く出前講義を行っていますが、このことに気がついた生徒さんは、ゼロ。。。ところが、今回、はじめて、冷静に、さっき、議論した花の中でいえば。。。感動でした。何が起きているのか、さっきまで何を考えていたのか。それを考えれば。。当たり前とはいえ、問題文の中に、解答があるというのに等しいわけですが、観察力、注意力の素晴らしさ、大切にして下さい。

20160507232505-e4eb5434b99a8840603ee0d314fc2ab62a156c2c.JPG20160507232615-10a5eef67f5a80b8a70dedaab7b940a834ed0112.JPG 子孫を残すと言うことで、多様性を保つことは、動植物を問わず、大事なこと。植物の場合、両性花であることがほとんどなので、どうやって、工夫しているか、雌雄異熟、自家不和合性などなど自家不和合性がどんな現象で、どの様に注目され、どんな仕組みなのか、ということを概略の形で説明。いつもなら、東山先生から頂いた受精の所の動画を見てもらうこともあるのですが、後半のキャリア教育のところにも力点をおきたいので。今回は、cut。またの機会に。。。ただ、今の高校理科生物の教科書には、自家不和合性現象も取り上げられているとか。なので、今回の講義の植物の受粉、受精など、基本的なことは、理解してもらえたのではと。。。

20160507232633-92a828a5f498bb704024ff1cfbac33bf81e21660.JPG 後半は、キャリア教育というか、渡辺が小学生の頃から、高校生、現在に至るまでを振り返り、渡辺をモデルとして、これからの受験、大学生生活、その先のことを考えてほしいと。特に、今回は、渡辺だけでなく、何よりも、高校の先輩である辺本さんが、自分の体験談を交えて。。。受講生にはよい刺激になったのではと。。。渡辺の小学校時代、覚えたのは、道草とあやとり。何よりも繰り返してやることが大事だからと。小学校時代だけでなく、いつまでたってもかもしれないですが、。。。特に、記憶力が厳しくなる高校生以降は、しっかり考えて、繰り返して、いろいろなことにトライしてということかと。渡辺が科学に興味を持ったのは、例のごとく「当時のアニメ」の影響。マジンガーZのような超合金のすごいものは、今でもないわけで。そう考えれば、当時のアニメがどれほど、子供たちに夢を与えたのか。。。逆に言えば、われわれのような科学者と言われるものがどれだけ夢を提供できるのか。。。いつも考えさせられます。

20160507232903-68f4fce060d1349d6735d24d72c868a384727cb7.JPG 高校で学ぶいろいろな教科、科目。今にして思えば、そんなものいるのかと思うところもありますが、逆に、あの当時、大変だったけど、学んだので、今があると思えることも。数学はある程度できた方ですが、考える力、マニュアルに頼らない力を養成できたのも、この数学のおかげ。とおもったり。何より、国語、英語は苦手で。。。共通一次、いわゆる、センター試験も60%くらい。。。ただ、大変でしたが、そのおかげで、何とか今、英語の論文をhandlingできているわけで。。。文章を書くのも苦手でしたが、今はそれなりに。。という気がします。このあたりも大事にしてほしいと。

20160507232924-036252a2726b942dfd39252b3a844b22da024762.JPG 大学では。。。教員との相性。結構、難しい問題ですが。。。一定の年齢になるまでは、○△先生のお弟子さんと言われるわけで。。。渡辺もようやく、日向先生のお弟子さんと言われることが少なくなったわけです。大学の偏差値も大事かも知れないですが、指導教官をしっかり選ぶこと、それも大事ですから。それによって、人生が180o変わることもたくさんありますので、くれぐれも。。このあたりで、先輩である辺本さんに講義の時間を交代。講義を聴いていた生徒さんの中には、小中高校の後輩の方もいたのでは、。。中学校はいたようでしたので。。。そんな辺本さんがこんな高校生時代を送っていたのだと、細かなことを知ったのも、渡辺には、はじめて。ジェットコースターのようなといっていましたが、その中で、たくさんの経験を積んで、大学、大学院という今があると。。その中で何よりも「見てくれでなくて、実(じつ)」を大事にしてほしいと。また、友達を含めた、人との出会い、それによって、不思議なご縁もあるわけで。。。先輩から言われることの方が、渡辺から言われるよりも、全然、現実味とインパクトがあったのではと思います。渡辺に交代したあとは、座右の銘として、「今日の屈辱に耐え、明日のために生きるのだ」ということも久しぶりに。。。もちろん、最後の〆は、いつも組織論。夢と野望を抱いて、目標達成のために、がんばってほしいと。。。

20160507233413-b24a1c96cd92c98e2d9476702e3a90a30c17d89b.JPG20160507233429-63723282e4816a00d266c8b8726444d8f8eb6089.JPG 講義のあとは、質問コーナー。たくさんの質問を頂き、答えたのは覚えているのですが。。。いざ、文章に書こうとしたら、。。すみません。この講義の後に、3年生向けの別の講義もあったからかもしれないのですが、質問の内容を思い出せず。。。申し訳ありません。思い出したら、また、追記しますので。。。

20160507233620-9f38327ab9b101f92e966d2842bac24e2a43b475.JPG 最後になりましたが、SSHの米口先生、村上先生をはじめとする関係の先生方には、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。渡辺が指導している、指導していた学生さんの高校にお邪魔しての出前講義はこれまでも数多くありましたが、その学生さんと一緒に講義をしたのは今回が初めてのこと。このような企画を頂いたことに感謝するとともに、さらに数多くの学生さんを社会に出ても、立派に通用するように、サイエンスだけでなく、いろいろな面で教育研究できればと思います。ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

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 わたなべしるす

 PS. 高校への集合時間より少し早く到着でしたので、高校の玄関周辺を少し散策。そのあと、宮崎校長先生との議論の時間を。宮崎校長先生には、以前、小松高校に出前講義で伺った時、当時は、副校長先生として、お世話になった方で。その当時のことであったり、昨今のSSHのことなど、30minほど、deepに議論できました。ありがとうございました。

20160507231901-9dff80eae1ccecf60c118d68844047144859e6fb.JPG20160507231944-1cb1d9c1035b494e805ab64354635aad8e147461.JPG PS.のPS. 前日に米口先生との連絡で高校のHPを拝見したら、今回の講義を公開すると言うこと、また、その広報用のポスターもかっこよく作って頂き、ありがとうございました。出前講義を保護者などの公開というのは、これまでも宇都宮女子高校でもありましたが、近くの学校にもというのは、初めてで、なるほど、広報のあり方として、niceだなと。。。研究科の広報を担当しているものとして、学ばないといけないと。。。ありがとうございました。

20160507213922-5bad3e29bf5ef6a5bb6288883b1fac79bba654c7.jpg PS.のPS.のPS. 午前の講義、午後からのこの後の講義のいずれにも、石川県教育委員会・寺岸指導主事と辺本さんの学部時代の指導教員であった石川県立大・中谷内先生も参加頂きました。いつもお世話になっている方々がいらっしゃる中での講義は緊張でした。お忙しい中、ありがとうございました。今後ともコラボできればと思いますので、よろしくお願いいたします。

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