仙台二華高等学校1年、佐藤雄大です。第三回科学者の卵の講義の感想を書きたいと思います。
開場のほんの10分後ぐらいに会場に着いたのですが、しめしめまだ誰もいないだろうと中に入ると結構な人がいてわーさすがだーというのが当日の第一感想でした。今回のサイエンスカフェは、長神先生による「科学・社会・生命倫理」について。佐藤姓の永遠の憧れであるその珍しい名字に見とれていると、5~10年後に初めて実用化されそうな技術を想像してみてくださいといわれ、名前は言いませんが青いネコ型ロボットの物語なんかを思い浮かべて、4個ほどつらつらと書きました。そして「それをできる限り悪用してみてください」という驚きの一言。なんと。のび太くんが毎回のように悪用しまくっているではないか。のび太くんを超える悪用の天才になれというのか。他人のアイデアを前にこんなことを考えながら悪用方法を思索していました。そして、話は倫理へ。できること、と、できてしまうこと。どこまでが「正しい使い方」で、どこからが「悪い使い方」なのか。全身不随の人が健常者と同じような生活が送れるようになる。生まれてくる赤ちゃんの目の色肌の色を親が自由に変えられる。「できること」は爆発的に増えているが、「やっていいこと」は増えているのか。科学と倫理の境界線を考えながら、何かをよりよくする努力を続けていく。それが大事なのか、と朝からとても考えさせられる授業でした。
ギラギラと太陽が照りつける屋外では最も向かない食べ物であろうチョコレートドーナツに苦戦しながらサイエンスカフェの班員との昼ご飯を終え、午後の講義へと移りました。東北大学で飛行機と言えば鳥人間コンテスト。毎年テレビで見ていて、東北大学Windnautsのパイロットやメンバーのかっこよさに憧れています。その機体に施された様々な工夫が知ることができてとてもハッピーな気分です。空気は粒子の集まりではあるが、単位体積あたりの分子数が多すぎるために、切っても切れない連続した物体、「流体」と見なすことで都合良く議論が進んだ、ということが面白いと思いました。流速が増すと圧力が下がる。そのために翼の上方の空気の流れが速くなるよう翼を設計することで鉛直上向きの揚力が発生する。また、重心位置を前方にすることで機首を上げようとするときに重力と揚力が作用して頭下げのモーメントが働き安定する。重心よりも後方に垂直尾翼をおくことで方向がずれたときに復元する向きにモーメントが働く。さらに上半角をもつことで傾いたときにも復元する向きにモーメントが働く。これらを考えるだけで、小さな紙一枚が飛ぶ。これらを考えない風の谷のナウシカのメーヴェはパイロットが後頭部を強打することになる。ナウシカ、全治一ヶ月。そりゃまずい。 鳥に憧れ、重力に抗い、本気で空を飛ぶことを追究する、パイオニア精神を持って自然界にないものを創り出すライト兄弟、そして航空の研究者が改めてとてもかっこよく思えました。
そして二つ目の講義、「磁石、隕石と原始惑星系円盤」。最初にタイトルを聞いたとき、円盤だからUFOの話かなー科学的にUFO...?と思っていたら全く違ったようです。惑星は面上に並んでいて、自転と回転をしている。確かに考えてみれば不思議です。それはやはり、太陽が作用していました。太陽の引力と回転による遠心力が球を円盤状にしていて、微惑星が形成され固体惑星が集積、そして円盤が消失し現在のような太陽系が形づくられたのです。そして、隕石の中のコンドリュールを調べることで原始太陽系の磁場を推定できることに驚きました。隕石は空から我々に、惑星の、宇宙のヒントを教えてくれているように感じます。
今回の講義の共通点の一つとして、どちらも上を見てみなければ気づかない、ということがあります。鳥を見なければ空を飛びたいとは思わないし、空、星を見なければ宇宙のことなど考えもしないでしょう。ライト兄弟にとっての空のように、案外と、未開拓の分野がここそこに転がっているのかもしれません。常に様々なものを見て、くだらないと思えることでも考えてみる。それが科学者、またパイオニアの精神の最初の地点なのかもしれません。
投稿者:宮城県仙台二華高等学校